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217リッチー

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少し遅れて、王都にアゼルド侯爵一行がやって来た。
直ぐに、フォスターの所へ挨拶に来てくれたのだが

「拓、ちょっと良いかしら。話があるの。」

クリスティーヌが拓を外に連れて行くと
そこには、スラっとした紳士が待っていた。

「拓殿、久しぶりですね。」
「えっと、どなたですか。」

紳士から声を掛けられるが、拓には会った覚えが無い。

「この方は、リッチよ。あの地下の遺跡であった。」
「えっ、あのリッチなの。」

クリスティーヌに言われて驚く拓。
紳士の顔を見ていると、一瞬 髑髏の顔に変わった。

「人化の魔法だ。町に入るには人の格好をする必要があるのでな。」

リッチは何でも無い事の様に言うが、そんな魔法が有るなんて初めて知った。
それにしても、地下で会った時と違って気さくな感じがする。

「リッチはどうかしたの。」
「久しぶりに外に出たら昔と勝手が違ってな。
 とりあえず王都に来たのだが、丁度彼女を見かけて声を掛けさせてもらった。」

リッチの声を掛けると言うのは、直接相手の頭に語り掛けるらしい。
拓も実際に試してもらうと、凄い違和感を感じる。
面白い魔法だが、見える範囲でしか声が届かず、リッチからの一方通行で会話は出来ない。

「拓さん、こちらの方は。」

リッチと話していると、2人がなかなか戻ってこないのでガラとオーシャンが様子を見にやって来た。
フォスターが探索魔法で2人を把握していたが、他に1人一緒に居たので心配になったらしい。

「えっと、こちらはリッチーさん。久しぶりに会って話していた所。」

クリスティーヌはリッチーなんて安直な付け方をすると思ったが

「こんにちは。リッチーと申します。
 以前、拓殿には助けてもらったことが有りまして挨拶が出来て良かったです。」

リッチことリッチーは、安直な名前を受け入れ優雅に挨拶をする。

「そう言うことなら、フォスターさんに紹介したらどうだ。
 フォスターさんも挨拶をしたいと思うが。」

ガラの言う通りなのだが、リッチーの事をどう紹介すれば良いかと拓が悩んでいると

『我が居ては迷惑だろう。挨拶出来ただけでも良かった。』

リッチーの言葉が拓の頭に響く。
それが寂しそうに聞こえ、暗いオーラを纏う姿に

「リッチーさん、じいちゃんを紹介させてもらえますか。」
「おぉ、良いのか。」
「・・・」

拓が声を掛けると、満面の笑みのリッチー。
人化したリッチーの顔は本当に嬉しそうなのだが、この身代わりの速さ・・・狙っていたのか?
拓にしてみればリッチーには髪の色を変える方法を教えて頂いた事も有り、出来ればフォスターに紹介したい人物だった。
それに、フォスターならリッチーがリッチだと知っても受け入れてくれると考えいた。

「爺ちゃん、こちらリッチーさん。偶然、王都で会ったんだ。」

フォスターとリッチーが挨拶をすると拓と知り合った時の話になり
放置された罠にハマったリッチーを拓が助けたと話した。
これはリッチーからの提案で、嘘ではない。
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