欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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412実験

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「ジェニファーさんとロビンさんは、そこに魔力を流し込んでください。では、行きますよ。」

拓の指示でジェニファーとロビンは魔力を流し始めた。合わせて拓も魔力を流す。
魔力は遺跡のコアに流れていく。
コアを調べていた拓は首を横に振る。

「全く反応が無いな。次はロッドに貯めた魔力を使って、俺も一緒に魔力を流してみるか。」

拓はジェニファーとロビンにそれぞれの属性のロッドを渡して等間隔に魔力が流れるポイントに立つと同時に魔力を流す。
大量の魔力がコアに流れ込むと、コアが光り周囲に模様が現れた。
それぞれ四角い枠の中に描かれていて、読めないだけで文字なのかも知れない。
全員がその様子に見入っていたが、直ぐに何か起きるのではないかと周囲の警戒を行う。

「問題ないみたいだね。それにしてもオニキスさんの研究って凄いな。」
「拓、そろそろ説明をしてくれないかしら。」

感動している拓にロビンが話しかける。

少々寝不足な状態で拓はダンジョンにやって来ていた。
と言っても、魔獣が出るわけでもなく直ぐにコアの部屋が有るようなダンジョン。
拓はダンジョンを調べた後、オニキスが資料に沿った実験を行っていた。

オニキスはダンジョンそのものが古代人が作り上げた巨大な力を制御するための疑似生命体だと考えていた。
ダンジョンコアはその疑似生命体の核であり、外部から命令を受け付ける操作システム。
資料によると、どのダンジョンにもコアの周囲に魔力が流れやすいポイントが存在する。
オニキスはここから魔力を流し込み、コアを起動させていたと考えている。
ただし、そこには大量の魔力が必要となるため普通の魔導士が流す程度の魔力では起動させることは出来ないと。
ダンジョンはダンジョン内の魔力、生命エネルギーを吸い込んでいるが、ある一定以上のエネルギーが溜まると活性化現象が発生する。
これはダンジョンの強化が最も基本的な活動だとし、指示が無い場合それをコアが発動させる。

「凄いわね。ダンジョンは魔道の結晶って感じじゃない。だとしたら、龍脈や龍神の話も本当なのかも知れないわね。」
「資料だと力そのものを指し示していると書いてある。
 この星には龍脈と呼ばれる力の流れが有って、ラムー遺跡はその力を制御する目的で作られたんじゃないかと。」
「じゃぁ、ダンジョンに魔獣が出現するのは何故?」
「未だ、資料を全て読んだわけでは無いから分からないよ。もしかすると古代人にも想定外の出来事だったとか。」

ロビン、ジェニファーの質問に答えながら拓は笑っていた。
しかし実際にコアが魔力に反応した以上、オニキスの研究は素晴らしいと言えるだろう。

「このオニキスさんって、古代文字の研究も行っていたみたいなんだよね。
 もしかすると、さっき浮かんできた模様も古代文字だったりして。」

残念ながら、古代文字の解読についての資料は残っていなかった。
村長に許可は貰ってあり、2日間はここで泊まることになっている。
コアのある部屋はやはり神殿の様な作りになっていて、拓が取り出したデッキチェアに横になって美しい景観を見ながら休むことにした。

「拓さん、大丈夫ですか?十分に時間は有るのでゆっくりして頂いて問題有りません。
 必要なら、村長に滞在期間延長の話を通させてもらいます。」

オニキスの資料を読みふける拓にエチゴが心配して声を掛けるが、拓はただ単に面白く読み続けてしまう。
次の日は拓が改造した魔道具を自動的に動かす装置を使い3本のロッドの魔力を放出させて同じことを試してみる。

「魔力さえ与えればコアは反応するのか。それに、魔力を加える場所によって出てくる模様は同じなんだね。」

拓は出てきた模様を写真に写し取り、実験を続け結局出発ギリギリまで滞在することになった。

「拓はこの後どうするつもりなんだ?もしかして他のダンジョンで同じことを試すとか?」
「やってみたいけど、難しいだろうね。
 実験でダンジョンが活性化する可能性もあるって事だからちょっとやってみると言う訳にはいかないよ。
 とりあえずは、オニキスさんを探してみようと思う。」

拓は村に戻ると改めてオニキスについて話を聞いてみたのだが、何処に行ったのかすら知る者は居なかった。
ただ、居なくなる前に何度もオニキスを訪ねて来ていた者がいたらしい。

エチゴ商隊は再び貴族の私兵と合流し、休憩所作りが始まる。
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