150 / 542
150配給
しおりを挟む
「大変だ兄貴、貴族がこっちにやって来る。」
OZが何度目かの解体作業を依頼し、外でガラとレオ、そしてゴルゴも一緒に稽古をしているとサブが走って来た。
何事かと作業場から拓も顔を出すとサブは条件反射的に両手で尻を隠す。
「サブ、もう少し詳しく説明しろ。」
ゴルゴに促されてサブが改めて話すと、貴族の女性が何人もの兵士を連れてやって来たらしい。
何があるか分からないので、OZは隠れゴルゴが対応することにした。
「この様な場所に何の用でしょうか。貴族の女性が来られる場所ではないと思いますが。」
「こちらはサリナ・マクニス様だ。ここをまとめられている方が居ればお会いたいのだが、案内してもらえないだろうか。」
警備の兵士が話す名前を聞いて、ゴルゴは驚いて声が出なかった。
王女が自らスラム街に来るとは、想像すらできない事だった。
そして、同じように兵士やサリナ姫もゴルゴの後ろの方を見て驚いていた。
ゴルゴの家でゴルゴ、サリナ姫、そして拓が座っていた。
オリバー隊長とサブが後ろに控え、他の人達には外で待機してもらっている。
サリナ姫の護衛にはこの間のメンバーも全員揃っていた。それも兵士としての正装の姿で・・・拓のテンションが上がるほどカッコいい。
「サリナ様はどの様な用事でこちらに来られたのでしょうか。」
立場的に仕方なく拓が場を仕切ることにした。
「こちらで食べ物の配給をさせて頂きたいと思いやって来ました。」
「配給ですか。」
「週に1度ですが、スープとパンの配給をさせて頂ければと思っていますが如何でしょうか。」
「そんなのは、余計な・・・」
ゴルゴが答えようとした言葉を拓が魔法で口を塞ぎ、代わりに拓が話す。
「サリナ様は、この間ここを訪れてから準備を行ってきたのですか?」
「はい、本来なら仕事を用意できれば良かったのですが、私にはそれだけの力が無いので、せめて出来る事だけでもと。」
「ゴルゴさん、これから冬を迎えるにあたって少しでも食事が手に入るのは有難い話だと思います。
一考の価値は有ると思いますが如何でしょう。」
拓に言われ、ゴルゴは冷静になる。
「それはそうだが・・・ちなみに、この間訪れたと言うのは、サリナ様自身がここに来られたのでしょうか?」
「はい、この様な格好では有りませんが、私自身で立ち寄らせて頂きました。」
ゴルゴがちらっと拓を見るので
「その時、案内したのは私達OZです。サリナ様にどうしても確認させて欲しいと頼まれまして。
そして、それが私達がこちらに顔を出すきっかけにもなりました。」
拓が説明する。
一介の冒険者が姫の案内をする?
ゴルゴにはその状況が考えられないが、拓の魔導士としての力を見れば、只の冒険者ではない事は分かる。
OZは冒険者のなりをしているが国、王族と直接関係する立場の人間だ。
拓と姫様が何かを企んでいるとも考えてみたが、何も思いつかない。
拓は変わっているが信用できるし、無料で怪我人の治療までしてくれ、スラム街をここまで改善してくれた恩も有る。
何かを企んで行動をしているとしても、ここまでする必要は無いだろう。
ゴルゴは拓とサリナ姫の顔を改めて見ると頭を下げた。
「配給を宜しくお願いします。それで私達は何を手伝えば良いでしょうか。」
「配給場所の確保と必要とする方に連絡をして頂けないでしょうか。後は私達の方で対応させて頂きます。」
2人の間で合意が取れると、拓もやっと一息つくことが出来た。
OZが何度目かの解体作業を依頼し、外でガラとレオ、そしてゴルゴも一緒に稽古をしているとサブが走って来た。
何事かと作業場から拓も顔を出すとサブは条件反射的に両手で尻を隠す。
「サブ、もう少し詳しく説明しろ。」
ゴルゴに促されてサブが改めて話すと、貴族の女性が何人もの兵士を連れてやって来たらしい。
何があるか分からないので、OZは隠れゴルゴが対応することにした。
「この様な場所に何の用でしょうか。貴族の女性が来られる場所ではないと思いますが。」
「こちらはサリナ・マクニス様だ。ここをまとめられている方が居ればお会いたいのだが、案内してもらえないだろうか。」
警備の兵士が話す名前を聞いて、ゴルゴは驚いて声が出なかった。
王女が自らスラム街に来るとは、想像すらできない事だった。
そして、同じように兵士やサリナ姫もゴルゴの後ろの方を見て驚いていた。
ゴルゴの家でゴルゴ、サリナ姫、そして拓が座っていた。
オリバー隊長とサブが後ろに控え、他の人達には外で待機してもらっている。
サリナ姫の護衛にはこの間のメンバーも全員揃っていた。それも兵士としての正装の姿で・・・拓のテンションが上がるほどカッコいい。
「サリナ様はどの様な用事でこちらに来られたのでしょうか。」
立場的に仕方なく拓が場を仕切ることにした。
「こちらで食べ物の配給をさせて頂きたいと思いやって来ました。」
「配給ですか。」
「週に1度ですが、スープとパンの配給をさせて頂ければと思っていますが如何でしょうか。」
「そんなのは、余計な・・・」
ゴルゴが答えようとした言葉を拓が魔法で口を塞ぎ、代わりに拓が話す。
「サリナ様は、この間ここを訪れてから準備を行ってきたのですか?」
「はい、本来なら仕事を用意できれば良かったのですが、私にはそれだけの力が無いので、せめて出来る事だけでもと。」
「ゴルゴさん、これから冬を迎えるにあたって少しでも食事が手に入るのは有難い話だと思います。
一考の価値は有ると思いますが如何でしょう。」
拓に言われ、ゴルゴは冷静になる。
「それはそうだが・・・ちなみに、この間訪れたと言うのは、サリナ様自身がここに来られたのでしょうか?」
「はい、この様な格好では有りませんが、私自身で立ち寄らせて頂きました。」
ゴルゴがちらっと拓を見るので
「その時、案内したのは私達OZです。サリナ様にどうしても確認させて欲しいと頼まれまして。
そして、それが私達がこちらに顔を出すきっかけにもなりました。」
拓が説明する。
一介の冒険者が姫の案内をする?
ゴルゴにはその状況が考えられないが、拓の魔導士としての力を見れば、只の冒険者ではない事は分かる。
OZは冒険者のなりをしているが国、王族と直接関係する立場の人間だ。
拓と姫様が何かを企んでいるとも考えてみたが、何も思いつかない。
拓は変わっているが信用できるし、無料で怪我人の治療までしてくれ、スラム街をここまで改善してくれた恩も有る。
何かを企んで行動をしているとしても、ここまでする必要は無いだろう。
ゴルゴは拓とサリナ姫の顔を改めて見ると頭を下げた。
「配給を宜しくお願いします。それで私達は何を手伝えば良いでしょうか。」
「配給場所の確保と必要とする方に連絡をして頂けないでしょうか。後は私達の方で対応させて頂きます。」
2人の間で合意が取れると、拓もやっと一息つくことが出来た。
23
お気に入りに追加
397
あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。

皇子ではなく魔塔主の息子だった俺の逃走計画
春暮某乃
BL
ノヴァ•サンセント。
帝国の第二皇子である。今年、15歳の誕生日を迎える年だった。
皇族は15歳になれば、帝国民へ皇族の仲間入りをしたと知らせる大きな宴が開かれる。
しかし、婚外子のノヴァが皇族になることを気に入らない人間が多くいた。
その誕生日会の知らせが皇帝から宣言されたことによりノヴァの周りはさまざまなことが変化していく。
義兄×義弟
実父×息子
⚠️なんでもあり向け。
題名の通りです。
あらすじまた後で書き直します!

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
異世界でホワイトな飲食店経営を
視世陽木
ファンタジー
定食屋チェーン店で雇われ店長をしていた飯田譲治(イイダ ジョウジ)は、気がついたら真っ白な世界に立っていた。
彼の最後の記憶は、連勤に連勤を重ねてふらふらになりながら帰宅し、赤信号に気づかずに道路に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなったというもの。
彼が置かれた状況を説明するためにスタンバイしていた女神様を思いっきり無視しながら、1人考察を進める譲治。
しまいには女神様を泣かせてしまい、十分な説明もないままに異世界に転移させられてしまった!
ブラック企業で酷使されながら、それでも料理が大好きでいつかは自分の店を開きたいと夢見ていた彼は、はたして異世界でどんな生活を送るのか!?
異世界物のテンプレと超ご都合主義を盛り沢山に、ちょいちょい社会風刺を入れながらお送りする異世界定食屋経営物語。はたしてジョージはホワイトな飲食店を経営できるのか!?
● 異世界テンプレと超ご都合主義で話が進むので、苦手な方や飽きてきた方には合わないかもしれません。
● かつて作者もブラック飲食店で店長をしていました。
● 基本的にはおふざけ多め、たまにシリアス。
● 残酷な描写や性的な描写はほとんどありませんが、後々死者は出ます。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる