欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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042顔合わせ

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エチゴの護衛依頼の顔合わせ。
エチゴの選任護衛は試験を行った髭面で熊の様なアル。
拓達以外の護衛は、Aランク冒険者パーティのクリーム
目の横に傷がある男がリーダーのジーク、大剣を使う剣士。
ジークさんより一回り大きい巨漢のトム、大きな盾と斧を使うタンク。
小柄な男がニコラス、ショートソードを使う斥候。
強気そうなスレンダー美人がジェニファー、水の上級魔法を得意とする魔導士。
ホワッとした色気のある女性がロビン、火の上級魔法を得意とする魔導士。
護衛依頼を受けてラグテルの町までやってきて、王都へ戻るのにエチゴの依頼を受けることにしたらしい。

「拓も魔導士なのね。荷物運びのアイテムボックス持ちかしら。
 私もアイテムボックスを使えるけど、そこまでの容量が有るわけじゃないのよね。」
「もし、容量が有ったら俺の採用は無かったかもしれませんね。」

ジェニファーは拓が魔導士だと知って、気さくに話しかけてくる。
一応、得意な魔法はアイテムボックスで、他に中級魔法が幾つか使えると伝えてある。
顔合わせが終わると、拓が運ぶ荷物を見せられた。
大きなガラス細工が5つ、貴族から受注を受けたモノだった。

「凄いガラス細工ね。こんな立派なのはなかなか見られないわ。」
「アイテムボックスが無かったら、刺激を与えない様に時間を掛けて馬車で運んでいたのか。それにしても本当に綺麗ね。」

ジェニファーとロビンがガラス細工に見とれていた。

「拓さん、一度こちらのガラス細工をアイテムボックスに収納してもらえますか。」

エチゴに言われ荷物を収納すると、アイテムボックスに空きが有るか聞かれる。
空きだらけなのだが、とりあえず後 樽3つ分は空いている事にした。

「追加の依頼量を支払うので、移動時の食料を保管してもらえないでしょうか。
 私の方でもマジックバックは有るのですが、念のため分散させておきたいので。」

マジックバックとは魔道具の1つで、見た目は普通のカバンだが収納できる容量が外見より大きくなっている。
ただ、アイテムボックスの様に収納した状態を保持することは出来ず、口の大きさで収納できるサイズに制限が出てしまう。
そして、非常に珍しい魔道具で金が有っても購入するのは難しい。
王都までの移動は10日以上掛かり、途中の村が魔獣に襲われ食料は自分達で用意する必要があった。
量を確認したところ、問題ないので受け入れることにした。

「拓。未だ空きは無いか?良ければ皆で食べるケーキを用意するから保管して欲しい。」

ジークの勢いに、拓は思わず頷いてしまった。
まぁ、拓達もデザートとして食べれるのなら良いだろう。

後は護衛組がお互いの腕を簡単に確認して解散となった。

「暫く戻って来れないだろうから王都に行く前に町を回っておくか。」
「だったら、薬と果物を多めに買っておきたい。王都だと価格が上がっているらしいから。」

護衛組の確認中に、拓がエチゴから聞いておいたことだった。
王都で薬を売れば3割増しの値段で取引が出来るらしい。

「しっかりしているな。アイテムボックスの空きは大丈夫なのか?」
「あの程度の量を保管したからって問題は無いよ。そもそも、俺の魔力量を隠すために演技をしているだけだから。」
「いや、それは知っているんだけどよ。既に肉や食料をあれだけ保管していて問題ないって驚きを通り越して呆れちまうぞ。」
「今更、何を言っているんだよ。王都に運ぶだけで金になるのなら、やらないという選択肢は無いよ。
 と言っても、俺の持ち金って殆ど無いけどね。」

任せろとガラとレオがギルド会館によると結構な金額を下ろしていた。

「拓の様にアイテムボックスを持っていないと、大金や荷物を持ち運び出来ないからな。」
「俺達が購入し拓が運ぶって事で、利益を3等分でどうだ?
 その代わり、果物は拓にプレゼントするって事で。」

拓が得をし過ぎと思ったが、拓が自分達の料理まで作っているので安いくらいだと言ってくれる。

「それに果物が有れば、カクテルが飲めるだろ。」

良い話だと思っていたが、レオがしっかりと落ちを付けてくれた。
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