欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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248貧乏性

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OZやクリームが王都に帰るためにテントを片しているとゴルゴとサブが挨拶にやって来た。

「昨夜は楽しんだ?」
「なっ、何で分かる。まさか覗きに来てたんじゃねぇだろうな?」
「まさか、顔が嬉しそうだからだよ。」

拓がサブと小声で話していると、サブの顔が真っ赤になる。

「声を出せないもどかしさも、たまには良いだろ。」
「まぁ、そうだな。」
「次はゴルゴさんの喘ぎ声を我慢する姿も良いかもよ。」
「兄貴が俺ので喜んでる姿か。」

拓とサブが小声で話していると、ゴルゴがサブの肩を掴み自分の方へと引き寄せる。

「拓、またサブに変な事を吹き込んでいるな。」
「それは言いがかりですよ。変な事では無く、人生を楽しめるアドバイスです。」

ゴルゴは拓の言葉に頷いているサブを見て、碌な話ではないと確信する。
ただ一番の問題は、サブの喜ぶ顔を見たくて碌でもない事を受け入れてしまうゴルゴ自身だった。


冒険者達も全員が見送りに集まってくれた中、王都に向けて出発となった。
OZやクリームが乗ったエチゴの馬車も国王の馬車の後に続く。

「戻ったら解体作業依頼か?」
「それなんだけど、流石に海に行く前に全てを終わらせるのは無理だね。」
「まぁ、あれだけの量を全てアイテムボックスに収納したら仕方がねぇか。少し捨てても良いんじゃねぇか?」

OZの話を聞いていて、クリームもレオの捨てる提案には賛成する。
流石に拓のアイテムボックスの収納量は知られない方が良い。

「問題の無い範囲で解体依頼を行うとして、出発まで自分達で解体するのはどう?」

捨てるのも勿体ないので、可能な限り解体する事が決まった。
王都までの道のりで現れた魔獣は騎士団が退治するのでOZ、クリームの出番はなく拓が魔獣の収納だけしていた。

「拓、今でも対応できない程の魔獣を収納しているのに意味が有るのか?」
「そうはいっても、勿体ないだろ。」

変な所で、拓は貧乏性だった。


王都に着くと、ジャイア男爵、ポップ団男爵、ピスタ男爵は城まで行動を共にするが、拓達はそこで別れる。
城に戻った国王は、3人の男爵に開拓地の管理を労うと、今後の予定について指示を出す。

「バラキエ公爵が行っている開拓地への視察を行う。調整を頼む。」

2ヵ所の開拓を行っているのに、片方の視察をしない訳にはいかない。
しかし、報告書を確認するが大して進捗はしていない。
これが普通で、今回視察を行った開拓地が異常な速さで進んでいるだけだと国王も理解はしている。
ただ、拓が手伝った開拓地と比べて面白みが無い。

「バラキエ公爵も、やっかいな相手に喧嘩を売ってしまったみたいだな。」

国王は控えていたバラン将軍とヨギ魔導士に話しかける。

「まったくです。この先、拓殿が街道沿いに休憩所を作るとなれば、自分の派閥の貴族達も拓殿に付くでしょう。」
「魔導士として勇者3名と比べても見劣りしません。
 それどころか、複数の中級魔法を使えるのは1つに特化させるよりメリットが大きい場合が多いかと考えます。」

2人も拓に対して協力を惜しむ気はなさそうだ。
国王は、国に取り込んでしまった方が良いかとも考えたが、その考えを捨てた。
拓はこの国の為に動いている訳でも名誉のために動いている訳では無い。
どちらかと言えば、国とは関りを持ちたいとは思っていないだろう。
危険を冒すより、拓の人柄に期待した方が良い。

「ところで、拓殿は女性に対する免疫はどうだ。」

多くの貴族が味方に付くのであれば、政治的な力の問題は避けられる。
そうなると、残る問題は色仕掛けで拓を取り込もうとする輩だ。

「若いので仕方が有りませんが、正直、女性の強い押しには弱いみたいです。
 一応オリバーを付けていますが、完全に守るのは難しいかと。」
「貴族の女性にとっても拓殿は人気が有りますが、本人は自分の立場を軽く見ている様ですので。」

3人は完全に無用な心配をしていた。
拓に対し心配すべきは、女性でなく逞しい漢達による色仕掛けだった。
もし拓がガラとレオと出会っていなければ、逆に兵士達の貞操を守る必要が有ったかもしれない。
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