欲にまみれた楽しい冒険者生活

161従者の待合室

ガラとレオは付き人が待機する部屋に通されると、

「ガラ様、レオ様、お久しぶりです。」

ブルネリ公爵配下のセバスとソードから話しかけられた。
付き人の部屋にはテーブルに弁当が用意されていて、席が決められていた。
ガラとレオの席はブルネリ公爵家とロダン侯爵家の並びで、ロダン侯爵家からはモーゼス、ジークフリートと２人と顔見知りが来ていた。
この配慮に感謝し色々と雑談をしながら情報を得ていたのだが、周囲がさりげなくこちらの話に聞き耳を立てているのが分かる。

「やはり、拓は注目されているのですか？」
「えぇ、そうですね。今回、来られている貴族の方々の話題に良く上がっていますよ。
　普段は本人が冒険者として活動していて貴族と接触が無いので、今日は色々と大変なのではないでしょうか。」

ガラはやはりと思いながら、今更ながら大丈夫かと心配になって来た。
レオも心配なのか、会場の方に視線を向ける。
悩んでも仕方なく、そのまま話していると

「ガラとレオが居た。悪いけど少しここで休ませてもらえないかな。」

オリバー隊長に連れられて拓がやって来た。
噂になっている免責札を持つ拓がやってきて部屋はざわついたが、直ぐに静かになり拓の話に聞き耳を立てていた。
丁度端の席に６人が座っていたので、椅子を２組用意してもらう。

「大変なんだよ。良くら分からないけど、貴族や令嬢に妙に話しかけられて食事も出来なかったんだ。
　せっかく貴族が集まっているのに、そんな時間が有るなら有用な情報収集をすればいいのにね。」

アイテムボックスにしまっていた料理を取り出して食事をしながら話し始めたのは愚痴。
聞き耳を立てていた人達は、「一番欲しいのは貴方の情報だから。」と内心突っ込みを入れていた。

「俺も少しくらいは役に立とうと、瘴気の吹き溜まりがこの５年間でどう変化しているか聞いてみようと思たけど
　全く聞くタイミングが無い。自分のコミュニケーション能力の低さを痛感したよ。」

拓が料理を食べ終わるのを待って、２人の付き人が挨拶をしに近づいて来た。

「拓様。私達はオーベック侯爵領からやって来ました。以前は、盗賊の退治をして頂きありがとうございました。」
「とんでもないです。あれは私と言うよりＯＺとしてガラとレオの仲間が居たので無事に対応できました。」

拓に名前を出され、ガラとレオも立ち上がり挨拶を交わす。

「先ほど瘴気の吹き溜まりについて話をされていたように聞こえたのですが、宜しければ私共の領地内での状況を説明させて頂きます。」
「本当ですか。是非ともお願いします。」

「それでしたら、我々も協力させて頂きます。」

それを皮切りに、他の付き人達も自分の領地内で把握している状況を話してくれると言う。
拓はテーブルを避けるとアイテムボックスから巨大な地図を取り出しそれぞれの地域の情報を書き込み始めた。
５年前は緑、そして現在は赤で瘴気の吹き溜まりの位置を記入していく。

全員、断片的な情報は持っていたが、こうして形になった地図は初めて見る。
初めは様子を見ていた付き人達も居たが、徐々に全員が集まり出し自分達の情報を提供。
中には持っていた情報が古く、他の付き人達から訂正されることもあった。


付き人の待機所で変な動きがあると聞いた３人の貴族が様子を見に来ると、壁に張られた大きな地図を付き人達が一斉に写している姿があった。
その中には自分達の付き人の姿もある。
やって来た貴族達もこの地図に見入っているので、拓はメイドに飲み物を持って来てもらい配り始めた。

「ここは酒が禁止なので、ジュースになりますが良ければどうぞ。」
「頂こ・・・なっ、拓殿。わざわざ申し訳ない。」
「気にせずどうぞ。」

３人の貴族はポップ男爵、ジャイア男爵、ピスタ男爵と名乗った。

「この地図とこの状況は、一体何でしょうか？」

拓が付き人達から教わった情報を地図にまとめた所
有効な情報と言う事で、後で軍としてもこの地図を写させてもらう事を条件に、オリバー隊長から地図が配られ
付き人達が一斉に写している状態だと説明をする。

３人の男爵はこの地図を作り上げたのが拓だと知り更に驚いていた。