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246情報収集

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ジークは詳しいことは分からないと前置きをして話してくれた。

冒険者達は、この町に高品質のポーションを下ろしている薬剤師を探しているらしい。
ヘンデリック侯爵が卸元だとは冒険者なら知っている事だと言うのに
店員を脅して薬剤師を聞き出そうとし、兵士に捕らえられた冒険者も居た。

ヘンデリック侯爵の所でドクス魔導士とシルビア魔導士が世話になっているので
2人の弟子が居るのではないかと思われているみたいだった。

「拓はペンデルトン侯爵家と繋がりが有るだろ。何か知っているのか。」

ニコラスに聞かれたが

「侯爵家の小屋に住まわせてもらっているだけで、仕事の内容までは知らないですよ。
 それに2人と会った事が有るけど、弟子なんて聞いたことが無いですけどね。
 ですが何で本人でなく弟子なんですか。」

拓がとぼけて、質問をする。
ただ、実際にドクスとシルビアには弟子と言える人物は存在しない。

「ドクス魔導士とシルビア魔導士が来る前から高品質のポーションが販売されていたからな。
 そして、2人は弟子の繋がりで、この町まで来たという噂もある。」

ニコラスが説明してくれた。
拓にとっても、ガラにとっても初めて聞く噂だった。

「それに、ペンデルトン侯爵家のサーシャ様についても調べているみたいなんだよな。」
「えっ、何で?」

拓はサーシャの事を調べているとリッチーから聞いてはいたが、あえて驚いて見せる。

「もしかすると、弟子はサーシャ様ではないかと考えているんじゃないか。
 サーシャ様は学生時代は優秀だったらしいし、
 あのポーションが出てきたのはサーシャ様が学校から戻ってきた後だしな。
 そうなら、ペンデルトン侯爵家が卸元だというのも納得が出来る。」
「・・・そうなんですか。」

ニコラスの話を聞いて拓は別の意味で驚いていた。サーシャって優秀だったんだ・・・と。
しかし、一番の疑問は調べて何をしようと考えているのかだった。
サーシャが薬剤師だったとしても、侯爵家令嬢に手を出すような真似をするだろうか。
そもそも、薬剤師を見つけたとしても、ペンデルトン侯爵家が後ろ盾となっているのは分かっているだろうし。
それでも薬剤師を探す理由・・・

「結局、調べて何をしたいのかな。」

残念ながら、アークのメンバーはその疑問に対する答えを持っていなかった。
冒険者達も知らないで調べている可能性が高い。

「拓君、そろそろ目的地に着くから、話は依頼を達成した後で良いかな。」

目的の村が見えてくると、拓はトムに話しかけられ意識を魔獣討伐に切り替えた。
魔獣討伐は順調に行われたのだが…

「何だか、アークの人達、張り切り過ぎてない。」

正直、拓とガラの出番は全くなかった。
拓がサポートをする前に、魔獣に向かって行く。
手当たり次第という感じで、ガラもどう手を出して良いのか躊躇っている。
しかし、魔獣に対し「肉を見つけたぞ。」と叫ぶのは如何なものだろう。

「拓さんの調味料を楽しみにしているって事だろ。俺達は解体を手伝おうか。」

ガラは解体、拓は水魔法で肉の血抜きとり、ダイフクは余計な部分を取り除く。
村長に討伐報告を行うと家に泊まるように勧められたが、この人数で泊まるには狭いので広場にテントを張ることにした。
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