異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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018ラグテルの町

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町に近づくにつれて、ガラもレオも言葉が少なくなっていた。
森を抜け丘の向こうに壁が見えてくる。

「石垣が見えるけど、もしかして町なのか?」
「そうだ、あれがラグテルの町だ。後もう一息だぞ。」

俺達は先ずギルド会館に行き冒険者の登録を行う予定だ。
冒険者になれば身分証明書が手に入り、この世界での活動が楽になる。
ガラとレオにポーションを渡す代わりに、冒険者の登録の手数料と一晩の宿泊代を受け取っている。
町に着くと入口には門番が立っていて、出入りする人をチェックしていた。

「こちらに来るのは初めてですか、ラグテルの町にようこそ。」

俺達に笑顔で挨拶をしてくれたが、レオに対しては挨拶もしなかった。

異世界の人混みに注意するためウルトラアイを発動。
紫や黒っぽいオーラの人も何人かいるが、それほど治安は悪くなさそうだ。
町にはクマや猫、犬の獣人もいて、思わず見入ってしまうのを何度もグリムに注意さてしまった。
ただ、人間と比べて獣人は少ない。
街並みは石造りの家が並び、中世のヨーロッパの様だ。
ギルド会館は大通り沿いにあり、3階建の重厚感があり目立っている。
重い扉を開けると右手に居酒屋、奥には受付カウンターがあった。
ガラに付き添ってもらい受付のお姉さんに登録の意思を伝えると、

「保証人はガラ様で宜しいでしょうか。」

受付のお姉さんに聞かれ、ガラが頷く。

「分かりました。登録料として1人銅貨10枚になります。」

登録料の銅貨10枚を支払うと水晶玉を取り出した。
そこに血をつけて年齢、名前を言うだけで受付は終了。

「ギルドカードが出来るまで、システムについて説明をさせて頂きます。」

説明を要約すると、
・冒険者の活動は全て自己責任。
・問題を起こした場合、1年間は保証人との連帯責任となる。
・冒険者のランクにはS,A,B,C,D,E,Fの7段階あり、それぞれのランクに応じた依頼を受けることが出来る。
・依頼の達成率に合わせてランクは上がる。
・依頼を達成できない場合は、罰金を支払い。場合によってはランクを降格される。
・Aランク、Bランク、Cランクに上がるには時はギルドの試験に合格することが条件として追加される
・パーティとして依頼を受ける場合は、構成メンバーの平均ランクの依頼を受けることができる。
・パーティ参加は全員の意思で行われるが、脱会は個人の意思で行われる。

説明を受けている間にギルドカードが出来上がりカードについての説明をしてもらう。
・カードは水晶に付けた血により所有者が限定られ本人以外は使用できない。
・カードを無くすと再発行に銀貨1枚かかる。

「依頼は、壁の掲示板にランク毎に張られているので確認して下さい。
 では、無理のない冒険者生活を。」

お姉さんの爽やかな営業スマイルで俺達は冒険者としての1歩を踏み出した。
ガラとレオが依頼の報酬をもらい帰ろうとすると

「てめーら獣人ごときがウロチョロしてんじゃねえよ。」

怒鳴り声が聞こえる。
何事かと覗いてみると、若い獣人のパーティに人のパーティが絡んでいた。
周りの人達は遠巻きに見ているだけの様だ。

「人間様の邪魔をしてんじゃねえよ。魔法も使えないクズどもが。」
「おい、いい加減にしろよ。魔法が全てじゃねーだろ。獣人には高い身体能力が有るだろうが。」

ガラがそいつらの間に割り込んだ。

「何だガラ、正義の味方のつもりかよ。元男爵家の人間はお優しいな。
 高い身体能力を持っていても、強化魔法を使った人間の方が上じゃねえか。
 獣人と組んだら魔導師が仲間に入ってくれないんだって。
 そんな変人なんてお前くらいだよ。
 どんなに剣の腕が有っても、魔法の補助がなければ大変だよな、ハッハッハ。」

この男の言う通り、レオに対して魔法で身体強化を試したが、殆ど効果が無かった。

「これが、獣人の立場だよ。魔法が使えなければクズ扱いだ。
 獣人と組みたがる人間なんてガラくらいだ。
 アイツの剣は、この町で1番なんだ。
 ただ、俺なんかと組んだ為に魔導師の仲間がいない。」

レオが悔しそうに呟いている。
旅の途中 レオが見せた表情、町が近づいてきた時の感じ
ガラに絡んでいる奴等が放つ感じの悪いオーラ
眺めているだけの奴等。
胸糞が悪い。そんな事を思いながら、ガラに絡んでいた奴等の前に立っていた。

「なんだ、ガキ。獣人なんかの為に怪我をしたくなければ退けよ。」

こいつらを睨んで、立っているのがやっとだった。
そんな俺の肩に手が置かれる。浩司だった。

「拓ちゃん、言っちゃえよ。」

『こんなクズどもを放置するんじゃない。』

浩司と、グリムの声で足に感覚が戻り、男に対して言い放った。

「俺等がガラとレオと組む魔導師だ。貴様らのいう変人だ。
 ガラ、レオ、誘ってくれたパーティの話 受けさせてもらう。」

「ワッハッハ、これは笑えるぜ。こんなガキを仲間にするなんて。落ちぶれたな、ガラ。」
「ちんけな魔力で粋がっている馬鹿よりマシだろ。」
「何だとガキ、お前ランクは。」
「Fランクだ。」
「Fランクかよ。俺はCランクだ。実力も無いのに粋がってると死ぬぞ。
 お守りを頑張れよガラ、じゃあな。」

クズ共が笑いながらギルドを出て行った。

「拓ちゃん、良く言った。早速パーティの設定を行おうぜ。」

『いや、甘いぞ。魔法をぶち込んで徹底的に潰しておくべきじゃ。』

浩司が満面の笑顔で俺の背中を叩き、グリムは奴等に対して怒り続けていた。
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