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254脱出2
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「これは一体何が起きている?」
拓が驚くのも無理はなかった。
神殿の入口では神官同士で争いが起きていた。
「安心しろ、仲間が傀儡掌を使って騒ぎを起こしているだけだ。今の内に逃げだすぞ。」
ゴウはそう言うと、翼の腕輪の力で軽くなっている拓とサーシャの手を引いて争っている神官達の上を飛んで神殿の扉から外へ出た。
そして、神殿の柱の所までくると、
「ここに居たか。」
誰も居ない空間に向かって話しかけた。すると
「神殿で騒ぎが有ったからね。多分あんたが脱出すると思って騒ぎを起こしておいたよ。」
誰も居ないと思っていた空間から声が聞こえ、認識阻害のフードを被った人物が姿を現した。
手に持っているのが姿を消す魔道具なのだろう。
そしてゴウは拓から手を離し姿を現すと、フードを被った人物の所へ行きフードを被った人物によって姿を消した。
「これ以上は、一緒に行動をしない方が良いだろう。
これを持っていけ、もしかするとお前が知りたい事が書いてあるかも知れない。」
誰も居ない空間からゴウの声が聞こえ、1冊の本が拓に向かって放り投げられた。
「もう逃げていったわ。私達も逃げましょう。」
「サーシャは見えているの?」
「姿を隠そうと、覆っている闇の魔力ははっきりと見えるから。向こうへ走っているわよ。」
拓はサーシャが指し示す方を見たが、何も見ることは出来なかった。
拓とサーシャは翼の腕輪で屋根の上に飛び乗ると、姿を消したままフォスターの元へと戻ることにしたのだが
途中でサーシャが立ち止まってしまった。
「どうしたの。足でも痛めた?」
拓が心配して聞いてみると
「ゴウって私が緑の髪なのを知っていたわ。
以前、拓が王都に来たのって私の緑の髪が関係しているんじゃないの。
それどころか、今回の毒の騒動が起きる切っ掛けが私なんじゃ・・・
ドクス魔導士やシルビア魔導士の態度が不自然だったのは、肥料の装置を作ったのは拓だからなんでしょ。」
思い詰めたように話す。
「秘密にしていたけど俺だよ。こう見えて結構優秀なんだ。」
拓がおどけた様に話すが、サーシャは黙ったままだ。
「それから、今回の騒動の原因はゴウに踊ろされた俺に有る。
ゴウがどうやって緑の髪の事を知ったのかは分からないけど
それが理由で俺が行動したり、装置を作ったりしていないよ。」
拓の言葉を信じたのかは分からなかったが、サーシャはそれ以上は話さず拓に従って移動した。
フォスターの家にはペンデルトン侯爵、ナターシャ、ヘンリーが揃って拓とサーシャの帰りを待っていた。
「サーシャを危険な場所に連れて行って申し訳ありませんでした。」
拓が誤ったのだが
「状況は把握している。先ずは無事に戻ってこれて何よりだ。」
ペンデルトン侯爵はそう言うと、手紙を取り出して拓に渡す。
拓が読ませてもらうと、それはサーシャの置手紙。
無理にでも拓の手伝いをしてくるという内容だった。
「サーシャ、一体貴方は何をしているの。
それが拓さんの迷惑になるとは思わなかったの。」
ナターシャに叱られサーシャの王都での自由行動が無くなった所で、拓がゴウを助けた話をする。
「拓殿、本当にゴウを助けて良かったのか。」
「ギリス教に捕らえられた状態よりはましだと思います。
それに、ギリス教は国を跨いで権力を持っていますので、もうゴウは毒を作る事は出来ません。」
拓はヘンデリック侯爵の質問に答えていた。
ゴウとフードを被った人物は安全な所へと移動すると探索魔法に特殊魔法 神眼を乗せる。
すると周囲を感じるだけでなく、映像として見ることも出来ていた。変装しようと、真実の姿を・・・
怪しげな人間を確認し問題無い事を確認すると一息吐くことにした。
「まさか、お前が助けに来るとは思わなかった。」
「アンタが死ねば、私も死ぬ。えげつない呪いを掛けておいて何を言っている。」
「そうだったな。」
ゴウは自分の言葉に呆れてしまった。
フードの人物との間には奴隷の契約の様な呪いが掛けられているが、それはゴウが死ぬと奴隷も死ぬという強力なモノだった。
そしてゴウの事を話せないだけでなく、ゴウの命令に逆らうことも出来ない。
助けないわけにはいかない相手だった。
拓が驚くのも無理はなかった。
神殿の入口では神官同士で争いが起きていた。
「安心しろ、仲間が傀儡掌を使って騒ぎを起こしているだけだ。今の内に逃げだすぞ。」
ゴウはそう言うと、翼の腕輪の力で軽くなっている拓とサーシャの手を引いて争っている神官達の上を飛んで神殿の扉から外へ出た。
そして、神殿の柱の所までくると、
「ここに居たか。」
誰も居ない空間に向かって話しかけた。すると
「神殿で騒ぎが有ったからね。多分あんたが脱出すると思って騒ぎを起こしておいたよ。」
誰も居ないと思っていた空間から声が聞こえ、認識阻害のフードを被った人物が姿を現した。
手に持っているのが姿を消す魔道具なのだろう。
そしてゴウは拓から手を離し姿を現すと、フードを被った人物の所へ行きフードを被った人物によって姿を消した。
「これ以上は、一緒に行動をしない方が良いだろう。
これを持っていけ、もしかするとお前が知りたい事が書いてあるかも知れない。」
誰も居ない空間からゴウの声が聞こえ、1冊の本が拓に向かって放り投げられた。
「もう逃げていったわ。私達も逃げましょう。」
「サーシャは見えているの?」
「姿を隠そうと、覆っている闇の魔力ははっきりと見えるから。向こうへ走っているわよ。」
拓はサーシャが指し示す方を見たが、何も見ることは出来なかった。
拓とサーシャは翼の腕輪で屋根の上に飛び乗ると、姿を消したままフォスターの元へと戻ることにしたのだが
途中でサーシャが立ち止まってしまった。
「どうしたの。足でも痛めた?」
拓が心配して聞いてみると
「ゴウって私が緑の髪なのを知っていたわ。
以前、拓が王都に来たのって私の緑の髪が関係しているんじゃないの。
それどころか、今回の毒の騒動が起きる切っ掛けが私なんじゃ・・・
ドクス魔導士やシルビア魔導士の態度が不自然だったのは、肥料の装置を作ったのは拓だからなんでしょ。」
思い詰めたように話す。
「秘密にしていたけど俺だよ。こう見えて結構優秀なんだ。」
拓がおどけた様に話すが、サーシャは黙ったままだ。
「それから、今回の騒動の原因はゴウに踊ろされた俺に有る。
ゴウがどうやって緑の髪の事を知ったのかは分からないけど
それが理由で俺が行動したり、装置を作ったりしていないよ。」
拓の言葉を信じたのかは分からなかったが、サーシャはそれ以上は話さず拓に従って移動した。
フォスターの家にはペンデルトン侯爵、ナターシャ、ヘンリーが揃って拓とサーシャの帰りを待っていた。
「サーシャを危険な場所に連れて行って申し訳ありませんでした。」
拓が誤ったのだが
「状況は把握している。先ずは無事に戻ってこれて何よりだ。」
ペンデルトン侯爵はそう言うと、手紙を取り出して拓に渡す。
拓が読ませてもらうと、それはサーシャの置手紙。
無理にでも拓の手伝いをしてくるという内容だった。
「サーシャ、一体貴方は何をしているの。
それが拓さんの迷惑になるとは思わなかったの。」
ナターシャに叱られサーシャの王都での自由行動が無くなった所で、拓がゴウを助けた話をする。
「拓殿、本当にゴウを助けて良かったのか。」
「ギリス教に捕らえられた状態よりはましだと思います。
それに、ギリス教は国を跨いで権力を持っていますので、もうゴウは毒を作る事は出来ません。」
拓はヘンデリック侯爵の質問に答えていた。
ゴウとフードを被った人物は安全な所へと移動すると探索魔法に特殊魔法 神眼を乗せる。
すると周囲を感じるだけでなく、映像として見ることも出来ていた。変装しようと、真実の姿を・・・
怪しげな人間を確認し問題無い事を確認すると一息吐くことにした。
「まさか、お前が助けに来るとは思わなかった。」
「アンタが死ねば、私も死ぬ。えげつない呪いを掛けておいて何を言っている。」
「そうだったな。」
ゴウは自分の言葉に呆れてしまった。
フードの人物との間には奴隷の契約の様な呪いが掛けられているが、それはゴウが死ぬと奴隷も死ぬという強力なモノだった。
そしてゴウの事を話せないだけでなく、ゴウの命令に逆らうことも出来ない。
助けないわけにはいかない相手だった。
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