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022生クリーム

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「拓ちゃん、さっきの服屋のそばに、砂糖と牛乳を扱っている店が在るってさ。
 これは行くしかないよな。」

何だ、この浩司の嬉しそうな顔は。
仕方ない、面倒だけど生クリームを作るしかなさそうだ。
荷物が多いのでガラとレオには店の外で待っていてもらった。
牛乳の他にバターやチーズが売られていたので購入。
砂糖を売っている店に行くと

「げっ。拓ちゃん、砂糖1キロで金貨1枚だけど買っても良いか?」
「予想以上の高さだな。でも、色々使うから10キロ買おうか。」
「さすが拓ちゃん、太っ腹。」

そんな感じで買い物を済まして家に帰って来た。
とりあえず買って来た食料を整理してアイテムボックスにしまった。
終わって後ろを見ると…俺を見つめ続ける浩司の熱い視線がそこに有った。

「未だ、時間もあるから生クリーム作りをやろうか。」

浩司がバカみたいにはしゃぎ、ガラとレオが興味深そうにこちらを見つめてくる。
巨漢3人に囲まれると作業がしずらいので、離れてもらった。

浩司が物凄く残念そうな顔をしているが、1人だけ許す訳にはいかないだろう。

牛乳をボウルに入れて、乳脂肪を分離させるように錬成術を発動
すると、下の方に濃い成分が集まってきた。更に濃厚になった所で、上澄みをお玉で別のボウルに移して終了。
残念ながら少ししか出来なかったが、買って来た10Lを全て生クリームにしたところで

「浩司、ガラ、レオ、生クリームが出来たよ」

3人を呼ぶと直ぐにやって来た。こいつら、何でそんなに素早いんだろう。

「エチゴさんとの待ち合わせも有るから、アイスでも作ろうか。」

容器に牛乳、生クリーム、卵黄と甘い香りがする果物の汁を入れ、蓋を占めて3人に渡した。

「それぞれ、蓋を押さえて容器をシェイクして」

その間に、残りの生クリームと使った容器の片づけ、次の工程の準備だ。
浩司に水を凍らせてもらい砕いておく。
そしてシェイクした容器を2周り大きい容器に入れ間に氷と塩を入れて密封。
それをさらにタオルで包んでテーブルの上で転がさせる。
大型犬がボール遊びをしている感じで、可愛い。
まぁ、レオは虎なんだが・・・

『これも、錬成術を使えば良いのではないか。』

「時間が有るなら、作る過程も楽しんだ方が良いだろ。」

さあ、丁度良い時間だ。容器の中を開けてみると冷たいアイスが出来上がっていた。

「ずいぶん、濃厚なアイスだな。また牛乳を買ってくるから作ろうぜ。」
「これは、冷たくて美味いな。浩司の言う通り、もっと牛乳を買って来るべきだな。」
「ガラ、拓ちゃんに負担がかかるんだぞ。しかし、こんなに美味しいならお願いしたいな。」

喜んでくれるのなら嬉しいけど、レオまで浩司に感化されるとは。
3人が団結してしまうと大量に牛乳を買いそうで怖い。
アイテムボックスに入れておけば良いので問題は無いが、食べ過ぎて腹を壊しそうだな。
そんな事をしていると、あっという間に待ち合わせの時間になった。
約束の時間より少し早く着いたが、既にエチゴさんが人間とクマ族の護衛連れて来ていた。

「では新しい出会いに、乾杯。」

護衛の2人は隣の席で食事をしていた。

「ガラさんから聞きましたが、拓さんは何故遺跡に行きたいのですか?」
「『天地見聞録』をご存知ですか。あの本を読んで、世界中の遺跡を回りたくなったんです。」
「天地見聞録を読んだのか。あの本を読むと冒険したくなりますね。
 私も、あの本を読んで遺跡に憧れました。」

酔いが回ってきたのか、少し顔を赤らめて楽しそうに話し始めた

「拓さん、私はね以前は冒険者をやっていたんですよ。」
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