欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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353ダンスレッスン

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次の日、朝食を冒険者に売り終え片づけをしていると、大人と一緒に子供達が見送りに来てくれた。

「兄ちゃん、本当にまた遊びに来よな。」
「また、遊びに来るよ。その時には村を案内してね。」
「任せろ。」

子供達が見えなくなるまで馬車に向かて手を振っていた。
『可愛いな』少し邪な気持ちを含め、拓も手を振り続けた。

「良い子達だったな。」
「舞踏会が終わったら、また遊びに行くか。」
「・・・」

舞踏会・・・拓は完全に忘れていた。
王都に帰ったら週1で特訓を受けなければならない。
拓はサリバン先生に渡された本を取り出して足の運び方などの復習を始めたが、完全に頭の中から抜けていた。

休憩所で昼食を取ると拓は休憩の間に一人ダンスの練習をするのだが、素人の皆から見ても酷いのが分かる。
拓の横でダイフクも体を動かしているが、そっちの方が可愛らしくてダンスっぽい。

「拓、大丈夫なの?」
「何が?」
「ダンスよ。立場的に踊れないと問題になるんじゃない?」
「大丈夫、舞踏会まで時間が有るから。皆が踊るから女性の足を踏まない様に成れば誤魔化せるよ。」

ジェニファーに拓が答えるが、6年振りの舞踏会で免責札を持つ者が注目されない訳がない。
クリームのメンバーだけでなくエチゴやアルもガラとレオを見てしまうが、2人とも視線を外してしまう。


王都に戻りギルド会館に顔を出すと、OZはギルド長の部屋に通された。

「冒険者の管理が行き届かず申し訳なかった。」

今回の件を謝罪され、3人の冒険者はCランクに降格となり、冒険者ギルドとしては今後の行動を監視する対象として扱うと説明された。
また、村への謝罪としてそれなりの金額を支払うことになった。

村は初級冒険者にとっての大切な訓練の場でもあり、見回り要員を増やすことになった。

「宜しくお願いします。」

OZが部屋を出ると、ギルド長は用意された水を一気に飲み、ソファーにもたれ掛かると深いため息を吐いた。


エチゴの依頼対応の処理を行い、外に出た所で今日の予定を確認する。

「魔獣の解体依頼と城に行ってダンスの練習の予定を決める位かな。」
「魔獣の素材はクリームの分も有るんだろ。だったら先に解体依頼をしてから、着替えて城って感じだな。」

ダンスレッスンの予定はOZとしての行動制限にもなるので、ガラとレオにも同席してもらう。
登城すると、直ぐにオリバー隊長がやって来てサリバンの所に案内された。

「良ければ、お二人も一緒に如何ですか?
 同じパーティの方が一緒でしたら、拓様の個人練習に良いと思うのですが。」

サリバンに勧められ、ガラとレオも指導を受ける事に決まった。
動きを少し教わり、実際に女性と踊ってみると

「なかなか筋が良いですわ。では、次は拓様も踊ってみましょうか。」

中々の高評価。それに続けと拓も踊ってみるが・・・

「拓様、自分で練習はされましたか?」
「忙しくて、少ししか出来ていません。」
「そうですか。時間も有りませんので、もう少し頑張って頂かないと。」

サリバンはガラとレオに基本的なステップを教え、時間が出来た時に拓に教える様にお願いする。
実際に拓のダンスを見ていた2人は放置する訳にはいかないと思い、サリバンに協力することにした。

「本当に助かります。これで、何とか間に合わせることが出来るかも知れません。」
「サリバン先生。私はそんなに酷いですか?」

思わず出てしまったサリバンの言葉に、拓が反応すると

「そこまで酷くは無いですよ。ただ、そう、冒険者としての仕事が有るので時間が取れない事を心配しての対応です。」

少しぎこちなく微笑んでいた。
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