欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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531一大事業?

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「拓さん、疲れているみたいですが大丈夫ですか?」
「昨夜、遅くまで話してしまって少し寝不足なんだ。」

ルーカスに聞かれ、昨夜はやりまくって寝不足とは言えず、ごまかす拓。
しかし、寝不足だが腰は軽い。
移動中拓は寝てしまうと、ガラとレオ以外は見張台の作業で疲れてしまっていると思っていた。

移動中に魔獣と遭遇する事も有ったが、問題無く倒し次の場所へ移動。
そこには領主が自ら来ていて、拓や宮廷魔導士による見張台作りを見て驚いていた。

「話には聞いていたが、本当に凄い魔法だな。素晴らしい物を見せて貰った。」

その後の見張台作りにも領主が来ていて、作業を見ては驚きの声を上げていた。
半分まで終わった所で、一度王都に寄るのでルーカスとハックを帰そうとしたのだが

「「このまま最後まで同行させてもらえないでしょうか。」」

2人共家に帰る気は無いので、ロダン侯爵とピスタ子爵に了解を貰えたらとした。
拓としては自分の提案で当初の予定よりもかなり時間が掛かっているため、これ以上は問題になると思っていたのだが
2人共「宜しくお願いします。」とあっさりと了解してしまう。

「ご子息を、こんなに長い時間付き合わせてしまって大丈夫ですか?」

拓が心配して確認するが

「この様な一大事業に係われる機会は、そうそうないからな。
 迷惑でなければ、是非とも参加させて欲しい。」

逆にお願いされてしまう。
確かに国としては瘴気の吹き溜まりを見張る行為は重要だとは思うが、
拓としては自分と宮廷魔導士が3日ほどで作り上げる見張台が一大事業と言って良いのか疑問だった。
正直、その後の見張り続ける行為の方が重大な事業だと思っていた。

そして途中の村を寄りながら、予定していた全ての見張台を作る作業が終わった。

「宮廷魔導士の皆さん、お疲れ様でした。護衛に付いてくれた兵士の方々もお陰で安全に作業をする事が出来ました。
 オリバー隊長、もう1日ここに留まって、酒は出せませんが完成祝いをしませんか?」

オリバー隊長が賛同してくれると、兵士達から歓声が上がった。
喜んだのは兵士だけでなく、同行していた領主もだったが・・・
野外でそれなりの人数が居るので結局バーベキューになってしまうのだが、全員が拓の提供する肉に期待を持っている。
拓もその辺は承知しているので、グリフィンの肉にすると話すと、更に大きな歓声が上がった。

次の日は、朝から全員がソワソワしているので、軽く朝食を食べた後直ぐにバーベキューの準備を行う事にした。
食材を切る係、薪を集める係、竈を作る係と別れて作業を行う。
グリフィンの肉は塩コショウで十分に美味しいのだが、一応拓の方で焼き肉のたれを用意する。
皆の行動は早く、昼食まで時間が有るが既に準備は整っていた。

「少し早いですが、バーベキューを始めましょうか。」

拓の掛け声に「「「お~」」」歓声が上がった。
全員の食いつきが本当に良い。
しかし、OZもクリームもこの旅で何度も食べているというのに、何故そこまでして食べようとするのか不思議に思う拓だった。
領主を含め全員が拓に礼を言ってくるが、その中にクリームのメンバーまで含まれているのは違和感しか感じない。

そして、夜もバーベキューを行った。
拓はこれ以上食べる気は無く、1人だけあっさりとした食事に切り替えた。
他の人にもあっさりした料理を勧めてみたが、全員が肉を選択する。
昼もそうだったが、用意した野菜は残り肉ばかり減っていく。

「エチゴ殿、拓殿。グリフィンの肉を販売する予定はないのか?」

領主に問われるが、その予定は無いと答えると本当に残念そうにしていた。


エチゴ商隊は少し村を回って帰るのでオリバー隊長達とはここで別れる。
オリバー隊長や領主からも肉の礼を言われて出発する。
ここには見張台を作りに来たというのに、皆の記憶に一番残ったのは焼肉だった。
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