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227山サソリの料理

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「拓さん、朝食を用意したけど食べれるか。リッチーさんも居るから作ってしまったがどうする。」
「ありがとう。もう起きるから食べるよ。」

昨夜は夜中まで話が続き、方向性が決まった所でやっと解散となった。
放送はラジオと命名され、後はオーヘンが中心となり作業が進められる。
この世界に無かったものを作り出すので大変だが、拓が具体的な話をしていたのでスムーズに進んでいた。

「ラジオか。面白い魔道具を作るものだな。」

リッチーが話を聞いて感心していた。

「拓さんは、そのラジオで何かするのか。」
「今回は俺は何もしない。それよりも薬を作っておきたいからね。」

ゴウが公開している毒は多分ポーションでしか直しようがないかも知れないが、他にも強力な毒を持っているかもしれない。
出来ることは少ないかも知れないが、身近な人位は守れるようにしておきたい。
ポーションの材料は十分に有るので、暖かくなったらら解毒剤の薬草採取を行うつもりだ。

「ドクスさんから結構な量の薬草をもらったから、冬の間はそれで薬作りかな。」
「薬作りなら、私も手伝わせてもらおう。これでも元研究者だからな。」

リッチーは記憶の腕輪にも記録されていない解毒剤の知識もあるので、勉強させてもらえることになった。
拓とリッチーが薬作りをしている間、ガラは拓の空間魔法に収納している山サソリの肉と殻の処理をする事に。
量が多く、劣化しないので放置していたが何とかしたい思っていた所だった。


「山サソリの肉を分けてくれるなら、この程度の手伝いは任せてくれ。
 しかし、拓の知識には驚く事ばかりだ。」

山サソリの肉はアーネスから譲ってもらった事にし、ルドルフ料理長に料理研究用として渡す代わりに新しい料理をご馳走してもらう事になった。
ついでに新しく考えた料理のレシピを教えてくれる。
アーネスがヘンデリック侯爵領で山サソリの肉を販売しているが、未だ流通量が少ない。
ルドルフ料理長は山サソリの肉のレシピを色々と考えていたが、実際に作ることが出来ずにいたので拓の提案に飛びついた。

「よし、山サソリの肉を使った料理を作るぞ
 これだけ有れば、考えていたレシピを片っ端から試せる。」

ルドルフ料理長達は肉と殻の処理を行いながら、遅くまで料理の研究を行っていた。
成功した料理はレシピと共に拓に渡されている。

「ここまでしてくれると、山サソリの肉をもっと譲った方が良いよね。」
「地上に出て、一番の収穫は料理を食べれることだな。」

拓とリッチーが喜んでいるのを見て、

「拓さんの空間魔法について全員に話した訳ではないから、これ以上を渡すのは止めた方が良い。」

大丈夫だとは思いつつガラが注意する。
そして、気になっていることを聞いてみた。

「リッチーさんは食事をする必要が有るのか?」
「必要は無い。魔力さえあれば生きていくことは出来る。
 しかし、せっかく美味い料理が有るのに食べないという選択肢は無いだろう。
 それに、食事からも魔力の供給は出来るからな。」

リッチーの答えに、ガラは納得していた。
拓との料理は本当に美味いので、食べないなんて勿体ないと。

その日の夜も、拓達はルドルフ料理長の作ってくれた山サソリ料理を食べていた。
こんな美味しい料理が作れるのなら、もっと譲った方が良いだろう。
そこで、リッチも魔導士で運ぶのを手伝ってくれたという事にし追加で渡すことにした。

トウ、バン、ジャンもルドルフ料理長の料理目当てで今まで以上に顔を出していた。

「本当に美味いな。この町にも大量に流通すると良いな。」
「これだけ美味いなら、山サソリが大量発生して欲しくなる。」
「このすり身にした団子なんて、山ほど有ったら良いと思うよ。」

ルドルフ料理長が納得のいく料理が出来上がると、この3人が運んで来てくれる。
そして、そのまま拓達と一緒に食事をしていく。
色々なな酒を持ってきてくれ、楽しく食事が出来るので拓達も喜んでいる。

「そういえば、暖かくなったら薬草を取りに森に行くらしいな。
 必要なら俺達3人も手伝う様にヘンデリック侯爵から言われているがどうだろう。」

トウが拓とガラに普通に話をするが、バンとジャンは期待を込めた目で見てくる。
拓は手伝いは必要ないと言ったらどんな反応をするか試してみたくなったが

「同時に薬作りもしたいと思っていたので助かります。」

拓が素直に答えると

「そうか、そうか。やっぱり薬草採取には人手が有った方が良いよな。」
「森では拓ちゃんのテント型の小屋に泊めてもらっても良いよね。」

バンとジャンが本当に嬉しそうだ。

「勿論、良いですよ。料理も俺の方で用意しておきます。
 基本は1人1部屋ですが、場所が確保できない場合は雑魚寝状態になってしまいますが。」

拓の話を聞いて「「「やった~」」」とトウ、バン、ジャンが大声で喜んでいた。
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