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092年末の過ごし方

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そして、大みそか
年越し蕎麦ではなく年越しうどんを皆で食べて、年越しカウントダウン

「10、9、8・・・3、2、1、ハッピーニューイヤー、イエーイ。」

浩司とハイタッチ。ガラとレオともやろうとしたが、2人は不思議そうに俺達を見ていた。

「お前ら、何をやっているんだ?」
「2人って、時々理解できない行動をするな。」

今更ながら、ここは異世界。こんな事が通じる訳がなかった。
年末、年始と言えど、特別なイベントも無い。
それならばと、浩司と一緒に楽しめば良い。

初日の出を一緒に見ようと誘っても「何の為に」と不思議がられてしまうし・・・
そのまま朝まで起きていようとも思ったが、睡魔がそれを許さない。

「拓ちゃん、日の出前に起こすから少し寝たらどうだ。」
「申し訳ないけどお願い。もう、眠くて我慢できない。」

浩司が笑うと、とりあえず全員が自分の部屋に戻ることにした。
寝ようと部屋に戻ると浩司がやってきた。

「せっかくだから、一緒に寝ようぜ」

もちろんOKだ。
大晦日でも廊下には兵士の方が待機しているが、今日ぐらい一緒でも問題ないだろう。
浩司の温もりが気持ち良く、直ぐに夢の中へと落ちてしまった。


「・・・おきろ・・・起きろよ拓ちゃん」

浩司が俺を揺すっている。

「初日の出を見るんだろ。」
「そうだ、初日の出。まだ大丈夫か。」
「未だ大丈夫だよ。でも、そろそろ行かないとな。」

そう言っているくせに、浩司に抱きしめられて身動きがとれない。

「気持ち良いけど、そろそろ行かないと。浩司、今年もよろしく。」
「俺の方こそ、よろしくな。」

廊下に出ると、既にガラとレオが待っていてくれた。

「日の出を見る意味は分らないが、せっかくだからOZ全員でと思ってな。」
「たまには、こういうのも良いよな。」

皆で、ブルネリ邸の屋根の上に登る。
昨日、ブルネリ公爵に許可を頂き、梯子を用意してもらっておいた。

「私達も一緒に良いか。」

ブルネリ公爵とセバスチャンも屋根に上ってきた。
屋根の上に6人が並んで東の空を眺めている。
冷たい空気の中、空が少しづつ明るくなっていく。
そして、地平線の向こうからついに太陽が・・・見えた。
少しづつ明るくなり、温かい光が全身を照らす。
今年、初めての朝日だ。

この世界に来て初めて出会い、そしてチームを組んだ仲間。
この仲間を一緒に、多くの旅をしていきたい。
色々と見て、感じて、感動を分かち合いたい。
いや、旅をして感動を分かち合う!

何となく願ってしまったが、誓いを立て直した。
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