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046過去へ思いを

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アドニスさんとケーマは午後から狩りに行くというので
俺達は、そのまま残り勇者の遺跡を見回る事にした。
昨日は見ていない、壁画があった場所から内側に入ると構造が全く違った。
配置的に外側になる柱が有った場所の方が後から作られたと思うが、

「拓ちゃん、外側とはずいぶんと違うな。」
「俺も、そう思う。」
「素材が白だと、ビルの残骸みたいな感じがするな。」
「俺も、そう思う。」
「これだけの広さなら、地下も有るんじゃないか?」
「俺も、そう思う。」
「……大丈夫か拓ちゃん?」
「外側が神殿みたいなのに、内側が現代的な建物みたいで違和感が有って。
 せっかくだから、構造の確認でもしようか」

壁に使用されている材質は石の様に見えるが、ずっと強固みだいた。
柱を見る限りでは建屋として高さも有ったのだろう。
階段みたいな跡もあるが、地下への入口は無かった。
地下への探索も行ってみたが、何も見つけることが出来なかった。

「グリムは勇者の遺跡に関して何か知っている事は無いのか?」

『儂が知っている事は殆ど無い。地下室や、隠し部屋が有れば既に発見されているじゃろう。』

「そうだよね。ちなみに、建屋の材質について知っている事は何か有る?」

『残念ながら。我々の時代にも、この様な材料を使って家は建てられていない。
 儂の知っている中では、遺跡だけじゃな。』

「勇者の遺跡って、全てこんな感じなのかな?」

『そうじゃな、内側は白い滑らかな壁が有り、その外側を石で出来た建物が覆っておる。』

2重構造の遺跡。本来の勇者の遺跡は内側のビルの残骸の方なのだろう。

遺跡の時代の方が技術は進んでいたが、何かが起こり技術は失われた。
ガイアの門か、技術が完全に失われる様な現象って何だ。
しかし2千年以上経っても技術が復活していないなんて酷い世界だな。
勇者、天使に魔人…全員が遺跡の時代の人達か。

「どうした、拓ちゃん。」
「過去に思いを寄せていたんだよ。
 今より発達した高度な古代文明、忍び寄る破滅の足音。そこに現れた天使と魔人そして勇者。」
「まるで、何かの映画の宣伝文句だな。」
「でも実際に何が起きたんだろう?他の遺跡も回ってみれば分るかな。」
「謎が謎を呼ぶ遺跡探検か、そして真実にたどり着く俺達か。面白そうだな。」
「映画じゃないから、謎が謎のままという終わりも有るけどね。」

新しい発見も無く遺跡散策を終える頃に、狩りに行った2人が帰って来た。
ケーマの満足そうな顔を見ると、無事に獲物が取れた様だ。
さて、今夜の食事にかかりますか…
昨日は大人チームが作ったので、今夜はケーマと俺が担当だ。
ケーマが料理を作った事が無いと言うので、メニューは鍋!
ケーマが肉を薄切りにし、
俺が差し入れてくれた野菜と採取してきたキノコをを一口大にカットするカットする。
食材の用意が出来上がった所で鍋の準備。
キノコのダシをベースにミリン、酒を入れ醤油と塩で味付け
枝豆とサラダの付け合わせに用意してみた。

「「美味しい」」

ケーマもアドニスさんに誉められて嬉しそうだ。
本当にエチゴさんに感謝しないと。
酒、醤油、みりんは調味料の基本だ。

ケーマが今日の狩りの話をしていたが、しばらくすると様子がおかしくなってきた。
コップをみると、こっそり酒を飲んでいたようだ。
そのまま寝てしまったので、アドニスさんと浩司がテントに運んだ。
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