欲にまみれた楽しい冒険者生活

188羽を伸ばす

ブルネリ公爵とロダン侯爵の働きで問題となっていた技術者の確保は上手く行った。
本人が考えている以上に拓の名前の効果が高かったらしく、他の町から十分な技術者が集まることになった。
少し遅れるが、護衛を考え各町で共同で移動することが決まった。
国からの援助金が出るが、ギリギリの範囲で行う形になる。
今後の発展を望み、ブルネリ公爵、ロダン侯爵、商人が薄利で動いてくれたお陰で何とか動けている所がある。
ブルネリ公爵の話ではクロイツ公爵も積極的に力を貸してくれているらしい。

今回、技術者と商人に開拓する土地に連れて行くのに、商人の専任護衛の他にＯＺとクリームが護衛に付くのだが
ＯＺ、クリームについては、討伐した魔獣を拓がアイテムボックスで運ぶことでで利益を得る。完全に無料奉仕だ。

「俺の提案に乗って頂き、本当にありがとうございます。」

拓がガラ、レオ、クリームのメンバーに礼を言うと

「何を言っている。拓と行動する事で普段より収入は高いぞ。」
「倒した魔獣を全て持ち帰れるって凄い事よね。」
「解体もスラム街で対応してもらえるなら言うこと無しよ。」
「貴族や商人との繋がりも出来たし、クリームとしても良い事尽くめだな。」
「それに、何て言っても美味い肉が食べ放題だしね。」
「「「「だよな（ね）。」」」」

ジーク、ジェニファー、ロビン、ニコラス、トム・・・
最後のトムの言葉に全員で納得するクリームメンバー。
拓は魔獣の肉を大量に保有しているうえ、今回の討伐においても肉を全て受け取るので食べ放題でも全く問題ない。
ただ、栄養のバランスを考えると、野菜をもっと食べた方が良いと思うのだが・・・

「ジェニファー、今の内に拓に荷物を預けた方が良いんじゃないか？」
「そうだった。今回の下見用に　これを運んでもらえないかしら。」

ジークに言われてジェニファーとロビンがアイテムボックスから取り出したのは大量のケーキ。

「今回は、場所を見せるだけなので３日くらいで帰って来る予定ですよ。」

拓が何を考えているんだと思っていると

「拓さん、こちらをアイテムボックスにしまってもらえますか。」

エチゴからはかなりの量の酒瓶を渡された。

「もしかして、聞いていませんか？拠点も有るので向こうに５日間滞在するんですよ。
　商人の我々が滞在して、拠点としての不都合な点を洗い出すという名目で羽を伸ばそうという事です。」

そして、ガラとレオが用意した大量の網。
開拓地へ行ってバーベキューを行う話になっているみたいだった。
拓が働き過ぎだと思ったガラとレオがわざと話をせず、サプライズとしていた。

そして何故か今回の下見にクロイツ公爵も参加を申し出ていた。

「公式の場で力を貸すといった手前、私自身で開拓地を確認しておきたくてな。
　商人の仲間として同行するから安心しろ。」

この事はＯＺにだけに話され、出発当日に現れたクロイツ公爵は

「ＯＺの皆さん、宜しくお願いします。商人見習のクロイツと申します。」

髪の色や髪型、付け髭に眼鏡と、ＯＺのメンバーも言われなければ全く分からない変装をしていた。
しかし、年齢的に見習いというのは無理が有る気がする。