欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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170治癒魔法は独学

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拓が付き人達の待合室に現れると、ガラとレオが呆れていた。
他の付き人達は、国王のパーティで拓が現れたので、もしかしたら再び現れるのではないかと期待していた。

「拓、お前また抜け出してきたのか。」
「貴族のパーティは国王様主催とは違って繋がりが強い人が集まっているんだろ。抜け出して大丈夫なのかよ。」
「繋がりって貴族同士の話だろ。俺は知り合いときちんと挨拶をして来たし、そもそも貴族じゃない。
 政治的な話に全く関係ないしね。そんな事より・・・」

ビスタ男爵の息子さんに治癒魔法を教える事を話すと、ガラとレオに怪訝な顔をされた。

「あっ、スラム街で解体を依頼してガラ達が訓練をするタイミングなら良いと思ったけどマズかったかな。」
「いや、それは問題ない。問題はそっちでなくて。」
「拓が治癒魔法を教えるって大丈夫か?」
「これでも最近は魔力頼りでなく、技術を身に付けたと思っていたんだけどな。
 確かに、この間魔法の奥深さを知ったばかりで人様に教えるなんて、おこがましいか。」

ガラとレオが心配しているのはそういう事では無く、拓が短期間で治癒魔法を使いこなしている事を知っているので、普通の魔導士が習う相手としては厳しいのではないかと心配していた。
落ち人だからなのか、拓は規格外に凄すぎるのだ。
話を聞いていた付き人達は拓の治癒魔法を使った現場にいて完璧な治療を知っていたので、拓がおこがましいと考える事が理解できない。

「拓様、少し宜しいでしょうか。」
「あっ、この間は治癒魔法の技術を教えて頂きありがとうございました。」

話しかけてきたのは、国王のパーティで治癒魔法の技術を教えてくれた治癒魔導士だった。

「もしかして、拓様は治癒魔法を余り見たことが無いのではないですか。」
「良く分かりますね。冒険者ですので、周りで治癒魔法を覚える人は殆ど居ません。
 それに怪我は自分で治してしまいますので。」

正直、余りどころか、この間見せてもらったのが初めての他人の治癒魔法だった。
魔導士は攻撃魔法や防御魔法を覚える人が多く、治癒魔法は特化した適性でないと手を出さない。
魔獣と戦うことを考えれば仕方ないのだろう。
神殿に行けば治癒魔導士が多く居るらしいが行ったことが無い。

「それに、治癒魔法は独学で覚えたもので。」
「それは、冗談ですよね?」

そんな事は有り得ないと言いたげな顔の治癒魔導士を見て

「冗談です。正直、その程度の知識しかないという事です。」

治癒魔法とは人体構造を知っていれば、後は魔力が有れば何とかなると思っていた拓は慌てて話を合わせた。
何もかも感覚がズレていて、拓はどう話をすれば良いのか困ってしまった。

治癒魔導士は一瞬疑い視線を拓に向けたが、先ず普通の治癒魔導士と拓の治癒魔法のレベルについて説明した。
余りにも、拓が真剣に話を聞いていたので、独学で治癒魔法を覚えたというのは本当なのかと思い始めた。

「本当は実際に見せた方が良いのですが、ここに居る者は拓様に治療を受けたばかりですから。」

そうなると言葉で伝えただけでは、理解できないかもしれない。
魔導士が困っていると、何処からともなくセバスがやって来て魔獣討伐で怪我をした私兵が居ると教えてくれる。

「そうしましたら、その方の治療を行いながら一般的な治癒魔法をお見せします。」

さっそく怪我人が居る部屋に移動しようとすると、他の付き人達も来ようとする。
これにはセバスも想定外だったみたいで怪我人を待合室に連れて来てくれたのだが、何処かで見た人が付いて来た。

「拓殿、久しぶりじゃな。やはり面白い事をやっておるな。
 国王様のパーティでは見損なったからな、ここに来て正解じゃった。」
「えっと・・・」
「ヨギじゃ。これでも筆頭宮廷魔導士なんじゃが。」
「あっ、勇者のお師匠様ですね。」

拓の反応にヨギ魔導士が思いっきり笑っていた。
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