欲にまみれた楽しい冒険者生活

348貴族と一緒に

午前中一杯　子供達と遊び、昼食は１５ｍはある巨大な塔の上で食べる事に。
皆で登ると村だけでなく周囲を見渡すことが出来る。
ここで食事をする商人達も多い。
それどころか、どうみても護衛を引き連れた平民の服を着ている貴族の姿まで・・・

「エチゴさん、この村には貴族の方が来られているのですか？」
「この塔に登りに来たのでしょう。この塔は王都でも有名ですから。
　それに、安全に来れる場所でも有りますしね。」
「貴族の方々と問題になったりしないですよね。」

拓は自分の趣味で作った塔で村人との間で問題になっていないか心配したが

「貴族の方々も、その辺は心得ていて問題ありません。」

エチゴの言葉に安心していた。
この村は免責札を持つ拓が力を注いでいるのは貴族の中でも有名な話で
今回の休憩所やワイバーン等の素材などの件もあり、問題を起こせば他の貴族達が黙っていないという事も有った。


ガラとレオがエチゴ達に拓が作った秘密基地の話をすると、是非とも見て見たいと言われ皆で寄ってみたのだが・・・子供が増えている。
秘密基地を見ている貴族の姿まで有り、遊んでいる子をよく見ると、どうやら貴族の子供が混じっているみたいだ。

「あっ、兄ちゃん。この秘密基地凄いよ。村に来た奴も一緒に遊んでいるんだ。」

ガキ大将が見張台の上から手を振っている。
見張台と言っても大人の背丈程度だが・・・
貴族達が拓に気付いて会釈をして、話しかけてくる。

「これは拓殿が作ったのですか？」
「はい、造ったのは壁だけで午後は子供達が屋根を作ると言っていたのですが、遊びの方に夢中みたいですね。」

拓は立って子供達を見ているのも疲れるだろうと、岩の椅子を作ると子供達の様子を見に行った。
思ったより良い感じで、貴族の子も服を汚して遊びまわっていた。

「屋根と木の窓作りはどうしたんだ？」
「・・・それは明日やるよ。」
「早くしないと技術者の人達は帰ってしまうし、雨が降ったらびしょ濡れになっちゃうぞ。」

拓がガキ大将にそう言うと、少し考え皆に屋根を作ろうと提案する。
子供達も喜んで賛成し、さっそく技術者達にお願いし屋根の作り方を教わっていた。
貴族の子供達も一緒に作業をしている。
拓は大丈夫かと思い貴族を見るが、皆　笑って子供達が遊ぶ様子を見ていた。

「しかし、これは秘密基地ではなくちょっとした砦ですね。」

子供達が居なくなった秘密基地を覗いてエチゴが感想を話す。

「拓、俺が乗っても大丈夫なのか？」
「全て岩の塊だからアルでも大丈夫だよ。場所によっては高さが低い場所も有るから頭をぶつけない様に気を付けて。」

拓に聞いて、アルだけでなく全員が秘密基地の中を散策し始めた。
更に、子供達の様子を見ていた貴族達までも。
ＯＺやクリーム、アルは遊んでいたが、エチゴや貴族は秘密基地の造りを確認していた。

「拓さん、これは随分と面白い造りですね。」
「子供が遊ぶので、少し迷路っぽい感じの方が楽しめると思って。如何ですか？」
「面白い発想です。これなら大人も楽しめそうですね。」

拓がイメージしたのは、元の世界の建物。
少し迷路の様になっていて、中は町の様になっているビル。
本当は吹き抜けで２階建ての建物にしてみたかったが、そこまでの建築技術は無いので諦めるしかなかった。
その代わり木の有る中庭を吹き抜け代わりにして、周囲を囲む様に段差のある建物を作っていた。
作っていて、元の世界が懐かしくなり色々と手を加えたくなってしまったとは、拓も言えなかった。