欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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338手料理

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今日はハックと神殿へ向かったのだが、今回はロダン侯爵と息子のルーカスも一緒にいる。
ロダン侯爵に土産を届けに行った時、

「拓さん、僕も連れて行ってくれませんか。決して邪魔はしないので。」
「相手に少しでも嫌がる素振りが有れば、俺と一緒に外で待機だよ。」
「分かりました。その時は僕が一人で外で待機しています。宜しくお願いします。」

ルーカスにお願いされ、可能で有れば同席だけさせて貰うことになった。
神殿に着くと、直ぐにピース神官とトリス神官が迎えてくれ、ルーカスの事を話すと

「見学と言うのであれば構いません。そうですか、貴方がルーカス殿ですか。」
「私の事をご存じなのでしょうか?」

ルーカスは会った事のない神官、それも上位神官が自分の事を知っているので不思議に思っていると

「直接ではありませんが、拓殿が魔法を使って稽古をつけていると聞いています。
 お二人以外に、拓殿が目を掛けている子供はいないので気になっていました。」

拓は自分のオマケの様に言われてルーカスが気分を害していないかと心配したが、当のルーカスは満面の笑み。
何が嬉しいのか拓には理解できないが、問題ないなら良い・・・良いと思う。
ロダン侯爵の教育や周囲にいる大人は大丈夫かと心配になるが、口は出さない。

「ピース神官、トリス神官、ルーカスを受け入れて頂きありがとうございます。
 こちらはお布施です。お納めください。」

ロダン侯爵がずっしりとした袋を取り出してピース神官に渡す。
ピース神官は仰々しく受け取ると、人を呼んで袋を預けていた。
それを見た拓は、ハックの事など色々と便宜を図ってもらっているので、自分もお布施を渡した方が良いのかと思っていると

「拓殿、あまり気になさらないでください。
 こちらとしては、拓殿に治療を手伝って頂き十分すぎる程助かっていますので。」

トリス神官がそう言ってくれるが、真に受けて良いのか判断が付かない拓。

「もし良ければ、神官長と食事でもして旅の話を聞かせて頂けないでしょうか。」
「喜んで話させて頂きます。」
「本日は神殿にいらっしゃるので、喜ばれると思います。」

トリス神官は人を呼んで、神官長への言付けを頼んでいた。
実際は、神官長が拓と食事をしたいとピース神官、トリス神官に予め話していた。

「では、勉強の方を行いたいと思います。奥の部屋にどうぞ。」

せっかくなのでロダン侯爵も同席し話を伺うことにした。
ハックへの授業はより高度になり、人体の器官の構造や働きや検診を行った際の症例を説明していた。
拓も何となくは分かっていたが、こうして説明を聞くと改めて知ることも多い。
その後は薬の話になったのだが、正直拓は付いて行けない。
その辺は水晶の玉で何とかなるので良いのだが、ハックは神官達と議論を交わしていた。
同席しているロダン侯爵とルーカスが暇を持て余していなかと心配になったが、何故か拓以上に真剣に話を聞いてメモを取っている。

「そろそろ、お昼ですね。一旦、休憩にしましょう?」

食堂には既に神官長が居て、

「拓殿、久しぶりです。旅の話が効けると思うと、仕事に集中できなくなってしまいました。」

挨拶を交わすと、早速テーブルに着いて料理を頂く。
シンプルで質素だが、丁寧に調理された料理はとても美味しい。

拓が旅の話や、他の町での料理、食材の話をすると

「拓殿は料理にも詳しいのですね。」
「冒険者をしているので、料理が作れないと移動中が寂しいことになりますので。
 良ければ、少し食べてみますか?」

神官長が是非にと言うので、拓がアイテムボックスから地底湖の魔獣の肉を使った料理を取り出した。

「綺麗な盛り付けですね。」
「自画自賛になりますが、なかなか好評で皆さん喜んでくれてます。」

拓の説明を聞きながら、皆が美味しそうに食べてくれる。ただ

「拓さんは、料理の腕も一流なんですね。こんな美味しい料理を初めて食べました。」

ルーカスが何時もの拓が理解できないフィルターがかかった状態で話しかけてくる。
同じ肉をロダン侯爵にも渡しているので、料理人がもっと美味い料理を食べているはずなのだが・・・

「本当に美味しい。こんな料理は初めて食べます。」
「この様な素晴らしい土産は初めてです。」

ハックも神官長美味しそうに完食。

「ありがとうございます。地元の方にレシピを教えて頂きました。
 喜んでもらえて良かったです。」

拓は皆が喜んでくれてホッとしていた。
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