欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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301目標

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飲んだ後エチゴ屋に顔を出すと、ブルネリ公爵家の執事、セバスが来ていた。

「皆さま、お疲れ様です。主人よりこちらの手紙を預かってまいりました。」

OZ、クリーム、エチゴにそれぞれ手紙を渡す。
中身を見ると、村人の開拓地への移住が決まったので内輪で食事会を開きたいとの事。
既に開拓の為に一部の男は移動しているが、今回は女子供も全員移住を行う。
全員が参加させて頂くと、その場で回答をしていた。

「良ければ、肉の差し入れをさせてください。」

今回の開拓の発起人でもある拓が、肉を提供する事にした。

「しかし、わざわざ手紙を届けて頂きありがとうございます。」
「拓様も色々と巻き込まれ多忙の様ですので、この程度は大した事ではありません。」

今回のギルド会館での事は、ブルネリ公爵も完全に把握しているみたいだ。
セバスが直接来たのは、拓の様子を確認する為なのだろう。
拓は絡んで来た冒険者に呪いを掛けた事まで知られているのではないかと思ったが、セバスの様子からは何も判断出来ない。
知られても平和的解決方法という言い訳を用意しているが、変な目で見られるのは控えたかった。

拓が挨拶をするべき相手は全員パーティに参加するので
冒険者としての活動以外は、スラム街へ解体依頼とハックの治癒魔法の上達を確認する位だった。
今回はガラとレオも一緒に神殿に行くことにした。
冒険者達が拓に変な事を仕掛けてこようものなら叩き潰すつもりだったったが、絡んでくる様な冒険者は居なかった。

「ギルド長が無茶ぶりすると思ったけど、お陰で楽になったよ。」
「ギルド長の計算通りだったんじゃねぇか。
 後は旅から帰って来て護衛試験を通ればAランク冒険者だな。」
「ついに、ガラとレオと3人揃ってAランク冒険者か。結構嬉しいかも。」

拓の場合、Aランク冒険者に成る事より、ガラとレオと同じランクに成れる事を喜んでいる。
ガラとレオもその反応は嬉しいが、冒険者として活動していく上で大丈夫かと心配にもなる。

ハックの教育の方だが、人体についての勉強は拓でも十分に理解できるのだが
薬の話になると、既にハックの方が高い知識を身に付けていた。

「凄い、ハックって天才なんじゃないか。」
「いえ、拓さんみたいな大量の魔力を保有していないので、薬の知識は必要になりますから。」

拓から尊敬の眼差しで見られ、落ち着かないハックに

「本当に優秀で真面目ですよ。覚えも早く、我々も感心しています。」

更にピース神官が褒めるので、ハックは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
ハックの目指しているのは拓の様な治癒魔導士だった。
拓の様に成れるとは思っていないが、少しでも近づきたい存在。

「どんなに高くても、目指す場所が有ると言うのは良いですね。」
「はい。」

トリス神官に言われ、力強く答えるハック。
それを見た拓は、この2人の様な目標となる神官を紹介出来て本当に良かったと心から思っていた。
そして、自分達の事を高い目標というピース神官とトリス神官を意外とオチャメな人だとも・・・

その後、実際に治療を行う際には、せっかくなのでハックが診断を行い拓が治療魔法を施して見せる。
拓の治癒魔法を見てハックは美しいと思った。一切の無駄が無く、的確な場所を的確な魔力で治療を行う。
どうすれば、ここまでの技術を身に付けられるのか想像が出来ない。

その後、ハックが治療を行い拓から改善点の指摘を受けていた。
ハックの腕が上がれば上がるほど拓の指摘は細かくなり、ハックは必死に食らいついていく。


神殿での教育は終わり、ガラとレオも一緒に拓の土産のケーキを食べながら寛いでいた。

「ハック、本当に凄いね。知識もそうだけど、この短期間で治癒魔法の技術も上がっているし。」
「その内、拓を追い抜いていたりしてな。」

レオの突っ込みに、拓は少し考えて答える。

「多分、そうなるよ。今日俺が教えた事は来年になると思っていたんだ。
 後は色んな患者を診ていれば、俺位の技術なら身に付くよ。」

ガラもレオもハックを見て感心していた。
拓の言葉は中級魔導士としての意見だが、本気でそう思っているのが分かる。

「仮とはいえ師匠の期待に応えないといけませんね。」

ピース神官に言われて「頑張ります」ハックは目を輝かせて答えていた。
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