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266関係

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バタフライ公爵夫人の方で拓の情報が入れば直ぐに連絡をする事になり
ヘンデリック侯爵はアーネスの家に、ガラはフォスターの所に世話になる事にした。

突然、ガラが用意していた紙に何かを書き始め、その場で円を描くように歩いた。

「フォスターさん、今 拓さんから連絡が入りました。」
「やっと来たか。何だと言っている。」

ガラの言葉に、フォスターは身を乗り出すようにして尋ねた。

『イマ オウト。ジイチャンノトコロニヨッテカラカエル。』

拓からの信号を知ったフォスターは

「あのバカが・・・呑気な連絡をしてきおって。ガラ、とっとと帰って来いと伝えてくれないか。」

安心したようだが、

「私からは通信は送れないです。」

やはり焦っていたみたいだ。

「そうだったな。すまないが、アーネスとヘンデリック侯爵にこの事を伝えてきてもらえないか。
 しかし、拓の方はガラの場所を把握できるのなら、ガラが王都に居ること位分かるだろうが。
 本当に肝心な所が抜けている。
 仕方がない、風呂くらいは用意しておくか。」

独り言のように文句を言いながらも、フォスターは拓が戻ってきたら休める様に準備を始めた。
ガラがアーネスの家へ行こうとドアを開けると、走って来るアーネスの姿が見える。

「ガラ、爺様は居るか。バタフライ公爵夫人から連絡が入った。ゴウが王都に戻って来た。」
「丁度 拓さんからこちらに帰って来ると連絡が来た所です。」

アーネスはガラに届いた連絡を聞くと、フォスターと同じような反応をした。

「こっちの気も知らないで、何を呑気な連絡をしてきたんだ。ガラ、とっとと帰って来いと伝えてくれ。」、


アーネスはバタフライ公爵夫人に連絡をし、フォスターの家に全員が待機していた。そこに

「爺ちゃん居る?急で悪いけど今夜泊めて貰えないかな。」

いつもと変わらない感じで拓が帰って来くると、居間に揃っているメンバーを見て

「みっ、皆さんお揃いで、これってもしかして・・・」

驚きながらも何とか言葉を続けようとしたが

「お前は何をやっていたんだ。」

途中でアーネスの拳骨が拓の頭に落ちた。拓は自分の頭を撫でながら

「ゴウに魔獣に襲われた町に連れていかれました。
 薬剤師として毒作りを手伝わせたかったみたいですが、諦めたみたいです。」

全員に状況を説明した。

「一体、拓殿とゴウとの間には、どの様な関係が有るのですか?」

バタフライ公爵夫人が聞いて来た。
拓は少し黙って考えていたが

「彼と私は同郷の人間です。彼は薬に関しては天才です。
 そして、私は大量に薬を作る技術を引き継いでいます。
 彼は私が引き継いだ技術を求めています。」

一応、事実を話した。

「拓殿は一体、何処の出身なのですか?
 それに、ゴウは拓殿の事は知らないのでしょう。一体どうやって同郷だと知ったの?
 それに技術を引き継ぐと言っても、子供にそんな知識を与えるなんて・・・」

バタフライ公爵夫人は以前から疑問に思っていたことを聞いた。
そして、フォスターとガラ以外は全員同じ疑問を持っていた。

「故郷は、もう帰ることができない場所です。
 ゴウが私の事に気が付いたのは、バタフライ公爵夫人に連れて行ってもらった毒の公開実験の時です。
 理由はゴウの特殊魔法に関係するみたいですが、はっきりとは分かりません。
 技術に関しては、私も引き継いだ人間の1人だというだけです。」

全員が黙って拓の話を聞いていたが

「そうなると、毒を大量に作り出せる技術を持っている人物は他にも居るのか?」

ヘンデリック侯爵が聞いて来る。

「多分、知識を受け継いだ人物で残っているのは私だけでしょう。
 同郷の者も、ゴウに付き添っているフードの人物が怪しいだけで他には居ないと思います。」

拓は別の世界から来た事を隠して話したので、故郷が全滅したと理解し誰も言葉が無かった。
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