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339治療技術
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午後は実際の治療を行う。
ハックが身に付けた知識が有れば拓と同じ様に治療が出来て良いはずなのだが、何故か同じ中級魔法を使っているのに違いが出てしまう。
「俺とハックの何が違うのかな?
治癒魔法は体の構造や怪我の状態が分かれば、後は魔力次第だと思うけど?」
「切り口を治す時、拓さんは的確に合わせるべき場所を合わせている感じでがします。」
「事前に傷口の確認をしているじゃないか。」
「実際に治療を始めると、位置がずれるので。」
「そんなの、治癒魔法を使いながら位置調整をすれば良いだけ・・・」
ハックと話しながら、今頃になって拓は自分が無意識に探索魔法を使っているのに気が付いた。
傷口を確認して、頭の中に具体的なイメージを作ると後はズレない様に治癒魔法を発動させる。
何となく頭の中にイメージが鮮明に出来ている様に思っていたが、2つの魔法を同時に使いながら無駄なく的確な治療を行っていた。
「俺、ちょっと変な事をしてたみたいだ。」
拓が自分の治癒魔法に付いて説明すると、ハックだけでなくピース神官、トリス神官達もその話を聞いて納得していた。
治癒魔法を使う魔導士は治癒魔法の適正しか無い者が殆どだ。
しかも、そこまで精密な探索魔法だとすると中級レベル以上の力が必要だろう。
「ごめん、俺の技術ってハックに教える事が出来ないみたいだ。」
拓は懸命に自分の技術を覚えようとしているハックに申し訳なく思っていた。
治癒魔導士の腕は、その辺を見極める技術に依存していると言っても過言ではない。
「拓殿、出来るのであればどの様にズレが生じるのか話しながら治療を行う事は出来ますか?
我々は感覚的に対応しているので、その辺を具体的に言葉で説明して頂けると非常に助かるですが。」
ピース神官に言われ可能な限り拓も対応してみるが、治療に意識を集中しているのでかなり難しい。
そこで時間はかかるが、一人治療を終えてから、その時の傷口の状態を説明する。
治療が終わった後、改めて皆でハックの取ったメモを見返すと
「拓殿、この時の断面が上にズレると言うのは具体的にどういう事ですか?」
「拓殿、断面が酷い時の基準とする場所の選び方は?」
ピース神官とトリス神官から質問の嵐。
解放されたのは、何時間も経ってからだった。
「拓殿、ハック殿、良ければ夕食でも一緒に如何ですか?
問題なければ、OZやご家族の方も誘って。」
疲れた拓を見てロダン侯爵が誘ってくれる。
拓が通信の魔道具でガラとレオと連絡を取ると、ガラの方でビスタ男爵に話をしてくれるとの事でエチゴ屋で合流することになった。
「拓の治癒魔法は、そんな風に行っていたのか。」
「凄いとは思っていたが、探索魔法を使っていたのに気付かなかったのか?」
「無意識に使っていた上に、治癒魔法でも探索魔法の様に使って怪我を調べたり出来るからね。
今まで、そんなものだとずっと思ってた。魔法って凄いよね。」
ガラとレオが拓と普通に会話をしているが、これは治癒魔法の世界では凄い発見だった。
ロダン侯爵もビスタ男爵もその事に気付いていたが、特に口にはせず料理を楽しむことにした。
ただ、ルーカスの拓を見る目が悪化。
「ルーカス、この技術はたまたま出来た事なんだ。
本当に凄いのは探索魔法を使わずに、正確な治療が出来る魔導士の技術なんだよ。」
「・・・そうなんですか?じゃぁ、ハックもそんな治癒魔導士を目指すのか?」
「成れるように頑張るよ。」
「頑張れよ、応援するよ。」
少しはルーカスも治まり、拓も普通に食事を楽しむことが出来た。
しかし拓としては尊敬する対象が自分になってしまい、ロダン侯爵は親として放置して良いのかと心配になる。
神殿では、拓の行ってきた治療魔法の技術について検討が行われ
中級レベル以上の探索魔法を使える魔導士を招いて状況を確認しながら行う事になったのだが
「中級レベル以上の探索魔法を使える者は居るのですか?」
冒険者で安全の為に初級レベルを覚える者は居るが、中級レベル以上となると本当に稀な存在となる。
「探検家のアンディ・ジョーンズに依頼してはどうでしょう。」
後日、冒険者ギルドに神殿から
中級レベル以上の探索魔法を使える冒険者または、探検家のアンディ・ジョーンズに治療の手伝い依頼の張り紙が出され、繋がりのある貴族にも連絡を取っていた。
アンディ・ジョーンズは冒険者では無いが、多くの冒険者達の中でも噂になっているので彼を見かけた冒険者が伝えてくれないかと期待して・・・
そして当のアンディ・ジョーンズこと拓は、張り紙を見てアンディ・ジョーンズになるのは控える事を決めた。
ハックが身に付けた知識が有れば拓と同じ様に治療が出来て良いはずなのだが、何故か同じ中級魔法を使っているのに違いが出てしまう。
「俺とハックの何が違うのかな?
治癒魔法は体の構造や怪我の状態が分かれば、後は魔力次第だと思うけど?」
「切り口を治す時、拓さんは的確に合わせるべき場所を合わせている感じでがします。」
「事前に傷口の確認をしているじゃないか。」
「実際に治療を始めると、位置がずれるので。」
「そんなの、治癒魔法を使いながら位置調整をすれば良いだけ・・・」
ハックと話しながら、今頃になって拓は自分が無意識に探索魔法を使っているのに気が付いた。
傷口を確認して、頭の中に具体的なイメージを作ると後はズレない様に治癒魔法を発動させる。
何となく頭の中にイメージが鮮明に出来ている様に思っていたが、2つの魔法を同時に使いながら無駄なく的確な治療を行っていた。
「俺、ちょっと変な事をしてたみたいだ。」
拓が自分の治癒魔法に付いて説明すると、ハックだけでなくピース神官、トリス神官達もその話を聞いて納得していた。
治癒魔法を使う魔導士は治癒魔法の適正しか無い者が殆どだ。
しかも、そこまで精密な探索魔法だとすると中級レベル以上の力が必要だろう。
「ごめん、俺の技術ってハックに教える事が出来ないみたいだ。」
拓は懸命に自分の技術を覚えようとしているハックに申し訳なく思っていた。
治癒魔導士の腕は、その辺を見極める技術に依存していると言っても過言ではない。
「拓殿、出来るのであればどの様にズレが生じるのか話しながら治療を行う事は出来ますか?
我々は感覚的に対応しているので、その辺を具体的に言葉で説明して頂けると非常に助かるですが。」
ピース神官に言われ可能な限り拓も対応してみるが、治療に意識を集中しているのでかなり難しい。
そこで時間はかかるが、一人治療を終えてから、その時の傷口の状態を説明する。
治療が終わった後、改めて皆でハックの取ったメモを見返すと
「拓殿、この時の断面が上にズレると言うのは具体的にどういう事ですか?」
「拓殿、断面が酷い時の基準とする場所の選び方は?」
ピース神官とトリス神官から質問の嵐。
解放されたのは、何時間も経ってからだった。
「拓殿、ハック殿、良ければ夕食でも一緒に如何ですか?
問題なければ、OZやご家族の方も誘って。」
疲れた拓を見てロダン侯爵が誘ってくれる。
拓が通信の魔道具でガラとレオと連絡を取ると、ガラの方でビスタ男爵に話をしてくれるとの事でエチゴ屋で合流することになった。
「拓の治癒魔法は、そんな風に行っていたのか。」
「凄いとは思っていたが、探索魔法を使っていたのに気付かなかったのか?」
「無意識に使っていた上に、治癒魔法でも探索魔法の様に使って怪我を調べたり出来るからね。
今まで、そんなものだとずっと思ってた。魔法って凄いよね。」
ガラとレオが拓と普通に会話をしているが、これは治癒魔法の世界では凄い発見だった。
ロダン侯爵もビスタ男爵もその事に気付いていたが、特に口にはせず料理を楽しむことにした。
ただ、ルーカスの拓を見る目が悪化。
「ルーカス、この技術はたまたま出来た事なんだ。
本当に凄いのは探索魔法を使わずに、正確な治療が出来る魔導士の技術なんだよ。」
「・・・そうなんですか?じゃぁ、ハックもそんな治癒魔導士を目指すのか?」
「成れるように頑張るよ。」
「頑張れよ、応援するよ。」
少しはルーカスも治まり、拓も普通に食事を楽しむことが出来た。
しかし拓としては尊敬する対象が自分になってしまい、ロダン侯爵は親として放置して良いのかと心配になる。
神殿では、拓の行ってきた治療魔法の技術について検討が行われ
中級レベル以上の探索魔法を使える魔導士を招いて状況を確認しながら行う事になったのだが
「中級レベル以上の探索魔法を使える者は居るのですか?」
冒険者で安全の為に初級レベルを覚える者は居るが、中級レベル以上となると本当に稀な存在となる。
「探検家のアンディ・ジョーンズに依頼してはどうでしょう。」
後日、冒険者ギルドに神殿から
中級レベル以上の探索魔法を使える冒険者または、探検家のアンディ・ジョーンズに治療の手伝い依頼の張り紙が出され、繋がりのある貴族にも連絡を取っていた。
アンディ・ジョーンズは冒険者では無いが、多くの冒険者達の中でも噂になっているので彼を見かけた冒険者が伝えてくれないかと期待して・・・
そして当のアンディ・ジョーンズこと拓は、張り紙を見てアンディ・ジョーンズになるのは控える事を決めた。
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