欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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神殿から帰って来た拓は、スラム街に解体依頼をした魔獣を引き取ってエチゴ屋に顔を出す。

「皆さん、お疲れ様です。殆ど解体が終わりましたね。
 スラム街に依頼した分は回収してきたので、とりあえず今日の分は引き取ってもらいましょうか。」

拓は全てをアイテムボックスに収納し、素材はエチゴ屋に下ろし討伐部位の一部を冒険者ギルドに持って行った。
全てを持って行くと、さすがに量が異常過ぎるので問題ない範囲で対応する。

「おっ、やっと来たな。拓、少し時間を良いだろうか。」

ギルド長がOZとクリームを待っていた。正確には拓の事を。
拓はギルド長に従い、部屋に通されると

「一つ確認したい。拓様は免責札を持つ者で良いだろうか?」
「そうです。一応、国王より頂いています。ちなみにOZもクリームも全員知っています。
 それから、今まで通り拓と呼んでもらって問題ありません。
 特に免責札を使って行動している訳ではありませんので。」

拓がそう言うと、OZとクリームのメンバーも部屋に連れて来られた。

「拓が新しい開拓地をまとめていると言う事で合っているか?」
「いえ、まとめているのはジャイア男爵、ポップ団男爵、ピスタ男爵の3名です。」
「そうなのか?拓が全ての御膳立てをしているんじゃないのか?」
「まさか、俺にそんな力は無いですよ。免責札なんて只の飾りです。それよりも話は何でしょうか?」

ギルド長の話は、開拓地にギルドの支部を作りたいという相談だった。

「開拓のために、初めから力を貸してくれている冒険者や商人が居ます。
 後からギルドがやって来て、美味しい所を持って行くのは問題になりませんかね。」

穏やかに話ながらも一瞬 拓の雰囲気が変わったが、気付いたのはギルド長だけだった。

「そんな事はしない。ただ、開拓地の噂は冒険達の間でも広まっている。
 この先、開拓地に行く冒険者が増える前に、村の為に睨みを利かせておきたいだけだ。」

開拓地周辺は魔獣の数も抑えられ、安全な拠点も確保できる狩場があると話題に出始めていた。
王都からも近く、質の悪い冒険者が集まっては村の開拓に悪影響がでると心配しての話だった。
拓も一度、冒険者に絡まれているので、確かに睨みは必要だと思っていた。
OZやクリームのメンバーを見ると頷いている。

「初めに言った通り、まとめているのは3人の男爵です。
 商人はエチゴ屋、冒険者はゴルゴさんとサブという人物がまとめてくれています。
 彼等が受け入れるのなら従います。」
「分かった。彼等と話させてもらう。」

話は終わり、久しぶりに皆で飲み屋へ

「しかし、拓はあれで良かったのか?」

飲み始めると直ぐにジークが聞いて来たが、拓は何のことか分からず聞いてみると

「開拓地の事だよ。拓が一番気を使って色々と動いているのに、陰に回って良いのか?」
「別に陰に回っている訳では無いですよ。
 実際に一番面倒で大切な事は、男爵達みんながやってくれていますから。」
「まぁ、拓が良いなら、俺が言う事じゃないけどな。」

拓は心配してくれるジークに礼を言って話を終わりにし、今度向かう海についての話になった。

「そうだ、水着や浮き輪、ビーチパラソルとか用意しないと。」

拓が必要な物を挙げていくが

「そんな物は王都には無いぞ。海辺の町で購入だな。」

勇者のお陰で落ち着いてきたとはいえ、ついこの間まで魔獣の攻撃にさらされていた王都にそこまでの娯楽用品は存在しない。

「それよりも、討伐した魔獣の解体は間に合いそうなのか?」

ガラに言われて、拓がアイテムボックスの中を確認するが今のペースでは間に合いそうにない。
今回の旅で、魔獣を討伐すれば更に量は増えてしまう。

「それについては、何か考えるよ。海に着いたら魚を大量に買いたいしね。」

既に拓の頭の中には食べ物と、水着姿の逞しい漢達の裸しかなかった。
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