欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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432真実

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「これは以前、国王様に言われ作った地図です。拓殿も龍神が現れたのはご存じですよね。」

それは、国王からオリバー隊長経由で受け取ったのと同じ龍王、龍神と呼ばれる伝承の伝わっている場所をまとめた地図。

「龍神が現れたとなると、オニキス教授の探していた物は海の方のダンジョンではないかと。
 そして、新しいダンジョンを発見したか、鍵を見付け龍神が解放されたのかも知れません。」
「・・・」

ポトリ教授が自分の話に酔っている?
拓が呪いによって幻影を見せ海賊を退治した事が、こんな事になってしまうとは・・・

「あの、非常に話し辛いのですが、あの龍神は呪いによって作り出された幻影ではないですかね。
 攻撃は呪いで派手に見せた中級魔法で、船が燃えたのでパニックになっただけかと。」
「では、町に戻された海賊が奪った財宝は?」
「きっと、船が沈む前にアイテムボックスにしまったのかと。そもそも龍神が財宝を町に戻していたら騒ぎになっていたかと・・・」

ポトリ教授だけでなく、オリバー隊長やヨギ魔導士が拓を凝視する。
沈黙を破ったのはヨギ魔導士だった。

「魔法は壊れてしまった呪いのロッドを使ったとしても、何もない海の上でどうやって?」
「実は水魔法の訓練として、姿を消して小型ボートで船を追跡していたんです。」

拓は空を飛べることや高位の魔法を使えることを隠して話をすると、ポトリ教授は大きな溜息を突いて椅子に座ってしまった。
ロッドはワンガとの試合で破壊される所を見せたので問題ないだろう。
それよりもポトリ教授の落胆が凄い。

「龍神が拓殿の作った幻なんて・・・そんな・・・伝承が真実だったと思ったのに・・・」

拓は本当に申し訳なく、ポトリ教授に謝るしかなかった。

「いえ、謝罪なんて不要です。正直、少し不思議に思っていたところも有ったのでスッキリしました。」

どう見ても、ポトリ教授はスッキリした顔はしていない。
それどころか、絶望という言葉がしっくりくる。

「しかし、そうなるとオニキス教授が何処を探していたのか想像が付きません。」
「それは仕方ないです。ですが、オニキス教授が探していた模様の意味が分かっただけでも大きな進歩です。
 今更ですが、龍神騒動について私が行ったという事は内密にお願いします。」

ポトリ教授だけでなくオリバー隊長、ヨギ魔導士も頷いてくれたが、国王とバラン将軍だけには話を通す事になった。
最後に、どの様な龍神を見せたのかと聞かれ、拓が東洋の龍を描いて見せると
 
「これが噂の龍神ですか。確かに神々しい姿です。手に持っているのが龍の球ですか。
 なるほど、これなら違和感もなく受け入れられます。本当に居そうな気になってしましますね。
 これが大海原に現れるとなると・・・呪いのロッドが有れば私も見ることが出来るというのに。」

ポトリ教授にその姿を褒められ、絶望の表情が消えていた。

ヨギ魔導士から国王、バラン将軍に話をすると、
バラン将軍は大いに驚きながらも拓ならあり得ると自分を納得させていたが
国王は「そうだったか。」と言うだけで、そのまま受け入れていた。
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