欲にまみれた楽しい冒険者生活

428魔力循環

「さぁ、今夜は何処にテントを張ろうか？人が来ない場所でないとな。」

満面の笑みの拓。

「お前は本当に分かり易いな。その前にやる事が有るだろ。」
「やる事は有るけど、明日は休みにするのも良いんじゃねぇか？」

ガラは呆れていたが、レオの提案に乗る事にし明日まで楽しむことにした。
スラム街で魔獣の解体依頼を行うと、ロダン侯爵家へ・・・

「クロイツ公爵、何故こちらに？」
「いや、ＯＺの３人には謝らないといけないとおもってな。式典の話が出来ずにすまなかった。」
「国王自身が戯れと言われていましたので、状況は把握しています。それだけ心に余裕が出来たと受け止めています。
　ですが、次は国王様の戯れを止めてください。心臓に悪いですから。」

ガラもレオもクロイツ公爵の謝罪を受け入れると、改めてロダン侯爵に挨拶を行いルーカスにキラーアントの素材を渡す。

「ありがとうございます。ワイバーンの素材の横に飾っておきます。」
「いや、それは現状の体形に合わせた防具にどうかと思っているんだけど。未だ成長するだろうから、その位の素材なら良いと思って。」

ルーカスが大切に仕舞い込もうとするので拓が説明すると「一生大切に使わせて頂きます。」と嬉しそうに返事をするが、成長したらワイバーンの素材で作った防具を使用して欲しいと思う拓だった・・・
拓は何時もの様にルーカスの手を取り魔力の循環を行なおうとすると、ルーカスが疑問を投げかける。

「拓さん、この魔力の循環は魔導士に対しては意味が無いのですか？
　僕は拓さんに魔力循環をしてもらう様になってから周囲の動きが分かるようになっています。
　ハックに行えば、魔力操作が向上しそうな気がするのですが？」

拓はそう言う話を聞いたことは無く、魔導士相手に魔力循環を行なったのは初めの頃だけでその様な効果が有るかは分からない。
ロダン侯爵が私兵の魔導士を呼んで確認するが、その様な話は聞いたことは無かった。

「ただ、上級魔導士に指導してもらうと成長が早いと言いますので、もしかすると魔力循環の効果も有るのかも知れません。
　特に拓殿の魔力量は我々とは比較にならない程多いので、何かしらの影響は出るかもしれません。」

そこで、実際に拓が魔導士を相手に魔力循環を行い限界まで魔力量を増やしてみると、魔力の通りが良くなった気がするとの事。
そんな気がするだけで効果が有るかは不明だが、悪影響が無いのであればハックにも行う事にした。

朝一の訓練が終了した所で、ハックとルーカスの所へ向かおうとすると、クロイツ公爵が治癒魔法を使える魔導士と一緒に付いて来たいと言う。

「教会でどの様な教育を受けているのか興味が有ってな。邪魔はしないので同席させて欲しい。」

ピース神官、トリス神官が受け入れるのであれば、拓に反対する気は無い。その辺はクロイツ公爵も心得ているので問題ないだろう。

拓がハックに魔力循環の話をすると「是非、やってみたいです。宜しくお願いします。」と直ぐに受け入れる。
早速、ハックが耐えられる限界まで魔力量を増やして循環を行ってみる。
結果は魔力の通りが良くなった気がするとの事なので、今後も続けてみることにした。