30 / 744
030風邪薬
しおりを挟む
しばらく経ち、薬の効果を報告にエチゴさんがやってきた。
「この家はどうされたのですか。」
この2ヶ月間で倉庫は間取りの変更が終わり、外観は同じだが中は全く違っている。
エチゴさんは、以前の状態を知っているだけに驚きも大きいみたいだ。
入口は、何も飾りは無いが、吹き抜けの広いエントランスになっている。
護衛の2人はエントランスで待機すると言うので、エチゴさんだけをリビングに通して話しを伺う事にした。
「何とも、凄い。素晴らしい家ですね。」
エチゴさんは部屋を眺めて誉めてくれるが、部屋の間仕切りが出来ているだけで壁は灰色の面が露出し、未だ必要最低限の家具しか無い。
自分の欲望を満たす為、キッチンと風呂に力を入れ過ぎて手が回らなかった。
魔道具を装備したゆとりのあるシステムキッチン。大理石の天板で小麦粉をこねたりするのも問題なく出来る。
一日の疲れを癒すための、10人でもゆったり入れる広い浴槽。
俺の最優先事項だった。
「あっ、申し訳ありません。早速、本題に入らせてもらいます。
拓さんの薬を人、獣人合わせて50名に使って頂きました。」
その結果、重病人に対しては効果は無かったが、初期であれば数日で完治するのを確認出来た。
重病人に関しては、薬の効果確認のお礼として効果の高い薬を渡したらしい。
「以前にも質問をさせて頂きましたが、拓さんはこの薬を今後どうするか考えられましたか?」
薬の知識はグリムの物で、俺の物では無い。
『昔は一般的な知識で、儂が開発したわけでは無い。
どうせ、拓が居なければ廃れた知識じゃ。拓が一番良いと思った対応をすれば良い。』
浩司にも同じ事を言われ、ガラとレオには、
「それは拓の技術だ。自分で納得のいく考えを出してくれ。知りたい事があれば分かる範囲で教える。」
と言われている。
俺は、この2ヶ月間考えていた事をエチゴさんに話した。
翌日、俺達は孤児院でエチゴさんと一緒に、院長の元を訪れた。
「チコの実とトドリの実を材料に、風邪薬を作る事が出来ます。エチゴさんに効果も確認して頂きました。」
「あの実を使って薬が出来るとは驚きです。で、今回はどの様なお話で?」
その後の話はエチゴさんが引き受けてくれた。大まかな話としては
・孤児院でチコの実とトドリの実をすり潰して天日干しをしたものをエチゴさんに供給する。
・エチゴさんの所で、薬にし販売を行う
・売れた代金の3割をエチゴさん、1割を技術料として俺、残りの6割を孤児院で受け取る。
・販売は10粒で銀貨2枚。製造と売れ行きに合わせて価格を調整する。
といった所だ。ちなみに町で出ている薬は効果は高いが銀貨20枚程になるらしい。
「有りがたい話ですが、粉状に磨り潰すとなると我々では量を作れるとは思いません。」
「そう思い、こちらで石臼を用意しました。
回すのに多少力が要りますが、年上の獣人の子なら大丈夫でしょう。」
エチゴさんが用意してくれたものだ。
俺の考えを聞いて、足らない点に対しアドバイスをしてくれ、準備を手伝ってくれた。
この世界では販売3割、技術2割、製造5割というのが一般的らしいが、技術料は1割にした。
俺はグリムの知識を伝えただけで何もしていないので、少し小遣いが入るだけで十分だった。
製造に関しては、売れた時 獣人の子供が人間に襲われる可能性があるため、素材を提供するだけにし最終工程はエチゴさんの所で行う事になっている。
エチゴさんの所で一部製造を行う事を考えてると、エチゴさんの取り分3割は安いが利益がでれば問題ないと笑っていた。
院長と契約を交してから1週間、孤児院とエチゴさんの所に通い作業工程を教えた。
小さい子供も一生懸命作業を手伝い良い薬が出来上がり、事前に効果を確認するために飲んだ人の口コミで出だしの売れ具合は良好。
「この家はどうされたのですか。」
この2ヶ月間で倉庫は間取りの変更が終わり、外観は同じだが中は全く違っている。
エチゴさんは、以前の状態を知っているだけに驚きも大きいみたいだ。
入口は、何も飾りは無いが、吹き抜けの広いエントランスになっている。
護衛の2人はエントランスで待機すると言うので、エチゴさんだけをリビングに通して話しを伺う事にした。
「何とも、凄い。素晴らしい家ですね。」
エチゴさんは部屋を眺めて誉めてくれるが、部屋の間仕切りが出来ているだけで壁は灰色の面が露出し、未だ必要最低限の家具しか無い。
自分の欲望を満たす為、キッチンと風呂に力を入れ過ぎて手が回らなかった。
魔道具を装備したゆとりのあるシステムキッチン。大理石の天板で小麦粉をこねたりするのも問題なく出来る。
一日の疲れを癒すための、10人でもゆったり入れる広い浴槽。
俺の最優先事項だった。
「あっ、申し訳ありません。早速、本題に入らせてもらいます。
拓さんの薬を人、獣人合わせて50名に使って頂きました。」
その結果、重病人に対しては効果は無かったが、初期であれば数日で完治するのを確認出来た。
重病人に関しては、薬の効果確認のお礼として効果の高い薬を渡したらしい。
「以前にも質問をさせて頂きましたが、拓さんはこの薬を今後どうするか考えられましたか?」
薬の知識はグリムの物で、俺の物では無い。
『昔は一般的な知識で、儂が開発したわけでは無い。
どうせ、拓が居なければ廃れた知識じゃ。拓が一番良いと思った対応をすれば良い。』
浩司にも同じ事を言われ、ガラとレオには、
「それは拓の技術だ。自分で納得のいく考えを出してくれ。知りたい事があれば分かる範囲で教える。」
と言われている。
俺は、この2ヶ月間考えていた事をエチゴさんに話した。
翌日、俺達は孤児院でエチゴさんと一緒に、院長の元を訪れた。
「チコの実とトドリの実を材料に、風邪薬を作る事が出来ます。エチゴさんに効果も確認して頂きました。」
「あの実を使って薬が出来るとは驚きです。で、今回はどの様なお話で?」
その後の話はエチゴさんが引き受けてくれた。大まかな話としては
・孤児院でチコの実とトドリの実をすり潰して天日干しをしたものをエチゴさんに供給する。
・エチゴさんの所で、薬にし販売を行う
・売れた代金の3割をエチゴさん、1割を技術料として俺、残りの6割を孤児院で受け取る。
・販売は10粒で銀貨2枚。製造と売れ行きに合わせて価格を調整する。
といった所だ。ちなみに町で出ている薬は効果は高いが銀貨20枚程になるらしい。
「有りがたい話ですが、粉状に磨り潰すとなると我々では量を作れるとは思いません。」
「そう思い、こちらで石臼を用意しました。
回すのに多少力が要りますが、年上の獣人の子なら大丈夫でしょう。」
エチゴさんが用意してくれたものだ。
俺の考えを聞いて、足らない点に対しアドバイスをしてくれ、準備を手伝ってくれた。
この世界では販売3割、技術2割、製造5割というのが一般的らしいが、技術料は1割にした。
俺はグリムの知識を伝えただけで何もしていないので、少し小遣いが入るだけで十分だった。
製造に関しては、売れた時 獣人の子供が人間に襲われる可能性があるため、素材を提供するだけにし最終工程はエチゴさんの所で行う事になっている。
エチゴさんの所で一部製造を行う事を考えてると、エチゴさんの取り分3割は安いが利益がでれば問題ないと笑っていた。
院長と契約を交してから1週間、孤児院とエチゴさんの所に通い作業工程を教えた。
小さい子供も一生懸命作業を手伝い良い薬が出来上がり、事前に効果を確認するために飲んだ人の口コミで出だしの売れ具合は良好。
6
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
帝国の第一皇女に転生しましたが3日で誘拐されました
山田うちう
ファンタジー
帝国の皇女に転生するも、生後3日で誘拐されてしまう。
犯人を追ってくれた騎士により命は助かるが、隣国で一人置き去りに。
たまたま通りかかった、隣国の伯爵に拾われ、伯爵家の一人娘ルセルとして育つ。
何不自由なく育ったルセルだが、5歳の時に受けた教会の洗礼式で真名を与えられ、背中に大きな太陽のアザが浮かび上がる。。。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる