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239フードの女

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「何をやっているんだい。それだけの頭数を集めて、他の冒険者に負けるなんて。」

アークを襲っていた冒険者達がフードを被った人物に怒鳴られていた。
フードで顔は見えないが、女の声だ。
痺れ薬にやられた冒険者達は、解毒剤によって既に回復している。

「それに、肝心の情報が全く手に入っていないじゃないか。」
「そうは言っても、貴族が絡んでいるとなると手が出し難くて。」
「下手をすると、俺達がこの町に居られなくなる。」

フードの女の言葉に、冒険者達が言い訳をするが

「別に、貴族に対して剣を向けろと言ってんじゃない。
 情報を入手する位、出来るだろ。」

フードの女はゲートを開くと、武器やポーションを冒険者に渡し支持を出していた。
そして、冒険者達が立ち去ると

「全く、何で私がこんな事をしなきゃならないんだい。
 こんな辺境地にまできて、役立たずの冒険者達を使わないといけないなんて。」

フードの女は文句を言いながら、一人姿を消した。



拓達の薬草採取は順調に行われ

「ありがとうございます。これで、予定より早いペースで薬草が集められています。」

拓は薬作りに専念することにした。
しかし、一部は薬に仕上げていたが、殆どを途中の工程まで行い瓶に詰めている。

「全て薬にしなくて良いのか。」

トウが拓に聞くと

「正直、どの薬が必要になるのか分からないですから。
 今はこの程度の事しか出来ないですよ。」

拓に言わせると、ここまでの下ごしらえをしておけば、薬にするのは簡単らしい。
拓は魔法を使い次々に作業を進めていく。
薬剤師でもないトウ達から見ても、拓がどれだけ凄い事をしているのかは分かる。

「そんなにギリス教のやっている事は危険なのか。」
「正直、良く分からないです。俺が危険視しているだけなのかも知れませんが、いざと言う時に使えるので。」

拓が申し訳なさそうに話す。
拓にとっては脅威が分からないことが脅威だった。
ここまで手伝ってもらっても、意味がないことになるかも知れない…

「無駄にならないなら良いじゃないか。
 解毒剤が有れば、助かることは確実だからな。」
「そうだよ。ヘンデリック侯爵にもしっかり手伝うように言われているしね。
 僕はこんなに美味しい食事ができて快適なら問題ないよ。」

バンとジャンは拓の考えを笑って流してくれた。


採取した薬草の下ごしらえも進んだところで、
午前中は薬を作り、午後からは光の魔力を体内で循環させる特訓を始めることに・・・
この特訓、今まで意識もせずに魔法を使って来た拓にとって非常に難しいものになっていた。
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