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221魔眼

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サーシャは宿に戻らず、フォスターの家にやって来て拓とフォスターに状況を話した。
クリスティーヌとシレーヌ、ヘンリーも一緒に帰ってきたが、席を外している。

ゴウは一体何を見ていたのか・・・
拓が考え込んでいると

「それより、サーシャはゴウという男を見て何か気付いたのだろ。」

オーヘンがサーシャに気付いた事を話すように勧める。

「あのゴウっていう人、ずっと目に魔力を集中していたの。
 光の属性に近い感じで、少し違うような。」
「もしかすると、特殊魔法を使っていた可能性が有るのか。」

サーシャの話を聞いて、フォスターが暫く黙り込むと自分の考えを話した。

「サーシャさんの話から考えられるのは
 ゴウという男は魔眼の持ち主である可能性があるな。
 相手がギリス教の人間なら、もう会わない方が良い。」

魔眼は特殊魔法で、人や動物の感情等が見えると言われている。
見え方は魔導士の能力や感覚に依存し、オーラの色として見えたりするらしい。
緑の髪の子は、何か他の人とは違う様に見えるのかも知れない。

「爺ちゃん、もしかして緑の髪と言うことがバレた可能性はないか。」
「特殊魔法とはいえ、王族や貴族に重宝されているので能力についての情報は多いが
 染めた髪の色まで判別できる魔導士が居たことは無い。」

フォスターの言う重宝とは、嘘発見器や護衛として雇われることが多い。
海千山千の相手だと誤魔化される可能性が有るが、普通の相手なら嘘や危険を察知することが出来るからだ。
拓も、記憶の腕輪の情報を確認してみたが、染めた髪の色までは判断つかない様だ。
ただ、かつらや付け髭、化粧などの変装等は見つける事が出来るらしい。
だとすると、サーシャを見ていた理由が分からない。

「サーシャと会った事が無いと言うのなら、知人そっくりで驚いたとか。」

オーヘンの推測に皆が頷く。

「そして、そこまで驚くと言うことは・・・会えないと思っていた人とか。」

オーヘンの話を受け継いで拓が話すが、頷く人はなく全員黙ってしまった。
拓は元の世界の知り合いをイメージしていたが、他の人は亡くなった人だと思っていた。

「余り良い話では無いな。どちらにしろ関わらないに越したことは無い。
 何か有れば言って欲しい。私も出来る限りの手伝いをさせて貰う。」

フォスターがそう言うと、オーヘンとサーシャが礼を言って話を終えた。
ただ、この話を聞いていたガラは、気になることが有ったが意見は言わずにいた。

サーシャが落ち着いているのを見て皆は安心し、それぞれの宿に戻る事になると

「シレーヌさん。良ければ私に宿まで送らせて頂けないでしょうか。」

ヘンリーがシレーヌに申し出て、受け入れられていた。
ただ、残念ながら皆の宿は近かったため、全員一緒の移動だったが・・・
シレーヌの馬車に乗り込むヘンリーを見て

「普段無口なヘンリー兄様が、あんなに手が早いなんて。」
「やっぱり、武人だと思っていたヘンリー様も胸には勝てないって事。」

サーシャとクリスティーヌが碌な事を言っていない。
拓からみたら女子力の差以外無いと思うが、とりあえずサーシャが元気そうで安心した。
ギリス教の人間に見られていたら精神的に尾を引いているのではないかと心配してたが大丈夫の様だ。

皆を送り届けガラと2人になると

「サーシャさんが気にしていない様で良かったな。」

拓と同じ事を思っていたようで、安心していた。

「拓さん、中島 剛という男にはサーシャさんに似た知人が居たのか。」
「俺の知っている範囲では居ない。ただ俺は中島の私生活までは知らないから。」
「何とも言えない所か。」
「何にせよペンデルトン侯爵領は、王都から離れているから帰ってしまえば問題ないよ。」

ゴウが王都を中心に活動しているのなら、辺境地であるペンデルトン侯爵領であれば接点は切れる。
ゴウが中島であろうと、なかろうと、会わない方が良いだろう。
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