39 / 745
039後始末2
しおりを挟む
2日も休めば俺の体調も完全に戻り、後処理を行う。
集めた魔獣の部位を浄化で奇麗にし、キラービーの毒袋から抽出した毒は瓶に移す。
そして、ミスリルの鎧を材料にしガラ、レオ、そしてエチゴさん達の今使っている防具と同形状の物を錬成した。
後は実際に防具を付けた状態で動いてもらい細かく形状を修正していく。
武器を確認してみると、威力を付ける為に中に他の金属を加え、それなりの重量を持たせてあった。
俺では、重心の感覚などが分らない為、作るのは無理だろう。
集めた武器にはミスリル製の片手剣、両手剣、斧に槍などが揃っていたので、その中から使い勝手の良い物を選んでもらい
刀身は刻まれた文字やマークを消し、持ち手部分を各自の好みに合わせて微調整を行うだけにした。
残ったミスリルの武器や防具について、どう分配するか相談したが、エチゴさん達は必要ないと言う。
「拓さん、ミスリルの武器、防具が高級品なのは、材料が高いだけではありません。
それを錬成できる技術者が少ない上、魔力消費量が多く非常に時間がかかる為です。
錬成術を使わない熟練の職人の場合、更に大変な作業になります。
今回の様な微調整を行うオーダーメイドは、貴族だろうとなかなか出来るものではありません。
この装備には、それだけの価値がありますよ。」
俺の錬成術は保有している魔力量による力技になっている。
そんな認識なので、エチゴさんに言われるまで感覚のズレに気付かなかった。
ガラやレオにも、自分専用に錬成したミスリルの防具だけで十分だと言われ、
「拓ちゃんが使いたいように使うのが一番なんじゃないか。どうせ錬成できるのは拓ちゃんだけだし」
との浩司の言葉で、皆の防具を無料修理する事にし残りは俺が受け取ることになった。
既にエチゴさんの前でアイテムボックスを使ってしまっていたので、ミスリルの武器と防具を収納させてもらった。
「改めて見ると、アイテムボックスというのは凄いですね。
商人としても、冒険者としても憧れます。」
エチゴさんの言葉は、欲や嫉妬の感情も無く素直な気持ちみたいだ。
この人達なら、信じても大丈夫だろう。
魔石や他の魔獣の部位について頭分割でどうかと話を持ちかけたが、
これについても、自分達の分は必要ないと言われOZが頂くこととなった。
アルさんの防具はは動ける様になってから微調整を行う事にし、先に要望を伺ったのだが
肩にツノを付けたり、鋲の様な突起物をつけたいと独特の要求をするので全員から却下された。
元々体が大きく厳つい感じなるので、ヘルムだけを少し派手にすれば十分だろう。
作ってみると気に入ってくれたみたいで、隣に置いて始終笑顔で眺めている。
この広場でも何度か魔獣の襲撃を受けたが、暫くするとその姿は見かけなくなった。
そして10日後、アルさんを馬車に乗せて出発。
全員残念がっていたが、全ての装備はミスリルとは分らない様に細工をさせて貰った。
残りの道のりは順調で、俺達はエデンの町に到着した。
******
半年前
勇者の遺跡と言われる有史まえの建造物の地下から見たことの無い2つの魔道具が発見された。
学者達が魔道具を調べても、何の為に作られたものか分るものは誰もいなかった。
4ヶ月前
1つを発動させることにした。
しかし、発動させた魔道具は大爆発を起こし、周囲がクレータとなった。
この破壊力を知ったアスラーンとグランザムの王国は、残り1つの魔道具を手に入れるため遺跡へ精鋭部隊を派遣する。
先に、アスラーン側が魔道具を手に入れたものの、グランザムの兵に渓谷の上まで追い詰められ、
崖を背にして最後の抵抗を行っていたが戦況は悪化の一途をたどる。
このまま敵に渡るくらいならとアスラーンの武将が魔道具を発動させた。
大地は揺れ、崖が崩壊し両軍の200名を超える精鋭部隊は共に谷底へと消え、誰一人として戻って来た者はいなかった。
その死んだ肉体に幽体の魔獣が取り着き渓谷を、森をさまよい、エデンの町の方角へ進んでいたのだった。
魔道具の事は秘密とされ、
今回の戦を「大戦で失った領土を取り戻す戦い」として市民には伝わった。
その後、いくつもの遺跡が発掘されているが、何も発見はされていない。
集めた魔獣の部位を浄化で奇麗にし、キラービーの毒袋から抽出した毒は瓶に移す。
そして、ミスリルの鎧を材料にしガラ、レオ、そしてエチゴさん達の今使っている防具と同形状の物を錬成した。
後は実際に防具を付けた状態で動いてもらい細かく形状を修正していく。
武器を確認してみると、威力を付ける為に中に他の金属を加え、それなりの重量を持たせてあった。
俺では、重心の感覚などが分らない為、作るのは無理だろう。
集めた武器にはミスリル製の片手剣、両手剣、斧に槍などが揃っていたので、その中から使い勝手の良い物を選んでもらい
刀身は刻まれた文字やマークを消し、持ち手部分を各自の好みに合わせて微調整を行うだけにした。
残ったミスリルの武器や防具について、どう分配するか相談したが、エチゴさん達は必要ないと言う。
「拓さん、ミスリルの武器、防具が高級品なのは、材料が高いだけではありません。
それを錬成できる技術者が少ない上、魔力消費量が多く非常に時間がかかる為です。
錬成術を使わない熟練の職人の場合、更に大変な作業になります。
今回の様な微調整を行うオーダーメイドは、貴族だろうとなかなか出来るものではありません。
この装備には、それだけの価値がありますよ。」
俺の錬成術は保有している魔力量による力技になっている。
そんな認識なので、エチゴさんに言われるまで感覚のズレに気付かなかった。
ガラやレオにも、自分専用に錬成したミスリルの防具だけで十分だと言われ、
「拓ちゃんが使いたいように使うのが一番なんじゃないか。どうせ錬成できるのは拓ちゃんだけだし」
との浩司の言葉で、皆の防具を無料修理する事にし残りは俺が受け取ることになった。
既にエチゴさんの前でアイテムボックスを使ってしまっていたので、ミスリルの武器と防具を収納させてもらった。
「改めて見ると、アイテムボックスというのは凄いですね。
商人としても、冒険者としても憧れます。」
エチゴさんの言葉は、欲や嫉妬の感情も無く素直な気持ちみたいだ。
この人達なら、信じても大丈夫だろう。
魔石や他の魔獣の部位について頭分割でどうかと話を持ちかけたが、
これについても、自分達の分は必要ないと言われOZが頂くこととなった。
アルさんの防具はは動ける様になってから微調整を行う事にし、先に要望を伺ったのだが
肩にツノを付けたり、鋲の様な突起物をつけたいと独特の要求をするので全員から却下された。
元々体が大きく厳つい感じなるので、ヘルムだけを少し派手にすれば十分だろう。
作ってみると気に入ってくれたみたいで、隣に置いて始終笑顔で眺めている。
この広場でも何度か魔獣の襲撃を受けたが、暫くするとその姿は見かけなくなった。
そして10日後、アルさんを馬車に乗せて出発。
全員残念がっていたが、全ての装備はミスリルとは分らない様に細工をさせて貰った。
残りの道のりは順調で、俺達はエデンの町に到着した。
******
半年前
勇者の遺跡と言われる有史まえの建造物の地下から見たことの無い2つの魔道具が発見された。
学者達が魔道具を調べても、何の為に作られたものか分るものは誰もいなかった。
4ヶ月前
1つを発動させることにした。
しかし、発動させた魔道具は大爆発を起こし、周囲がクレータとなった。
この破壊力を知ったアスラーンとグランザムの王国は、残り1つの魔道具を手に入れるため遺跡へ精鋭部隊を派遣する。
先に、アスラーン側が魔道具を手に入れたものの、グランザムの兵に渓谷の上まで追い詰められ、
崖を背にして最後の抵抗を行っていたが戦況は悪化の一途をたどる。
このまま敵に渡るくらいならとアスラーンの武将が魔道具を発動させた。
大地は揺れ、崖が崩壊し両軍の200名を超える精鋭部隊は共に谷底へと消え、誰一人として戻って来た者はいなかった。
その死んだ肉体に幽体の魔獣が取り着き渓谷を、森をさまよい、エデンの町の方角へ進んでいたのだった。
魔道具の事は秘密とされ、
今回の戦を「大戦で失った領土を取り戻す戦い」として市民には伝わった。
その後、いくつもの遺跡が発掘されているが、何も発見はされていない。
6
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~
雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた
思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。
だがしかし!
そう、俺には″お布団″がある。
いや、お布団″しか″ねーじゃん!
と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で
とんだチートアイテムになると気づき、
しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。
スキル次第で何者にでもなれる世界で、
ファンタジー好きの”元おじさん”が、
①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々
②生活費の為に、お仕事を頑張る日々
③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々
④たしなむ程度の冒険者としての日々
⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。
そんな物語です。
(※カクヨムにて重複掲載中です)
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
捨てられ従魔とゆる暮らし
KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設!
冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。
けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。
そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。
クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。
一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。
─魔物を飼うなら最後まで責任持て!
─正しい知識と計画性!
─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい!
今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。
前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~
櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる