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463サポート訓練

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朝早く、拓はパウロとヨーゼフに起こされた。

「何でこんなに早く起きるんだ?」
「昨日、言い忘れたがこれから食事をして出発だ。」
「えっ、こんなに早くに出発するのか。冒険者より朝が早いじゃないか。朝っていうか夜中だろ。」
「馬車を飛ばして何時もより遠くで魔獣退治を行うからな。冒険者達が動く前に移動を開始する。」

半分寝ぼけている拓を連れて食堂へ行くと、全員が既に準備が終わっていた。
勇者の3人とヨギ魔導士も一緒だ。

バラン将軍の指揮の元、馬車を飛ばして目的の休憩所まで移動。
拓は馬車の中ではパウロとヨーゼフに挟まれて体を支えて貰い、ダイフクを抱いて熟睡。
ダイフクも心得ている様で、触手を伸ばして拓の頭をしっかりと支えていた。
同行している勇者、兵士も静かにしていると拓の寝言が聞こえてくる。

「それ以上煮込んだらソースが焦げるぞ。常備菜を用意しておけばアレンジで色々と作れるから。」
「肉料理ばかり作るのは飽きるんだよ。せめて漬け丼。良い魚が揃っているぞ。」
「そんなケーキばかり食べていると、太りますって。砂糖の取り過ぎは吹き出物が出来ますよ。」

その寝言は食べ物の事ばかり。
隣に座っていたパウロとヨーゼフは問題になる様な事を言おうとしたら直ぐに起こそうと思っていたが、その心配は無用だった。

馬車がスピードを出しているため酷い揺れだが、そんな中でも熟睡している拓。
少しピリピリしていた空気が治まっていた・・・と言うより、皆が笑いを堪えていた。
起こした方が良かったのかも知れない・・・
結局、昼飯で一休みする時だけ起きていたが、移動中、拓はずっと寝続けていた。

一日掛けて移動し、休憩所に着くと直ぐに野営の準備。
次の日の朝早く、数人の警備を残して歩いて出発。
途中で出てくる魔獣は勇者達と拓の4人で全て対応。

「あの程度の魔獣なら、もう少し威力を抑えて精度重視。こんな感じで。」

拓が攻撃魔法を放って魔獣を討伐する。どれも魔獣の急所に当てている。
それどころか、魔獣に重なって見えない所にまで的確に。

「こんな感じって、拓さんは探索魔法を使っていますよね。流石にそこまでは。」
「大丈夫、探索魔法を使えなくても視覚確認だけでも、もっと上を目指せるよ。勇者を止めた後を考えたら、細かい魔法制御が出来た方が良いぞ。
 今の状態だと、倒した魔獣から素材が得られないから。」

「「「・・・」」」

拓の話に勇者達は笑うだけだったが、周囲の兵士達は言葉を失い思わず拓を凝視する。
拓は気にせず勇者の魔法指導を続けていた。

「拓殿、これより先になると魔獣が多く集まっています。我々が前衛として戦います。」

ある程度進むと、兵士達が前に出る。拓の探索魔法でも大量の魔獣の存在を確認している。
そこからは勇者3人のサポート訓練が始まった。
兵士達を避けて攻撃魔法が後方へと飛んで行く。
ただ、後方へ飛ぶだけでその先に魔獣が居るかまでの制御は出来ていない。
とにかく味方に当てずに飛ばす。
それだけで、数の多い魔獣との戦いでは有効なサポートとなり、兵士達の戦いはかなり楽になっていた。

何度も休憩を挟みながらも魔獣討伐を行い、今日の訓練は終了となった。
損傷の少ない魔獣は拓がアイテムボックスに収納。これは、今回拓が参加する事に対する報酬の一部として許可してもらっている。
休憩所に戻ってくると、休憩所には商人の馬車が数台止まっていた。

「皆様、お疲れ様でした。魔獣討伐の成果は如何でしたでしょうか?」

商人の代表が挨拶をしてくる。そして拓の方に期待を込めた視線を向ける。
どうやら、ここで訓練を行い、拓が同行する事を知っていたみたいだ。

「討伐した魔獣を手に入れてきました。もし、ここで買い取って頂けるのなら安く卸させて貰いたいと思いますが如何でしょうか。」
「宜しければ、討伐した魔獣を見せて貰えないでしょうか。」

拓は商人と値段交渉をし、6割程度の値段で卸すことにした。
交渉というより拓の提案した価格がそのまま通ったのだが・・・
ここで魔獣討伐をしている間、商人が倒した魔獣を引き取る事となった。
但し、休憩所での食事を商人達に持ってもらう。
この集団で食事をすると固いパンに干し肉が続く。拓としてはそれを阻止できるのなら安い物だった。
今夜の分の野菜と調味料は提供すると、拓は休憩所の横に壁で覆われた場所と岩のテーブルを作り上げる。

「こちらで解体できる分は、こちらで作業して頂ければ良いかと思います。」
「ありがとうございます。ここの使用料ですが・・・」
「それは気にせずにどうぞ。その代わり、食事を期待させてもらいますね。」
「任せて下さい。」

商人達は利益を求めるが拓に対して迷惑を掛ける様な事はしない。
今回の卸値も8割での値段が妥当と考えていたが、拓の方から6割との提示がされ

「それだと、輸送を考えても非常に安い価格となってしまいます。」

拓もそれは理解していて、その代わりに食事の準備をして欲しいというので商人達も受け入れていた。
購入した魔獣は質も良く、兵士達の食事を付けても十分過ぎる取引だった。
拓が保管する魔獣の量は多く、毎日馬車を往復させる必要が出てきた。
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