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272すいとん
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冒険者達が戻り始めた夕方になり、販売を始めた。
アーネスとゴンの販売はサラダや煮物に使える野菜類。
拓とガラはポーション、オーヘンとサーシャはバタークリームとラムレーズンをクッキーで挟んだ菓子、ドクスとユンクは傷薬や毒消を販売する。
直ぐに冒険者が集まり、ポーションを購入してくれる。
「良いポーションだな。手持ちを使い切ってしまったので助かったよ。」
拓は自分のポーションを冒険者が買う姿を初めて見て喜んでいた。
菓子の方も少し高いと思ったが売れ行きは好調で、販売をオーヘンとサーシャが行っていると知ると有難く購入していた。
ドクスの薬も好評で手持ちの在庫を追加で売りに出していた。
完売したにも関わらず、噂を聞いた冒険者がやって来るので売り切れの表示を行うほどの大反響。
「普通はこんな簡単な事じゃないんだろうけど、商売って楽しいな。」
「ユンク、これはお前の取り分だ。手伝ってくれて助かった。」
満足そうなユンクにドクスが手伝った分の手間賃を渡す。
拓もオーヘン、サーシャ、ユンクに菓子作り、販売の手間賃を支払おうとすると
「私は必要ない。領主の息子として冒険者達が気力を与えられれば十分だからな。」
オーヘンが断るので、サーシャとユンクが受け取り難くなってしまった。
「サーシャとユンクは受け取れよ。
菓子作りの手伝いまでやってもらって受け取ってもらえないと、何かあった時に頼みずらいし。」
拓に言われサーシャがオーヘンを見ると微笑むので、2人は素直に受け取った。
しかし、アーネスの食料は半分くらい残ってしまった。
拓達が晩飯を作っている間にアーネスが冒険者の食事を覗いてくると、仕留めた魔獣の肉を焼いて食べるか屋台で購入してしまい、まともに料理を作る者は少なかった。
アーネスは戻ってくると今日の販売は止めて食事を取ることにした。
「今回はしくじったな。ここまで屋台が出ていると自分で作らないか。」
多くの冒険者が料理道具の分を減らして魔獣の素材を出来るだけ多く運ぼうと考えていた。
「なら、アーネス小父さんも料理を提供したら良い。調理なら手伝うよ。」
「良いのか?」
「別に良いよ。俺が小麦粉を提供するからすいとん汁でも作ってみますか?
残っている野菜も適当に切って鍋に入れてしまえば一気にはけるし、朝食に丁度良いよ。」
夕食を終えるとアーネスとゴンは冒険者達に朝食の宣伝をして回った。
その間に、ガラが小麦粉をこね、拓が野菜を切っていく。
「私も手伝うわ。」「俺も手伝うぞ。」
サーシャとユンクが料理を手伝ってくれる。
サーシャは拓と一緒に野菜を切り、ユンクにはガラと小麦粉を練ってもらう事にした。
「面白そうね。この位なら私にも・・・」とシルビアも手伝おうとしてきたが、オーヘンに押し付ける。
「サーシャも包丁の使い方が上手くなったよね。」
「ルドルフ料理長にお願いして、色々と作らせてもらっているの。料理って楽しいわよね。」
「拓、俺も結構作っているんだぜ。ある程度の料理なら問題なく作れるようになってるぞ。」
「凄いね。ユンクは料理が作れた方が良いのは分かるけど、公爵家の令嬢としては大丈夫なの?」
「本職にしたら問題になるかもしれないけど、趣味なら大丈夫よ。
たまに、お父様やお兄様にも手料理を振舞っているんだから。未だルドルフ料理長の味の修正が入るけど。」
それならと、拓は2人に教える様にしてスープづくりを行う事にした。
結構時間が掛かったが、後は生地を寝かせて明日小さくちぎってゆでれば出来上がりだ。
ドクスは追加で薬を作り始め、ここでは普通のテントを使用しているためヘルガ、トウ、バン、ジャンは対人も踏まえて夜の警備の準備をしていた。
アーネスとゴンの宣伝の効果が有ってか、多くの冒険者達がやって来た。
器は冒険者達が用意することになっていて、アーネスとゴンが手際よくよそって捌いていく。
「アーネス小父さん、後20人分で空になる。パウンドケーキで良ければ提供するけどどうする?」
拓に言われ、アーネスが並んでいる冒険者達に呼び掛ける。
「悪いが、すいとん汁は後20人で終了だ。パウンドケーキで良ければ引き続き売らせてもらう。」
冒険者達はそのまま残っていた。
昨日売ったバタークリームサンドが好評だったので問題ないと判断したみたいだ。
ただ、問題はすいとん汁を食べた冒険者達が再び並び始めた事だろう。
「アーネス小父さん、流石にすいとん汁を買い損ねた人だけで終わりだよ。」
拓に言われて再び並ぼうとした冒険者達に断りをいれ、すいとん汁を渡そうとしたのだが
「パウンドケーキにしてもらえないか。」
拓が問題ないと言うので、残り全員にはパウンドケーキを売ることになり、残ったすいとん汁は皆の朝食になった。
「皆さんのお陰で助かりました。こちらはお礼です。」
アーネスは料理の代金を支払い、ここでの商売は終わりとなった。
アーネスとゴンの販売はサラダや煮物に使える野菜類。
拓とガラはポーション、オーヘンとサーシャはバタークリームとラムレーズンをクッキーで挟んだ菓子、ドクスとユンクは傷薬や毒消を販売する。
直ぐに冒険者が集まり、ポーションを購入してくれる。
「良いポーションだな。手持ちを使い切ってしまったので助かったよ。」
拓は自分のポーションを冒険者が買う姿を初めて見て喜んでいた。
菓子の方も少し高いと思ったが売れ行きは好調で、販売をオーヘンとサーシャが行っていると知ると有難く購入していた。
ドクスの薬も好評で手持ちの在庫を追加で売りに出していた。
完売したにも関わらず、噂を聞いた冒険者がやって来るので売り切れの表示を行うほどの大反響。
「普通はこんな簡単な事じゃないんだろうけど、商売って楽しいな。」
「ユンク、これはお前の取り分だ。手伝ってくれて助かった。」
満足そうなユンクにドクスが手伝った分の手間賃を渡す。
拓もオーヘン、サーシャ、ユンクに菓子作り、販売の手間賃を支払おうとすると
「私は必要ない。領主の息子として冒険者達が気力を与えられれば十分だからな。」
オーヘンが断るので、サーシャとユンクが受け取り難くなってしまった。
「サーシャとユンクは受け取れよ。
菓子作りの手伝いまでやってもらって受け取ってもらえないと、何かあった時に頼みずらいし。」
拓に言われサーシャがオーヘンを見ると微笑むので、2人は素直に受け取った。
しかし、アーネスの食料は半分くらい残ってしまった。
拓達が晩飯を作っている間にアーネスが冒険者の食事を覗いてくると、仕留めた魔獣の肉を焼いて食べるか屋台で購入してしまい、まともに料理を作る者は少なかった。
アーネスは戻ってくると今日の販売は止めて食事を取ることにした。
「今回はしくじったな。ここまで屋台が出ていると自分で作らないか。」
多くの冒険者が料理道具の分を減らして魔獣の素材を出来るだけ多く運ぼうと考えていた。
「なら、アーネス小父さんも料理を提供したら良い。調理なら手伝うよ。」
「良いのか?」
「別に良いよ。俺が小麦粉を提供するからすいとん汁でも作ってみますか?
残っている野菜も適当に切って鍋に入れてしまえば一気にはけるし、朝食に丁度良いよ。」
夕食を終えるとアーネスとゴンは冒険者達に朝食の宣伝をして回った。
その間に、ガラが小麦粉をこね、拓が野菜を切っていく。
「私も手伝うわ。」「俺も手伝うぞ。」
サーシャとユンクが料理を手伝ってくれる。
サーシャは拓と一緒に野菜を切り、ユンクにはガラと小麦粉を練ってもらう事にした。
「面白そうね。この位なら私にも・・・」とシルビアも手伝おうとしてきたが、オーヘンに押し付ける。
「サーシャも包丁の使い方が上手くなったよね。」
「ルドルフ料理長にお願いして、色々と作らせてもらっているの。料理って楽しいわよね。」
「拓、俺も結構作っているんだぜ。ある程度の料理なら問題なく作れるようになってるぞ。」
「凄いね。ユンクは料理が作れた方が良いのは分かるけど、公爵家の令嬢としては大丈夫なの?」
「本職にしたら問題になるかもしれないけど、趣味なら大丈夫よ。
たまに、お父様やお兄様にも手料理を振舞っているんだから。未だルドルフ料理長の味の修正が入るけど。」
それならと、拓は2人に教える様にしてスープづくりを行う事にした。
結構時間が掛かったが、後は生地を寝かせて明日小さくちぎってゆでれば出来上がりだ。
ドクスは追加で薬を作り始め、ここでは普通のテントを使用しているためヘルガ、トウ、バン、ジャンは対人も踏まえて夜の警備の準備をしていた。
アーネスとゴンの宣伝の効果が有ってか、多くの冒険者達がやって来た。
器は冒険者達が用意することになっていて、アーネスとゴンが手際よくよそって捌いていく。
「アーネス小父さん、後20人分で空になる。パウンドケーキで良ければ提供するけどどうする?」
拓に言われ、アーネスが並んでいる冒険者達に呼び掛ける。
「悪いが、すいとん汁は後20人で終了だ。パウンドケーキで良ければ引き続き売らせてもらう。」
冒険者達はそのまま残っていた。
昨日売ったバタークリームサンドが好評だったので問題ないと判断したみたいだ。
ただ、問題はすいとん汁を食べた冒険者達が再び並び始めた事だろう。
「アーネス小父さん、流石にすいとん汁を買い損ねた人だけで終わりだよ。」
拓に言われて再び並ぼうとした冒険者達に断りをいれ、すいとん汁を渡そうとしたのだが
「パウンドケーキにしてもらえないか。」
拓が問題ないと言うので、残り全員にはパウンドケーキを売ることになり、残ったすいとん汁は皆の朝食になった。
「皆さんのお陰で助かりました。こちらはお礼です。」
アーネスは料理の代金を支払い、ここでの商売は終わりとなった。
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