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077ペンダント

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アルさんの古傷が治った所で、以前もお世話になった創作日本料理の店へ。
アルさんは何かと体を動かしながら歩き、ダリウスさんに邪魔者扱いされていた。
店でも古傷の痛みが取れた右腕を妙に動かすアルさんは、邪魔なので隅の方へ追いやられながらも久しぶりのお酒を美味しそうに飲んでいた。
浩司は俺に抱きつきながら美味しそうに清酒を見せびらかし、俺は1人ジュース…
二日酔いにする為の薬さえあれば、浩司のコップに入れているのに。

宿に戻ると、エチゴさんが俺達の部屋にやって来てからアルさんの治療費として金貨10枚を渡された。
もらい過ぎと思ったが、あれだけの古傷を直すとなると少ないらしい。
ラグテルの町に戻ってから残りを渡すと言われたが、流石に辞退させてもらった。

次の日は、ぶらっとエデンの町を回った後は、宿で休んでいる。

「どうした拓ちゃん。それ俺達が付けている魔力結界を張るペンダントだよな。」

机の上に透明なペンダントを3つ並べて考えている俺に浩司が話しかけてきた。
駄目になった時の事を考えて、余分に作っておいて分だ。
エチゴさん達の身を守るために渡すか悩んでいる
これも、少々性能が高過ぎるみたいだからな。

「エチゴさん達に渡しても良いんじゃないか。」

思わず浩司の顔を見てしまった。俺の考えが読まれているのか?

「その位、拓ちゃんを見てれば分るよ。
 エチゴさんは俺達の事で色々と気が付いているけど黙っていてくれてるんだろ。
 それに今回の彼等の気持は、本当に嬉しかったしな。」

ガラとレオも同意してくれたので、さっそく最終工程に入る。
浩司にも手伝ってもらい透明な水晶に錬成術で魔力を浸透させると色が付いて行く。
エチゴさんには光魔力に合わせて白、ダリウスさんは風魔力に合わせて緑、アルさんは土魔力を感じるので黄色。

「俺のも拓ちゃんと同じ黒のペンダントが良いな。」
「使う人の魔力に合わせて作っているんだよ。浩司は闇の魔力を持ってないだろ。」

自分の得意な魔力に合せる事で結界の効果は向上する。
お互いに共通の魔力は無い。
残念ながら、浩司と俺の魔力では最大の効果を得るためにはペアは無理だな。
さっそくエチゴさん達に渡そうとすると、受け取るのを断るので

「この間の様な事もあるかも知れませんので、防御力強化は絶対に必要です。
 但し、結界を張ると自分の魔力も遮断されるので放出系の魔法は使えないので気を付けて下さい。」

無理やり言い聞かせて、所有者の縛りを行った。


******(エチゴ)

渡されたペンダントを見いる。
何度も確認し、その度に拓さんの技術に驚かされている。
ここまで精巧な魔法陣は滅多に見ることはできない。
今の時代の技術者でこの様に描ける者が何人居るだろうか。
これだけの物が保険程度か・・・
注意をしている様だが、やはり危険だ。
自分達の能力を過小評価しすぎている。
それに我々にまで渡すなんて、彼等は人が良すぎる。
それが嬉しくもあり、心配にもなる。
しかし、少しでも借りを返すつもが、こんな凄い魔道具をもらってしまうとは。
商売での交渉相手とは違い、全くやりにくい方だ。

「ずいぶんと嬉しそうですが、どうされました。」

ダリウスに言われるまで自分の顔が喜んでいるのに気が付いていなかった。

「いや、どう彼等に恩を返そうかと考えていたんですよ。」
「確かに、難しいですね。恩を返すつもりが、こんな凄いものを貰ってしまいましたし。」
「ここは、彼等を私達なりに守るっていうのはどうです。
 少々、自分達の能力を軽く見ているから、他人に知られると危険です。
 あとは、色々な珍しい食べ物と魔道具の素材が有れば喜ぶと思いますぜ。」

ずっと貰ったペンダントをいじっていたアルが話に加わって来た。

「アルにしては良い意見だな。確かに、彼等の事が他人にばれると面倒な事になりそうです。」
「そうですね。彼等の事を守る壁になりたいと思っています。手伝ってもらえますか。」
「「もちろんです。」」

2人共、私以上に力が入っている。

「しかし、拓さんは何でペンダントに魔力を流しておくように言ったんですかね。
 魔道具って魔力を込めれば発動するもんじゃねぇんですか。」

アルがペンダントをいじりながら聞いてくる。
特に魔力を貯める訳でも無ければ、魔道具に魔力を通す必要は無い。

「私も疑問に思って聞いてみたんですが、魔力を通しておくと発動しやくすなるそうです。
 高度な魔法陣になるほど、影響が出るそうですよ。」

そんな話しは初めて聞きましたが、拓殿の言う事なら本当なのでしょう。


後やる事は、移動時の食料の追加か。
醤油、酒、みりんを追加で分けて頂けたので、拓さんに使える素材を教えてもらうか。
そういえば、柚子胡椒は作ったのでしょうか?
帰りの旅が楽しみになってきた。

自分の考えに浸り、ダリウスに言われるまで自分がニヤついているのに気付かなかった。
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