欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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466現実

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食事は、全員が拓が異世界から召喚されたことを知っている人だけだった。
食事が運ばれると、執事もメイドも全員が部屋を出て行く。
食事が始まると、拓が行った勇者達の特訓について聞かれる。

「保有している魔力を消費させてから、魔力制御の訓練を行いました。
 やはり魔力量が多いと制御し難いと思いまして。
 もともと大量の魔力を持っている状態で練習をしていたので、コツさえ掴めば形になるのは時間の問題でした。」

国王は成程と思いながら、質問を続ける。

「勇者3人もの魔力をどうやって消費させたのだ?簡単な事では無いだろう。」
「その辺は、人の居ない場所で連続で魔法を放ってもらうだけです。」

拓は何処で?と聞かれたらどう答えようかと考えていたが、それ以上の質問は無かった。

「また、勇者3人と特訓をしてもらえないだろうか?」
「勿論、対応させてもらいます。出来れば、見張を付けないで頂けると助かるのですが。」
「はっはっは。まぁ、付けようとしても意味が無いみたいだからな。分かった、護衛は付けない事にする。
 勇者3人の指導をよろしく頼む。
 その代わり、こちらも拓殿やOZとしての特訓に力を貸そう。」
「・・・」

任せろと言わんばかりの3将軍とヨギ魔導士長。
国王は報酬の様に言うが、何が嬉しくて地獄の特訓を受けなければいけないのだろう?
色々と疑問は有るが、拓はぎこちない笑顔で応えていた。

「それから、ポトリから連絡が有った。戻ってくるのは2ヶ月ほど後になるそうだ。戻って来たら拓殿に連絡する。」

勇者3人の特訓が上手くいったので、1ヶ月後に再び拓との特訓を行なおうかと拓が提案するが

「1ヶ月後では時間が取れないだろう。
 拓殿も忙しいだろうから、3ヶ月後といった所だろうか。
 拓殿は十分に結果を出してくれている。少し休みも有った方が良いだろう。
 それまでは、魔導士団と第3騎士団が連携して訓練を続けよう。」

国王が話をまとめ、食事会は終わった。
この後、何が有るのかを知っているみたいだが、特に話す気は無いみたいだ。
ガラとレオには明日の夜に合流すると話を通してあるので、拓は今夜はゆっくりと出来る。
明日の昼過ぎまで寝過ごしても何も問題は無い。
拓はダイフクを抱え、嬉しそうに第3騎士団の宿舎へ向かおうとするのだが、

「拓さん、少し話をさせて下さい。」

浩司に呼び止められてしまう。直ぐそこに楽しい肉欲の世界が待っているというのに。
拓は仕方なく浩司の部屋へ。

「拓さん、もし、もし俺が王女と結婚したとしたら、どうなるのか分かりますか?」
「まぁ、浩司は勇者だから、この状態が終われば貴族となるんじゃないかな。王女との結婚なら、領主となるかも知れないし。」
「それって、領地を管理することになるって事ですよね。」

浩司が少し得意げな顔をする。

「領地を管理するって、領民の生活を支えるってことだよ。
 領主が無能なら、領民は苦しみ、下手をすると死人が出るかもしれない。簡単な事じゃない。」
「でも、元の世界のチート知識が有れば。」
「領民は苦しむだろうね。この世界を回って来たけど、この世界は科学とは違う魔法技術で発展している。
 魔獣が居る世界だから娯楽が少ないけど、生活基盤はそれ程差は無いと思う。
 むしろ、魔法と科学の違いが足枷になる可能性が高い。
 自分がチートだと思っていたら、きっと上手くいかない。
 勇者に対して悪さはしないと思うが、貴族達との腹の探り合いが必要になる。
 城に居る間は周囲が守ってくれるが、領主となったらそういう訳にはいかない。下手をすると食い物にされるよ。」

拓は少し強く言い過ぎたかと思ったが、浩司の様子を見ていたら仕方なかった。
正直、拓は貴族を避けてきて、ブルネリ公爵達に助けて貰い腹の探り合いはしていない。

「本気で考えているのなら、実際の貴族に話を聞いてみた方が良い。
 ブルネリ公爵やクロイツ公爵、後はロダン侯爵なら詳しいだろうし紹介できると思う。」
「・・・紹介してください。知らないと話にもならないのなら勉強します。」

拓は自分では絶対に選ばない道だが、浩司が本気で願うのなら手伝うつもりでいた。
伝手で信用できる貴族を紹介するしか出来ないが・・・
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