異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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013ポーション

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食事も終わって周りを見ていると黄色のオーラをした植物があった。

「薬草を見つけた。」

周辺に結構な数の薬草がある。

「浩司、悪いけど少しここに居させて。薬草を採取したい。」
「手伝うよ。」
「草に隠れていて分かりづらいから、見張りをしててくれるかな。」

成分が集まっているのは穂先10cmくらい。ハサミを取り出して急いで切り取っていく。

「大量、大量、話の通りなら、これで50本分くらい出来るかな。」

途中、色々な薬草を見つけて寄り道を繰り返してしまい、結局20キロくらい歩いた所で夕方になってしまった。

「ごめん、寄り道をしたから殆ど進まなかった。」
「何で?薬は必要だと思うし、別に急ぎの旅でもないしな。」

浩司が空気を刃の様に出すエアカッターで草を刈り、テントを張った。
魔獣の見張りはグリムが対応してくれる。
このテントは、ちょっとした自信作だ。
テントの形は半円型で余裕のある4人用
生地は保温性が高く、ある程度の攻撃なら防御ができる。
そして、芯に使用した金属は魔力に反応して形状が変わり簡単に折畳み可能。
アイテムボックスに余裕が有るので、畳まずにそのまま保管しているが・・・
床に敷くマットも用意した。
今日は天気が良いので外に机と椅子をセッティング。

「拓ちゃん、このテントは凄いな。ところで風呂は作らないのか?」
「浴槽は土魔法で作れるけど、水が問題かな」
「水筒ってどのくらいの容量になるんだ」
「押入れくらいかな。ミスリルを使ってそれなりに容量があるけど、旅の目処が立たないとお風呂まではカバーできないよ。」

同じ魔石を使い容量の拡張を行っても、器の材料によって拡張できる容量は異なり、鉄で作ると5Lが限界だった。
黒磁鉱石は若干の余裕が有るが、入れ物の材料となるミスリルが無く、今の所諦めるしかない。

「魔力の水は?」
「危険だよ。ミスリルを手に入れたら水筒を増やすから、今は体を拭くだけで我慢して。」

少し飲むだけで下痢を起こすような水に浸かるなんて危険は冒したくない。
一応探索魔法で周囲1キロ圏内に強力な魔獣が居ないことを確認して汗を拭くだけで我慢だ。

「どうした拓ちゃん、早く汗を拭いて飯にしようぜ。」

浩司って気にせず裸になる。挙句の果てには

「大自然の中で素っ裸って、すげー解放感が無いか?」

と言って、「ほら、拓ちゃんも裸になっちゃえよ。」と俺まで裸族に巻き込んで来る始末だ。

夕飯の後、浩司はくつろいで”天地見聞録”を読み始め
俺はグリムの指導でポーションの生成
薬草を微塵切りにし水に漬け、一晩かけて薬草のエキスを水へ絞り出す。
60℃の温度で5日ほど温め続けると、熱に反応して赤くなっていく。。
こうして出来上がった液を1日かけて常温に戻すと青いポーションが出来上がる。
7日ほどかけて作るのが一般的らしいが、錬成術を使うとこの変化を加速さられる。
薬草の細胞を破壊してエキスを絞り出し、熱による変化も数分で終わらせる事ができる。
そして、木と光魔力を練り込み効果の底上げを行う。
どの程度の魔力を練り込めば良いのかが分らず、練り込めるだけの量を注いでみた。
浩司に過熱を手伝ってもらいながら、10分程でポーションが完成する。
初めて作ってみたポーションを瓶に分けると53個になった。

『ほう、素晴らしい色じゃ。やはり、お主の魔力は凄いな。』

腕を切って効果を試すことにしたが

「何やってんだ。」

急に浩司が刃先をつかんで短剣を奪い取った。

「バカ。ポーションの効果を試そうとしただけだよ。短剣を放せ。」

浩司の手は深く切れて血だらけになっていた。治癒魔法をかけようとするのを避け

「ちょうど良い。ポーションをかけてくれよ。」

浩司が痛いだろうに笑いながら言ってくる。

「どうなっても知らないぞ。」

と言いながらも急いでポーションを傷口にかける。
浩司の顔が一瞬ひきつったが、直ぐに自分の手を見た。

「すげ、傷口がもう治った。ポーションって凄いな。」

俺も浩司の手を見ると傷口が完全に塞がっているというか、傷の跡すら無かった。

「良かった。もう無茶をするなよ。寿命が縮んだよ。」
「それはこっちの台詞だ。腕を切ろうとしている姿をみてどれだけ焦ったか。
 でも、これで拓ちゃんのポーションに頼っても大丈夫だな。
 この先も、薬草があったら採りながら行こうぜ。俺も取るから教えてくれよ。」

笑いながら、俺の頭をゴシゴシと撫でてくる浩司に何とも言えない気持ちになる。
そんな俺にグリムが話しかけてくる。

『ポーションは飲んでも効果があるぞ。試しに味見をしてみてはどうじゃ』

「これ、本当に飲めるのか?」

とりあえず、自分のポーションをウルトラアイで見ると飲んでも大丈夫なのは分かるが不味そう。
少し手に垂らして舐めてみると

「やっぱり、不味いじゃないか。」

『ワッハッハ、そうじゃろ、そうじゃろ。
 それでも これは良い方じゃぞ。効果が落ちてくると更に苦味が加わるからな。』

「グリムと何を話してるんだよ。」

浩司が近寄ってくると、ヒザの上に座らせて抱きついてきた。
本当に、この状態ってなんだろうな。

『浩司もこれからポーションを使うのなら、味見をしてみたらいい。』

そう言われて瓶に残ったポーションを口に入れた。

「げっ、不味い。」

『これが、ポーションの味じゃよ。せいぜい怪我をしないよう気をつけるんじゃな。』

「これでも良いらしいよ。悪いものは更に苦味が増えるって。」
「なあ、味の改善は出来ないか。この味だと飲みたくないな。」

『流石に味の改善までは分からんな。』

「これは、色々と実験してみるしかないな。」
「拓ちゃん、美味しいのを頼むよ。」

俺をギュッと抱きしめて頬ずりをしてくるので、困ってしまう。
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