欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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今回の旅の途中で作る休憩所の門も出来上がり、エチゴさんの護衛としてOZ、クリームが王都を出発する日が来た。
朝早くにエチゴ屋に向かうと、サリナ姫や浩司、由美、里香の姿が有った。

「皆揃って、何か有ったの?」

拓が聞くと、サリナ姫から海辺の町についてまとめた資料とずっしりとした袋を渡された。
中を見て見ると、町の観光地と大量の土産リスト。土産というより魚介類のリストだった。
そして、袋の中には結構な量の金。

「ルドルフ料理長に確認した食材リストよ。アイテムボックスなら新鮮な状態で持ち帰れるでしょ。
 魚の購入依頼させてもらえないかしら。」
「拓さん、俺達 刺身が食べたいです。」
「私はお寿司や海鮮丼。」
「ルドルフ料理長が海鮮料理を考えてくれるって。拓さん、マジお願い。」

わざわざ拓に海産物を強請るために来ていたみたいだ。

「可能な範囲で対応で良いかな?」
「勿論よ。拓のアイテムボックスに余裕が有ればで良いからね。」

拓のアイテムボックスの巨大さを知っているサリナ姫が言うと、買って欲しいと言っているのと同じ事だった。

「それは良いけど、流石にこんな大金は必要ないと思うよ。」
「拓さん、それは俺達からの依頼料として受け取ってください。」

残ったら返せば良いだけなので、そのまま受け取り皆に見送られて海に向けて出発した。

村に着くと村長に相談して、討伐した魔獣の解体をすれば2割の肉を提供することで合意を取り、アイテムボックスの整理を始めた。
それ以外にも新鮮な肉や素材を売って欲しいとの要望も多く、結局村として討伐した魔獣そのものを購入することになっていた。
エチゴの方の販売も拓の治療も問題なく行われていた。

次の村へ移動している間、拓が浮かない顔をしているのでガラが話しかける。

「次の村で、貴族の私兵と合流だな。」
「有難い話なんだけど、魔法もアイテムボックスも自由に使えない。」

休憩地を作る間、街道を使う領主達が私兵を出して拓達の安全を確保するため護衛を行う事になっている。

「それは仕方ないな。安全確保は拓の要求なんだろ。」
「逆にアイテムボックスの中を整理する良い機会じゃねぇか。」

溜息を吐く拓をガラとレオが慰めていた。
クリームのメンバーは拓のお陰で事前に大量の魔獣討伐し、全てを回収できているので問題は無い。
むしろ、直前まで魔獣の解体作業に追われていたので、ゆっくりしたいというのが本音だ。

次の村に着くと既に来ていた貴族の私兵が挨拶にやって来た。

「拓殿が休憩地を作る間、我々が警備をさせて頂きます。宜しくお願いします。」

一気に機嫌を直す拓。
礼儀正しい兵士達の身体は、鍛えられているのが服の上からでも分かる。
1人だけ雰囲気の違う人が居たが、兵士でなく技術者との事。
笑顔の拓の横で、ガラとレオが溜息を吐いていた。

拓が村人の治療を その日の夜から始めると兵士達が心配する。

「拓殿、着いたばかりで疲れているのに大丈夫ですか?」
「今日、出来るだけ治療して明日の負担を減らした方が楽なんですよ。」

拓にとって怪我人を放置しておく方が精神的に悪い。

村人に見送られ、30人を超える集団となって村を出発した。
優秀な兵士20人も護衛に付くと、本当に何もすることが無い。
移動中、拓は馬車の空いたスペースで横になって寝ることにした。
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