欲にまみれた楽しい冒険者生活

483夜景

雨が止んで皆の所へ戻る前に、拓は船で海から港への景色を堪能させてもらう。
写真を撮りまくり、夜景を撮るポイントを考える。

「拓さんは、こんな風景が珍しいのか？」
「そりゃ、そうですよ。こんなに立派な船が並んでいる所なんて滅多に見られませんから。
　夜になって、船の明かりが灯ったら綺麗だろうな。」
「船の明かりか・・・拓さんの期待に応えられるかは分からないが、良さそうな場所に連れて行ってやるよ。」

拓に自分達の港や船を褒められ、ブルの顔は綻ぶ。
拓達が港に戻ると、ＯＺ、エチゴ、アル、クリームのメンバーの他にドレイク船長も一緒に出迎えてくれた。
ブルがドレイク船長を始め、皆に拓に夜に船の明かりが灯る夜景を見せる話をするが

「拓の事を宜しくお願いします。」「拓、気を付けて行って来いよ。」

誰も同行しないみたいだった。てっきり一緒に見に来るものと思っていた拓が不思議に思っていると

「俺達はコテージでゆっくりと酒を飲んでいるよ。」
「見ろよ、良い酒が手に入ってな。魚をつまみに、こいつで一杯だ。」

男性陣の手にはドレイク船長のお勧めの酒が・・・
せっかくなので今夜は飲み会をするらしい。会場はクリーム男性陣のコテージ。
全員が酒と魚を楽しみにしているのが良く分かる・・・が、ちょっと呆れ顔の拓。
明日はダイビングの予定が有ったが、今日の雨で海水が濁ってしまうのでダイビングは１日ずらした方が良いとドレイク船長に提案され
今夜は食べて飲んで楽しんで、明日もビーチでノンビリり過ごすことにするとの事。

「拓さん、どうする。海からの夜景は日を改めるか？」
「ブルさんが良ければ行きましょう。正直、この宴会に参加したら、明日１日が二日酔いで潰れてしまいます。」

どう見ても酒の量が異常に多く、危険極まりない。
それに、荒くれ者達の夜のパーティを覗くチャンスでもあった。

「そうしたら、夕食が終わる位にコテージに迎えに行く。
　夜の海は少し肌寒いので、少し暖かい格好で待っていてくれ。」

ドレイク船長とブルは一旦そこで別れ、拓達はコテージの方へと移動する。
コテージに戻り皆に遺跡の写真を見せるが、現れた古代文字には興味が有るものの島自体には興味は無くビーチで寛ぐのが一番となっていた。
夕食を堪能しコテージに戻ると、ブルが拓を迎えに来てくれた。

「わざわざ、コテージまで迎えに来て頂きありがとうございます。」
「いや、拓さんが１人で歩いて酔っ払いに絡まれたりする方が危険だからな。」

ブルの話だと、ドレイク船長も同行を考えていたみたいだが、打ち合わせが入って来れなくなってしまったらしい。
ここに来てから船長がずっと忙しくしているので、拓が何か問題でも起きているのかと聞いてみると、

「実は、シーサーペントが出てな。その対応をどうするかで頭を悩ませているんだ。」

シーサーペントは海に現れる巨大な魔獣で、船が襲われれば沈没させられる危険がある。
それが船の航路に現れてしまい、方針が決まり次第動けるようにと港の船、船員は待機状態になっていた。
港の方まで入ってくる様子は無く、退治するか刺激せずに何処かへ去るのを待つかで意見が割れていた。

「皆さんは気にしないで大丈夫だ。このビーチは浅瀬でシーサーペントが入って来る事は出来ない。」

ブルは皆に安心するように言うと、拓と一緒に港の方へと移動を始めた。
拓と２人だけになると、ブルが話しかけてくる。

「今夜も船で色々とやっていると思うが、覗いてみたいか？」

当然、拓の答えは「覗く」一択だった。
時間を調整して船に案内するとして、先ずは夜景を楽しむ事に。

ブルが小型船で連れて行ってくれたのは港の船が綺麗に見える場所。
それぞれの船に明かりが灯り、バックには町の明かりが見える。
拓はブルに礼を言って、夢中で写真を撮り始める。
ブルは海上を移動しながら、拓が気に入りそうな場所を案内してくれた。