上 下
71 / 744

071完治祝い

しおりを挟む
それにしても荷物が多い。ガラとレオとは分かれて買い物をしていたが
買い物を終えた2人は膨らんだ新しい鞄を2つ持っていた。
アークや、ブルネリ公爵の部下の手前、誤魔化す為だろうか。
街道を2時間位歩いた所で、アークのメンバーと合流した。

「途中で狩りをするにしても、手持ちが有った方が良いだろ。完治祝いだ。」

ガラがそう言うと、担いできた鞄と、帰りの道中で素材を入手した場合の袋を渡した。
鞄には水と保存食が入っていた。

「10日間分の食料を用意しておいた。」

確かに、アークのメンバーはたいした荷物を持っていない。ガラって何かと気がきくんだよな。
素直に誉めると、照れていた。
OZ:4名、アーク:5名、ブルネリ公爵の部下:1名の大人数だ。
アークのメンバーが道中の周辺警護を買って出てくれが、体の大きい集団の中に俺がはいると谷間にいるみたいだ。
アークのメンバーも俺の探索能力は認めてくれていたので、1番前を歩かせてもらう。
せっかくの旅行なので、風景を楽しまないと。
種類によっては既に紅葉している木も有る。
紅葉を見て喜んだり、落ち葉を踏んで楽しんでいると、

「こうして見ると、拓って子供だよな。少しホッとするよ。」

ガラに言われ、他のメンバーにも頷かれてしまう。
精神的には、俺が一番年上だというのに・・・現実を知っている浩司だけが1人で笑っていた。
一応、周囲に人が居ない事を確認して、同じ広場にテントを張る。
病み上がりの人もいるので、早めの宿泊の準備だ。
アークのメンバーにかまどと薪の準備をお願いし、
俺達は、持っているテント4つとタープをセッティングする。
OZで2つのテントを使用するので、残り2つを使ってもらう。
2人用として使っているが、寝るだけなら3人で使用できる。少し狭くなるが、そこは諦めてもらうしかない。

10分位でセッティングを終わらせると、レオと浩司は、食事の準備に取り掛った。
人数が多いので、今夜は鍋にするらしい。
アークからも2人が手伝ってくれる。
暫くすると、鍋から良い匂いが漂ってくる。
2グループに分かれて地べたに座り、その中心に鍋が置かれると

「「お~」」

と歓声が上がった。
やはり、馬車も無い野宿でまともな料理を食べれるのは珍しいみたいだ。
俺のグループはOZのメンバーにブルネリ公爵の部下、ニックさん。
小太りで少しタレ目の人の良さそうな感じの方だ。

「鍋の汁は残しておいて下さい。では皆さんどうぞ。」

本日の料理長、レオの言葉で皆が食べ始めた。

「「「美味い」」」

アークのメンバーにも好評。
今日は鳥ガラスープベースの味付けだ。アッサリしていて美味しい。
レオと浩司の料理の腕が上がっている。
俺より美味く調理が作れるようになるのも、意外と早いかもしれないな。


そして、予想はしていたが、巨漢マッチョ軍団のアークの鍋はあっという間に食べ終わっていた。
視線が俺達の鍋に向いているが、あげる気は無い。
俺達の鍋は、俺に気を使ってくれ、ゆっくりしたペースで食べれるのが有りがたい。
こちらの鍋が食べ終わった所で、レオが残った汁の味と量を確認しつつ
火魔法を使える人に鍋を温めてもらいながら、〆のうどんを入れていく。
レオの行動を眺めるアークのメンバーは、エサを前に待てをしている犬みたいだ。
火が通った所で、レオが「どうぞ」と勧めると鍋に殺到する。
このメンバーで食料が足りるのか気になったが、エデンに寄っていくので問題無いらしい。

お腹が満たされた所で自己紹介、今更だが俺はロウガさんしか名前を知らない。
アークのメンバーは
リーダのロウガさんを筆頭に、ハンスさん、アクセルさん、ダニエルさん、フェリックスさん
全員に名乗ってもらったが、一度聞いただけで覚えきれる訳がない。
名札でも付けてくれれば良いのにと思いつつ、声に出さずに復唱していく。

その後は料理の話で盛り上がった。
やはり旅の間の料理の不味さはどうしようも無いらしい。
流石に、荷物を増やす訳にもいかず、拡張バッグが有ったとしても食料より他の物が優先的に入れられてしまう。
この移動で、こんなに美味い料理が食べれるとは思ってもみなかったそうだ。

旅の間はアークのメンバーで夜の見張りを行うと言うので
俺はお言葉に甘えて、早めにテントに入り錬成術を使って魔道具作りを行う。
浩司は、話が弾んでいる様でなかなか戻ってこない。
大人数での行動でイチャつけるとは思ってはいないが、まったりした時間が欲しい。
そんな事を思いつつ、先に眠る事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

みなみ
ファンタジー
下半身を露出したまま風呂で溺死した葉山宗一は、神様見習い少女シエルの手によって異世界ルナティカルへと転生したが、宗一にはなにやら不思議な力が備わってしまい……。異世界の常識やいざこざを全裸パワーでぶち破っていく異世界転生コメディー!

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

処理中です...