欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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492報告

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エチゴ商隊は未だ日が高い内に王都に着いた。

「拓さん。お疲れ様でした。これで休憩所の対応は全て完了です。
 お陰で、移動時に安心して夜を明かすことが出来ます。」

拓はエチゴから感謝の言葉をもらい、他のメンバーからも「お疲れ様」と声を掛けられる。

「ありがとうございます。これから登城して報告をすれば、これで俺の一応の目的は終わりかな。」

大きく伸びをする拓を見て、皆は素直に凄い奴だと感心していた。
拓はガラとレオと一緒に城へ向かおうと声を掛けるが

「拓。俺達は別行動を取らせてくれ。冒険者ギルドで色々と状況を確認しておきたい。」
「それに、皆の様子を見ておいた方が良いだろ。」

別行動をする事にし、拓はダイフクと城へ向かう事になった。
拓の方でも城で情報収集を行い、出来れば浩司、由美、里香を連れて魔獣の集まっている場所での討伐を行ってみたいと考えていた。


拓が城に顔を出すと、直ぐにオリバー隊長が来て国王の所へ案内する。

「急な登城にもかかわらず、対応ありがとうございます。」
「拓殿が王都に戻って来たのは分かっていましたので、問題ありません。
 ガラ殿とレオ殿は一緒では無いのですね。また特訓が出来ると思っていたのですが残念です。」

オリバー隊長の言葉で、拓は2人が特訓を回避するために別行動を取ったのではないかと疑ってしまう。
拓は前回の討伐で怪我をした兵士達の状況を確認すると、全員が完治しているとの事。

「拓殿は、町に寄って貴族の私兵の治療を行ってくれたそうですね。ありがとうございます。」
「大変な戦いだったそうですね。死者が出なくて良かったです。」
「勇者様3名のお力のお陰です。正直、かなり危険な状態でした。」

今は魔導士も接近戦に対する訓練を始めているらしい。
そうなると、この先の戦いは勇者も危険な立場になるという事だ。

「今後、勇者様達には腕の立つ兵士が付きます。」

拓の顔を見たオリバー隊長が説明し、話を変える。

「拓殿は港町でシーサーペントを退治されたそうですね。」
「かなり現実から離れた話になっていますね。私は1冒険者として参加しただけです。
 報酬としてシーサーペントの肉を大量に受け取ったので、ルドルフ料理長に調理してもらって味見をしてみましょうか。」

拓が笑って否定するが、領主から拓の活躍については報告を受けていた。
海上を駆け抜け、魔法攻撃を行いシーサーペントの注意を自分だけに向けさせ、最後は頭を凍らせて動きを止めたと。
拓が居なければ討伐どころか、どれだけの被害が出たか分からないと。
しかし、その事には触れず、「楽しみにしています。」と言って国王の元へと向かう。

「所でポトリ教授はまだ戻って来てないのですか?」
「未だですね。もう少し時間が掛かるみたいです。」

拓は小島の遺跡で現れた古代文字を解読して欲しかったが、とりあえずオリバー隊長に写真のコピーを渡す。
可能であればと解読を依頼する。

「城には古代語に精通した文官も居ますので、対応出来るかと思います。
 対応が完了しましたら、直ぐに連絡をさせて貰います。」

拓は礼を言ってオリバー隊長と歩いていると、やたらと視線を感じていた。

「それにしても、今日は女性の姿が多いですね。」
「拓さんが王都に戻って来たと聞いて、集まって来たのでしょう。」
「他にやる事が有るでしょうに。ですが、休憩所も作りという私の役割は終えたし、やっと見納めですね。
 報告義務は無くなりますので、こっそりと顔を出させて貰いますよ」

オリバー隊長は、拓が自分を過小評価している訳ではなく、この状態を面倒だと思っているのが良く分かった。
それで貴族の令嬢の色香に惑わされる事な無くなるのならと無駄な安心をしていた。


本当に拓の行動は筒抜けなのか、広間には大勢の貴族が集まっていた。
拓が貴族が並ぶ中、国王に全ての休憩所作りの終了について説明を行うと

「拓よ。其方の活動は現状の局面を打開するために重要な意味を持つ。良く対応してくれた。」

国王からお褒めの言葉を受けた後、横に立っていた年配の男から金貨が渡されることが発表される。
貴族達から拍手を受け、報告は終わった。
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