欲にまみれた楽しい冒険者生活

046魔法技術向上

２日間は同じ様に宿に泊まることが出来たが、３日目の村は宿が無く村の空き屋に泊まることになった。
途中、魔獣が襲ってきたが問題なく退治し、希少部位と食べる分の肉だけ取って後は燃やした。
宿泊場所が決まると、エチゴは直ぐに食料の販売を行う。それも、かなり格安の設定で。
拓が売上は大丈夫なのか不思議に思うと

「この村は魔獣に襲われ、食料が大変なんですよ。
　我々商人や冒険者にとって、移動の際　安全に泊まれる場所が有るというのは重要な事です。
　少しでもサポートする事が、我々自身を助けることになります。」

エチゴが説明してくれた。納得した拓達冒険者も客の整理をしたりして手伝うことに。
客の中に腕を怪我している男が居たので、買い物を終えた所で拓が呼んで魔法で治療する。

「ありがとうございます。ただ、俺に支払える金は・・・」
「別にいいですよ。エチゴさんの所で買い物をしてくれたサービスと言うことで。」

他にも男の怪我人が居たので治療をしていると、村長がやって来て頭を下げる。

「魔導士様、出来ましたら他の怪我人を見て頂けないでしょうか。」

拓がエチゴを見ると頷いているので、ガラとレオに付き添ってもらい村長の後に付いて建物の中に入ると
そこには、十数名の怪我人が横わたっていた。

「魔獣と戦い怪我をした男達です。お願い致します。」

村長以下、怪我人を世話していた人達にも頭を下げられる。

「何処まで出来るかは分かりませんが、やれるだけやってみます。酷い怪我人から始めましょう。」

酷い人は怪我で意識が朦朧とし、かなり危険な状態だった。
拓は中級魔法でダメなら、上級魔法のレベルまで魔力を注ぎ込むつもりだった。
本に書いてあったが魔法はイメージが重要。拓は骨や血管、筋肉をイメージして魔法を使う。
怪我をした所が淡く光り修復されると、拓の体がフラッとよろめく。

「拓大丈夫か？」
「治癒魔法って精神的に結構来るんだよ。と言ってもこんな酷い怪我を治療したのは２回目だけどね。
　他の魔法はスムーズに使える様になったんだけどな。
　やはり、具体的なイメージが出来ていないからか。」

体を支えてくれたガラに、拓が困ったように話す。
一応、中級魔法のレベルで対応が出来たが、この精神的な負担は酷い。
男の傷は塞がり治療は完了していた。男は喜んで立とうとしたが、ふらついて倒れる所をレオに支えられた。

「怪我が治っただけで、失った血はそのままですから貧血を起こしますよ。」

男は横になったまま拓に礼を言う。
魔法はイメージ。もっと具体的なイメージを持たなければ拓の精神力が持たない。

「この人数を見るのに今の俺では限界が有る。治療をする代わりに魔法技術向上の為に付き合ってもらいます。」

拓はタオルと大量の水を持ってくるように指示を出し、水浸しになっても良いように外にベットを用意してもらう。

「痛みが有るので、タオルを咥えさせて傷口を上に。水で傷口の血を流します。」

外に設置したベットに怪我人を横たえると、水を操作して傷口を洗い傷口を開く。
男が痛みで叫ぶがお構いなしに、何処まで深く切られ、傷口の断面を確認する。
はっきりしたイメージを持った所で治癒魔法を使うと、先ほどより精神的な負担がずっと軽くなっていた。
怪我人の治療は問題なく終わったが、怪我人は気絶しぐったりとしている。

拓が椅子に座って水を飲んでいる間に、治療が終わった元怪我人は気を失ったまま体を拭かれベットに戻されたのだが
部屋の中で呻き声を聞き続け、戻って来た仲間を見た怪我人達は目を閉じてしまった。
ダメだったのかと・・・