欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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234教育

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「あの、拓さんの事を師匠と呼んでも良いのでしょうか?」

ハックに聞かれると、拓は直ぐに顔を引き締め、師匠と弟子の関係について聞いてみる。

「特に決まりごとは有りません、お互いが認め公言するだけですね。
 但し、弟子を名乗ってしまうと、師匠を変えるのは難しいので注意が必要です。
 それに誰の弟子になるかで、その後の影響力が変わってきますね。」

ピース神官の説明を受け、拓は少し考えていたが

「ハックは努力家だし中級でも魔法センスが良いと思っているんだ。
 治癒魔法を教えるのは良いけど、俺みたいな一介の冒険者が師匠となるのは問題になる。
 誰か良い人が居ないか当たってみるよ。」

自分が師匠と呼ばれる状況については駄目だと判断した。

「拓殿なら実力も有りますし、免責札を持っているので師匠として問題ないと思いますが?」
「免責札なんて城への通行許可書としてしか使っていませんので。
 それに冒険者として王都を離れてしまうので、時々教えるのなら良いですが指導となると無理が有ります。」

やはり、師匠と名乗るのはハックの為にならないと判断した。

「ならば、ハック殿には私達が教えると言うのはどうでしょうか。
 神官の私達なら、ハック殿に尊敬する方が出来て弟子として教えを乞うのは問題ありませんし
 拓殿も今まで通り接して頂けます。」

神官は一般的な教育者の為、師匠という立場にはならないらしい。
そして、2人の元で教育を受けるのであれば、医学書も読むことが出来る。

「ありがとうございます。父に許可を取る必要が有りますので、返事は後日で宜しいでしょうか。」
「構いませんよ。教育の一環で拘束力は有りませんので気楽に考えて頂ければと思います。」

拓も礼を言い、自分の事を「おまけの師匠」と言って笑っていた。


拓がガラとレオに連絡を取ると、エチゴの店に来る様にと言われハックと2人で行くと、ピスタ男爵、ポップ男爵、ジャイア男爵も集まっていた。

「明日から一緒に開拓地に行くから、食事でもと思ってな。ハック殿も一緒だから丁度いいだろ。」

開拓地で4日ほど滞在し男爵3人は工事の状況確認、エチゴは必要物資や今後の輸送の確認を行う。
そして、OZ、アークは拓が倒した魔獣を全てアイテムボックスに収納するという条件で同行する。

エチゴさんも一緒に男爵3人がお勧めする店へ移動。
食事をしながら、神殿での話をすると

「あのピース神官とトリス神官がハックの教育をすると言ってくれたのか?」

驚くピスタ男爵。OZのメンバーが理解できずにいると

「あの2人は上位神官で、わざわざ教育を行うような方ではない。」

神殿での立ち位置は神官長-副神官長-上位神官と3番目の地位になる。
話を聞いてハックは、教育を受けられるのは自分の力ではなく拓の存在のお陰だと分かり断ろうと考えていた。

「ハックやったね。こんな幸運は無いよ。
 上の立場だと時間を作るのは難しいかも知れないけど、医学書が読み放題だよ。」

そんなハックの気持ちを知ってか知らずか、拓が喜んで進めて来る。
ハックが素直に自分の気持ちを話すと

「きっかけは気にしなくて良いと思うよ。肝心なのはどれだけ自分のモノに出来るかだよ。」

ハックは拓に言われ、ピース神官とトリス神官の教育を受ける事を決め、父親のピスタ男爵に許可をもらうと

「ハックの治癒魔導士としての未来に乾杯。」

食事はハックの祝いの場となり、ピース神官とトリス神官への返事はピスタ男爵と拓が開拓地から帰って来てからとなった。
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