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010反省会

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グリムの意見も聞きたいので、浩司と手を繋ごうとすると

「どうせなら、こっちの方が楽で良いんじゃないか」

そう言って、俺を自分の膝の上に乗せて後ろから抱きしめてきた。

「ちょっとポチャポチャして抱き心地良いな。なんかヌイグルミを抱いているみたいだ。」

俺の頭の上に顎を乗せて完全にヌイグルミを抱いている感じになってるな。
実際には、ゴッツイ男がオッサンを抱いているという状態でしかないのだが。
浩司は、俺の事をどう認識しているのか疑問に思ってしまう。
俺一人だけ、浩司の無意識な行動に意識してしまうというのに…
「何やっているんだよ」と言いつつも、この状態のまま話をする事にした。

浩「今日倒したレッドタイガーってどの位の強さなんだ。」

グ「強さのレベルのランクに分けるとBランクってところじゃな。」

拓「それだど良く分からないよ。」

グ「そうじゃな、簡単に言えば
  S:災害級
  A:200名以上で対応
  B:50名以上で対応
  C:10名以上で対応
  D:5名以上で対応
  E:手練れ1名で対応
  F:大人1名で対応
  という感じじゃな。
  グリーンウルフは個体ではEだが、集団になるとCかDという所か。」

浩「だとすると今日の勝利は結構なものなんだな。」

拓「しかし、そんなのが居るとなると、人里に出るのは大変そうだな。」

グ「そんな事は無いじゃろう。Bランクなんぞ、そうそう居ないぞ。」

拓「たまたま初陣にBランク。この世界は俺達に厳しい…。」


拓「気になったけど、魔獣は呪文も唱えずに魔法を放てるよな。人間と何が違うんだ?」

グ「儂の生きていた時代の話になるが、原因を追究する事は出来なかった。
  この世界には獣人と呼ばれる者も居るが、彼らは呪文を唱えても発動しない。
  しかし魔力は持っていて魔道具や魔法陣を通せば魔法を使える。
  そう考えると、お主達は魔獣に近いのかも知れんな。」

浩「300年も経っていれば、謎は解けているかも知れないな。 
  でも先に、学術的な話より生き抜く事の話をしようぜ。」


拓「先ず簡単に出来る事として、魔法を使う時、名前を言うのはどうかな。」

浩「名前、カッコいいからか?」

拓「名前を言いながら魔法を放てば、お互いに予測がついて次の行動が取り易くなると思うんだ。」

浩「なるほどな。じゃあ、基本攻撃パターンを決めないか。そうすれば連携が取り易くなるぞ。」


拓「異なる魔法を並列で施行する事って出来るのかな。
  今回、レッドタイガーを抑え込んでいると、他の事が何も出来ないのがネックになった。」

グ「それは出来ない。」

拓「複数の魔力放出ができるのに?」

グ「複数の魔力による合成魔法なら使えるが、異なる魔法を同時に人が使う事はできん。
  同じ魔法なら同時に複数発生できるがな。
  同時に異なる魔法を使うなら魔道具を使うしかないじゃろう。
  しかし、儂の攻撃用の魔道具は全て呪われた状態になってしまったかならな。」

浩「なら、2人で合わせてやって行くしかないな。
  拓ちゃんが押さえつけている間に、俺が足元を凍らせて固定するとか。」

拓「それなら行けそうかな。」

浩「その辺も攻撃パターンに組み込むか。」


拓「後、浩司にもグリムの声が直接聞こえる様になって欲しい。」

浩「えっ何で。やっぱり、この恰好は嫌だったか?
  拓ちゃんにしてみれば、俺みたいな男に抱きつかれている状態だしな。」

拓「そういう事では無くて、グリムの知識って戦闘においても役にたつんだよ。
  だから、直接聞こえた方が良いと思う。どうグリム、出来そう?」

グ「今まで試していたのだが、難しいな。」


グ「拓の錬成術で薬や魔道具を作ってみてはどうじゃ。」

拓「例えば?」

グ「色々あるが、傷を癒す回復のポーション、移動速度を上げたり、魔力を蓄える魔道具。
  後は、拡張バッグといったところじゃな。拓ならアイテムボックスも使えるぞ。」

拓「そんなの作れるのか?」

グ「材料が有るから何とかなるじゃろ。
  練成術で魔石に魔法陣を描くが、今の拓なら可能じゃ。
  既に魔法陣が描かれているコアも幾つか有るから使うといい。
  いざと言う時の為に、秘薬も用意してみるか。」

浩「ついでに、通信装置や自動的に障壁をはれる魔道具なんてどうだ。」

拓「後、テントとかこれからアウトドアで使う物も欲しいな。」

グ「任せておけ。儂が徹底的に仕込んでやろう。お主らを鍛えるのは、儂の楽しみでもあるからな。」

拓「お手柔らかに、お願いします。」


浩「基本攻撃パターンは任せてくれ。
  魔法の名前は、この世界の人と出会う事を考えたら普通の方が良いな。
  後、アイテムボックスって、拡張バッグの様に時間による劣化をしない保存を出来るのか?」

グ「そうじゃ。ただし、生き物は入れられない。」

浩「拓ちゃん料理のレシピを教えてくれないか、俺が大量に作っておく。」

拓「それは助かるな。そうしたら俺は魔道具と薬作りか。グリム手伝ってくれるか?」

グ「当然じゃ、我が知識を楽しみにしておくといい。」」

浩「早速、明日から取り掛かるぞ」

全「「「お~!」」」
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