欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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470撮影会

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次の日は未だ暗闇の中、OZ、エチゴ、アル、更にクリーム、ゴルゴ、サブまでがクロイツ公爵の屋敷を尋ねた。
王都の外で撮影を行うので警備という名目だが、全員が興味本位でしかない。
実際、拓から依頼をしたわけではなく、全員が警護の押し売りで報酬は拓の用意する昼飯だけだ。
クロイツ公爵に警護として来てもらったと話をすると、

「これだけのメンバーが揃うなら、安全だな。」

問題なく受け入れてくれた。
今回は執事の方で細かい対応をし、衣装等も用意してくれている。
カメラマンには執事から今日の撮影をする詳細資料を渡されていて、撮影場所へ移動するまで拓と詳細について話していた。
撮影場所は森の中に有る小さな泉。
当然私兵も同行しているので かなりの人数なのだが、目的地に着くと何故かサリナ姫に勇者3人、更にはヨギ魔導士まで・・・
当然護衛の兵まで付いている。

「皆さんは、ここで何をしているのですか?」
「拓さんが噂になっている写真を撮ると聞いたもので、是非見学させて頂こうと思いまして。」

クロイツ公爵の方を見ると、話は通っているみたいで頷いていた。
サリナ姫の前で写真の話をしたのが失敗だっただろうか。仕方ないので、大勢の観客の前で撮影会を開催する事にした。
暗闇の中、拓は泉に氷の城を作り出す。と言っても1m位の小さなものだが。
別に巨大なテラスを作りクロイツ公爵夫人に乗ってもらう。

朝日が昇って来ると、カメラマンの出番。
小さな氷の城に近付き、朝日に輝く巨大な城、朝日を浴び歌うクロイツ公爵夫人の姿を撮る。
クロイツ公爵が馬に乗って現れ、見つめ合う2人。
しかし霧が城に覆われると、城は消えてしまった。
あの城と女性は幻だったのか?
クロイツ公爵は泉の前で一人佇んでいると、水の女神が現れた。
クロイツ公爵は女神に跪く。

「女性は、竜神によって氷の城に閉じ込められています。
 彼女は龍脈を操る力を持つ巫女。
 龍神にとって彼女は力の源。決して手放すことは無いでしょう。
 其方に戦う意思が有るのなら、一度だけ助ける機会を与えましょう。」

水の女神が輝くと霧と共に氷の城が現れ、テラスまでの氷の階段が作られた。
そして、女神の居た所には剣が有る。

クロイツ公爵は剣を掴むと氷の階段を上り、女性と共に城から逃げだす。
その時、城が崩れ氷の龍が現れた。
クロイツ公爵は剣を構えると剣が輝く。
龍が放つ氷の刃を剣を振るって叩き落とす。

激しい攻防の中、クロイツ公爵の服は裂け露出した肌に血が滲む。

「このままでは竜神には勝てません。龍脈の力を集めます。どうか力を制御してください。」

女性は龍脈の力をクロイツ公爵へと集める。
クロイツ公爵が剣を掲げると、頭上に光の渦が発生。
剣を向けると光が龍を襲う。
龍は氷の破片となって砕け散り、剣は水の女神へと姿を変える。
2人の頭上に降り注ぐ光の粒子。

「良くぞ龍神を倒してくれました。其方達に幸福が訪れんことを」

クロイツ公爵は城に戻ると女性に結婚を申し込み、2人は末永く幸せに暮らしたとさ。


「カメラマンさん、物語は完成しましたか?」
「ばっちりです。素晴らしい写真が撮れています。」

写真を確認すると拓の繊細な魔法の他に、遠近法を使って城や龍を巨大に見せたりして予想以上に良い感じに写真が撮れていた。
水の女神は拓が魔法で人型の水の塊を作っていたのだが、写真を通してみると実物以上に神秘的に見える。
龍神と戦うクロイツ公爵は凛々しく、光る剣筋や氷の刃、そして最後の龍脈の力の放出は素晴らしい迫力だった。
上半身半裸のクロイツ公爵が剣をかまえる姿は、拓にとって別の意味で良い感じだ。
後は、幸せな2人の姿として、ダンスや優雅にお茶会をしている写真等を拓が光と水で演出し、
最後はの泉の上に作った小さな氷の足場に立ち、抱き合う2人がお互いに見つめ合う。
既に暗くなり、周囲には光の粒が輝き、まるで星空の中の様だった。

「お疲れ様でした。想像以上の大作が撮れました。」

拓が終わりの合図を出すと、周囲から拍手が起こった。
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