欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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453報告

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王都に戻ってくると、クロイツ公爵とOZはそのまま登城させられた。
城に着くとサリナ姫とオリバー隊長が出迎える。

「クロイツ公爵、OZの皆さん。この度のアンデットの対応をありがとうございました。そして、休憩所作りをご苦労様です。」
「今回は退治は討伐部隊に任せたのですが、何故呼ばれたのでしょうか?」
「皆様のお陰で、周囲の村が無事で済みましたから。どうぞこちらへ。」

拓は小声で「姫自ら案内をするって変じゃないか?また国王が変な事をやろうとしてないよね」とサリナ姫に聞と、
「今回は大丈夫よ。私は結婚式の話を聞こうと思って案内を買って出ただけ。王都でも凄い噂になっているわよ。」目的は別に有った。
通されたのは普通の部屋で、国王と3人の将軍、そして勇者3人が待っていた。

「この度はアンデットの退治、ご苦労だった。OZの3人が嫌がると思い、この様な場を用意させてもらった。」

オリバー隊長からの報告の後、国王から幾つか質問が行われ話が終わると、国からアンデット退治の報奨金と休憩所の代金が渡される。
しかし、拓の前に置かれた休憩所の代金が2袋ある。

「一つは国から、そしてもう一つはバラキエ公爵からだ。」
「何故、バラキエ公爵が金を支払うのですか?」

拓が探る様な感じで聞くと

「拓殿が休憩所を作った理由が何であれ、バラキエ公爵は助かることになる。
 派閥をまとめる者としては、何もしない訳にはいかないだろう。
 拓殿が受け取りを拒否すれば、派閥内で争いが起きるかもしれないな。」

国王が笑顔で拓に説明するが、目は笑っていない。

「有難く受け取らせて頂きます。お金は幾ら有っても困る事は有りませんしね。」

拓がその場の雰囲気を和らげようと発した最後の言葉は、誰にも反応されることなく見事にスルーされていた。
そして、アンディ・ジョーンズから手紙が届いたと言って瘴気の吹き溜まりの図の写しが渡される。
拓は無事に情報が届いたことに安心しつつも気を引き締める。

「アンディ・ジョーンズからの手紙だ。瘴気の吹き溜まりが近づいてきている。
 今回のアンデットの件も、この影響を受けているのかも知れない。
 この先、何が起きるか分からない。気を付けて行動をして欲しい。」

国王に言われ、OZの3人は背筋を伸ばし頭を下げる。

拓がこの先どの様な事が起きるかと尋ねるが、前代未聞の事なので国としても何とも言えない状態らしい。
サリナ姫はこの件は聞いていなかった様で、驚きを隠せずにいた。

国王からの話はこれで終わりだったが、場の空気が重くなってしまい少し気持ちを軽くしようと国王が話を変える。

「そう言えば今回の結婚式では、素晴らしい演出をしたそうだな。」
「カーラさんやダリウスさんだけでなく、他の参加者の方々にも喜んで頂けたかと思います。」

国王に写真を見せてもらいたいと言われ、拓はサリナ姫や勇者達に見せるために整理しておいた写真を表示する事に。

「ステキ」「綺麗」「憧れるわ」

由美、里香、サリナ姫が拓が写しだした写真を見て思わず声が漏れる。
先程までの重い空気を吹き払うかのように、全員が写真に話を合わせていた・・・
第2騎士団将軍のシンシアも国王の護衛に付いているにもかかわらず、写真を見入っていた。
最後は写真家のガメラが写した貴族達の氷のステージでの写真。

「これは本当に素晴らしいな。貴族達の間で噂になるはずだ。皆、良い顔をしている。」

写真を見終わり、国王が拓に話しかける。そして、目をキラキラさせた由美が拓の手を握って前のめりに話してきた。

「拓さん。私の結婚式の時にもやってくれませんか?」
「良いけど、好きな人でも出来たの?」
「そんな相手は居ないけど、こんな結婚式を挙げてみたい。ゴンドラとかにも憧れているのよね。」
「ゴンドラって・・・本当にやる人って居るのか?」

拓が苦笑いをする中、由美が一人想像を膨らませていた。
ただ、国王や将軍達は気が気でない。勇者の結婚・・・これがどれだけの影響力を持つか・・・
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