欲にまみれた楽しい冒険者生活

271大移動

拓が朝起きて見たのは、２人の逞しい男が素っ裸で抱き合って寝ている姿。

「拓殿、おはよう。体調は大丈夫か？」
「ぐっすり寝て調子は良いけど、２人だけで楽しんだのか？」
「拓殿が疲れていると思って、起こさない様に気を使ったんだが。」
「そこは、起こすべきだろ。」

拓は２人の逞しい身体を眺めていたが、直ぐに服を着られてしまう。
残念ながら朝食の時間の為３人は軽くキスをして、食堂へ移動。
皆で朝食を食べていると、大量の魔獣の移動が確認されたとの報告が入った。

城内は慌ただしい雰囲気になり、第３騎士団、魔導士団が集められ直ぐに出発となった。
魔導士団の中には浩司、由美、里香の姿もある。

拓はサリナ姫と一緒に全員を見送ると、今回の発生場所についての情報を貰う。

「今回の魔獣の移動原因って分かりますか？」
「いえ、現象が確認できただけで、原因の追究までは分かりません。」

過去に発生した記録では、瘴気の吹き溜まりで大量の魔獣が一度に生み出されたり、
強力な魔獣が生み出され今まで居た魔獣が押し出される様に移動を開始したことが有るらしい。
ただ、勇者が魔獣退治を行う様になってから初めての事だった。

「大丈夫です。兵士達も強く、今回は勇者様も居ますから。」

ぎこちない笑顔のサリナ姫と別れ、ドグ医局長の元を伺った。

「過去に起きた大量の魔獣移動の時の兵士達の状態は、酷いの一言でした。」

戦いで多くの兵士が亡くなっていた。王都に運び込まれた多くの兵士も助ける事が出来なかった。

「出来れば、治療の手伝いを行って頂けないでしょうか。勿論、治療費は支払わせて頂きます。」
「分かりました。私は現場で少しでも兵士を助けさせてもらいます。」

それだけ話すと、拓は城を後にした。



「ここで防がないと村が潰れてしまうよな。」
「後、数分で大量の魔獣が現れるのよね。」
「どんなに多くても、やるしか無いっしょ。」

高台に魔導士団が陣を取り、第３騎士団が周囲を守っている。
直ぐ後ろには村が有り、浩司、由美、里香も力が入っている。
村人達は、他の騎士団により退避を始めていた。

「浩司、由美、里香、大丈夫か？」
「えっ、レオさん。どうしてここに？拓さんとガラさんも一緒ですか？」
「ガラと拓は偵察を行っている。俺が一番弱いから、ここで連絡係だ。」

レオが勇者達が話していると、通信の魔道具にガラから移動してくる魔獣と、攻撃するべき方向についての連絡が入る。
拓の探索魔法が有れば効率の良い指示を出すことが出来るので、ヨギ魔導士に願い出てレオを勇者達の元へと配置してもらった。
但し、そこは拓が斥候として情報収集を行うと話している。

拓とガラは森の上に浮かび、拓が魔獣の状態を調べ地図の上に光で表示すると、ガラが攻撃箇所を判断し連絡を行っていた。
他の魔導士の攻撃をフォローするように勇者達の攻撃目標を設定し指示を出す。

「拓、そろそろ魔獣が兵士達に接触するぞ。」
「分かっている。しかし、未だ魔法による攻撃を続けないと抑えきれない。」

大量の攻撃魔法が放たれているが、全ての魔獣を倒す事は出来ない。
今攻撃指示を止めてしまったら、後ろから攻めてくる魔獣に前線が潰され更に被害が拡大するだろう。
拓はジレンマを感じながら、探索魔法を使い続けた。