欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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031試合1

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「すまない、俺の責任だ。」

ガラが拓に頭を下げる。
今回、ガラと拓が組むようになって、以前から自分のパーティに勧誘しようとしていた冒険者達から拓が反感を買っていた。
今のところは「只の荷物持ちの癖によ。」と聞こえるように言ってくるだけだが。
アークや銀バラは、その冒険者達の陰口を止めようとしているが効果は無い。

「いや、ガラの責任ではないし。まぁ、王都に行くまでの我慢だと思えば大丈夫。」

良い気はしないが、諦めるしかなかった。


その日は、ガラとレオの特訓の間に拓が買い物をしていると、冒険者5人に囲まれ裏道に引き込まれた。
小柄な拓は、体格の良い冒険者に完全に外から隠れてしまっている。

「貴様、何時までガラに付き纏うつもりだ。」
「迷惑に思っているのが分かっていないのか。」
「今すぐ、町から出ていけ。アイテムボックスを持っているなら問題ないだろ。」

冒険者の1人が剣を抜いて拓の目の前でチラつかせる。
ガラとレオで慣れてしまっているからだろうか。
いや、あの2人どころか魔獣と対峙している時の方が拓にとっては恐怖を感じる。

「剣を抜いたという事はそういう事で良いんだよな。」
「こいつは何を言っているんだ。この・・・」

冒険者が全てを話す前に、拓から放たれた雷撃で倒されていた。
剣を抜いた冒険者に対しては、体力強化を行いその剣を手に突き刺し地面に張り付ける。
後は、体をまさぐり金を全て取り上げてその場を立ち去った。

「う~ん、実際に絡まれるとは思わなかった。異世界、怖いな。」

そう言いながらも臨時収入で、料理の材料を購入していた。


次の日、ガラと拓がギルド会館で依頼を見ていると、

「貴様、卑怯な手を使いやがって。」

拓の肩を掴んでくるので、見ると昨日拓に絡んで来た冒険者達だった。
直ぐにガラが間に入るが

「ガラには関係ない。そいつと俺達の問題だ。」
「俺達の問題って、お前達 昨日俺に剣を突き付けて来た卑怯者だろ。」
「ガラにくっついているお前卑が怯者だ。俺達がお前なんかに負けるわけねぇだろ。」
「なら、試してみるか。裏に訓練場が有るよな。」

ガラが引き留めようとするが、これ以上彼等に邪魔をされない様に何とかした方が良い。
拓は自立してガラやレオとパーティを組んだのであれば、自分で対応しておきたい。

訓練場に着いて、拓が何も持たずに練習場の中央に立つと

「そのふざけた態度、後悔するぞ。お前の魔法なんて不意打ちでなければ食らうはず無い。」

冒険者の1人が拓を睨みつけながら前に出て剣を抜く。
自分に殺意を持って剣を向けられるのはガラと会った時依頼だった。
それにも拘らず、怖いという感じはしない。ガラやレオの方がずっと迫力がある。

冒険者の方から仕掛けようとしたが、拓の周囲に複数の火の玉が浮かんだかと思うと、一斉に冒険者に向かって放たれた。
拓はそのまま横に飛び、追加の魔法攻撃を放ち続けたのだが

「拓、こいつを殺すつもりか。」

途中でガラが間に入って拓の攻撃を剣で受けた。
試合は拓の圧勝で終わった。
冒険者は拓の放つ火の玉を防ぎきることが出来ず、集中砲火で剣を振るう事も出来ずに倒れてしまった。
圧倒的な力の差の前に見ていた者達は驚いていたが、一番驚いていたのは拓だった。
冒険者が火の攻撃を避けて攻撃を仕掛けてくると思い、追加で攻撃魔法を使ったのだが・・・

ガラとレオならあの程度の攻撃なら確実に反撃を食らっていた。
余りにも弱すぎる。
剣術素人の拓でも、これでガラとパーティを組んでもバランスが取れない事くらい分かる。
こんな奴等が居るから、ガラが単独で行動する事になってしまったのではないだろうか?
これなら、試合中の事故として死んだ方が良くないか?

拓はガラに取り入って立場を上げようとしたFランクの初心者冒険者だと判断していたが、
実際はCランクの冒険者だった。

「これで拓の実力が分かっただろ。俺と組むのに文句を言う奴は他に居るか。」

ガラが言い放つと、対戦した冒険者の仲間も野次馬達も黙り訓練場が静かになった。
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