106 / 745
106遭難
しおりを挟む
俺は周辺に魔獣が居ないか広範囲に探索魔法を使って確認していくと
「遠くてハッキリ分らないけど遭難者が2人居るみたいだ。」
「拓ちゃん、俺はいつでも行けるぞ。」
「何を言っているんだ。駄目だ、こんな天気で外に出たら2重遭難になる。
そもそも、こんな雪の中スキーを使ってもまともに進めないだろ。」
俺と浩司をロウガさんが止めようとする。
それでも行こうとすると、アクセルさんが一緒に行くと言い始めた。
「アクセルさん、ありがとうございます。申し訳ありませんが、俺と浩司だけの方が確実に救助できます。
レオ、温かいスープを用意しておいて。
ガラ、念のため30分置きに魔力の放出して位置を知らせてもらえる。」
浩司と俺の体をロープで繋いで外に出ると、エアウォークで雪の上を走り抜ける。
吹雪のために何も見えず、探索魔法だけが頼りだ。
そして見つけたのは、狼族の男の子と女の子の2人だった。
俺達の姿を見ると、男の子が女の子をかばうように立ち上がり警戒をするが今にでも倒れそうだ。
「安心しろ、君達を助けに来た。他には誰も居ないのか。」
浩司が優しく話しかけると男の子が首を横に振った
俺は探索魔法で周辺を調べるが、他に誰も見つける事が出来ない。
「駄目だ、周辺には誰も居ない。2人を連れて戻ろう。」
2人に自分達のコートを着せて背負って雪の上を走り抜ける。
皆が交互に天幕の周りに立って吹雪の中で魔力を放出して位置を知らせてくれていた。
「早く中に。2人にスープを用意してある。」
子供を背負ったまま天幕の中に入り、サイズは合わないが浩司と俺の服を着替え用に渡した。
「何でもやります。だから妹を助けて下さい。」
男の子の最初の言葉だった。
「大丈夫、心配しなくても良い。まずはスープを飲んで体を休ませて。」
レオが話しかけると少し落ち着いたみたいだ。
用意してくれたのはポタージュスープだった。
パンも用意したが、2人が遠慮して余り口にしない。
そこで、浩司がお代わりをする度に2人の皿にパンを置いて食べさせて行く。
ブルネリ公爵領で手に入れた果物で作ったジャムを出してあげると驚いていた。
男の子の名前はカイ、女の子の名前はレム。カイは俺より1つ、レムは3つ年下だった。
彼等の住んでいた村は獣人に対する差別が酷かったらしい。
そこで、別の村に逃げようと20人程の獣人が夜に紛れて村を出たが、途中で盗賊に襲われ2人は両親が盗賊の目を引きつけている間に逃げたそうだ。
他の獣人がどうなったかは分からない。
それから俺達に救助されるまで3日間雪の中を歩き続けたらしい。
安心したのかレムが眠そうにしているので、テントの1つで寝かせることにした。
2人が寝た後、地図を見ながら盗賊に襲われた場所を検討していく。
たぶん、彼等を見つけた場所から20キロ位行った街道だろう。
この近くは洞窟も多く、盗賊が隠れる場所が多いらしい。
「この雪の中で盗賊はどこかの穴に身を潜めていると思う。
もしかすると、獣人を生かして捕らえているかもいるかもしれない。」
「拓ちゃん、今から探しに行くのは無しだぞ。
あの場所で探索をかけても見つからなかったんだよな。
これ以上はさすがに危険だ。とりあえず、今夜は休もう。」
浩司に止められ、しっかり抱きつかれて眠りについた。
「遠くてハッキリ分らないけど遭難者が2人居るみたいだ。」
「拓ちゃん、俺はいつでも行けるぞ。」
「何を言っているんだ。駄目だ、こんな天気で外に出たら2重遭難になる。
そもそも、こんな雪の中スキーを使ってもまともに進めないだろ。」
俺と浩司をロウガさんが止めようとする。
それでも行こうとすると、アクセルさんが一緒に行くと言い始めた。
「アクセルさん、ありがとうございます。申し訳ありませんが、俺と浩司だけの方が確実に救助できます。
レオ、温かいスープを用意しておいて。
ガラ、念のため30分置きに魔力の放出して位置を知らせてもらえる。」
浩司と俺の体をロープで繋いで外に出ると、エアウォークで雪の上を走り抜ける。
吹雪のために何も見えず、探索魔法だけが頼りだ。
そして見つけたのは、狼族の男の子と女の子の2人だった。
俺達の姿を見ると、男の子が女の子をかばうように立ち上がり警戒をするが今にでも倒れそうだ。
「安心しろ、君達を助けに来た。他には誰も居ないのか。」
浩司が優しく話しかけると男の子が首を横に振った
俺は探索魔法で周辺を調べるが、他に誰も見つける事が出来ない。
「駄目だ、周辺には誰も居ない。2人を連れて戻ろう。」
2人に自分達のコートを着せて背負って雪の上を走り抜ける。
皆が交互に天幕の周りに立って吹雪の中で魔力を放出して位置を知らせてくれていた。
「早く中に。2人にスープを用意してある。」
子供を背負ったまま天幕の中に入り、サイズは合わないが浩司と俺の服を着替え用に渡した。
「何でもやります。だから妹を助けて下さい。」
男の子の最初の言葉だった。
「大丈夫、心配しなくても良い。まずはスープを飲んで体を休ませて。」
レオが話しかけると少し落ち着いたみたいだ。
用意してくれたのはポタージュスープだった。
パンも用意したが、2人が遠慮して余り口にしない。
そこで、浩司がお代わりをする度に2人の皿にパンを置いて食べさせて行く。
ブルネリ公爵領で手に入れた果物で作ったジャムを出してあげると驚いていた。
男の子の名前はカイ、女の子の名前はレム。カイは俺より1つ、レムは3つ年下だった。
彼等の住んでいた村は獣人に対する差別が酷かったらしい。
そこで、別の村に逃げようと20人程の獣人が夜に紛れて村を出たが、途中で盗賊に襲われ2人は両親が盗賊の目を引きつけている間に逃げたそうだ。
他の獣人がどうなったかは分からない。
それから俺達に救助されるまで3日間雪の中を歩き続けたらしい。
安心したのかレムが眠そうにしているので、テントの1つで寝かせることにした。
2人が寝た後、地図を見ながら盗賊に襲われた場所を検討していく。
たぶん、彼等を見つけた場所から20キロ位行った街道だろう。
この近くは洞窟も多く、盗賊が隠れる場所が多いらしい。
「この雪の中で盗賊はどこかの穴に身を潜めていると思う。
もしかすると、獣人を生かして捕らえているかもいるかもしれない。」
「拓ちゃん、今から探しに行くのは無しだぞ。
あの場所で探索をかけても見つからなかったんだよな。
これ以上はさすがに危険だ。とりあえず、今夜は休もう。」
浩司に止められ、しっかり抱きつかれて眠りについた。
3
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~
雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた
思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。
だがしかし!
そう、俺には″お布団″がある。
いや、お布団″しか″ねーじゃん!
と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で
とんだチートアイテムになると気づき、
しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。
スキル次第で何者にでもなれる世界で、
ファンタジー好きの”元おじさん”が、
①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々
②生活費の為に、お仕事を頑張る日々
③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々
④たしなむ程度の冒険者としての日々
⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。
そんな物語です。
(※カクヨムにて重複掲載中です)
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~
櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる