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206枯れた男

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王都に着くとフォスターの所に行きギリス教の状況を確認してみたが、動きはないみたいだ。
ギルス教が毒の製造方法を秘密とする為、軍との間に亀裂が生じ、奴隷を使って毒を生成する話が止まっているらしい。
そして、毒を作り出したゴウという男の事だが

「儂の知っている薬剤師にも調べて貰ったが、その男を知っている者は居なかった。
 何処でその知識を得たのかが全く分からない。」

拓はフォスターの人脈を知らないが、全く引っ掛からないとは思ってもみなかったのだろう。
訳が分からないという感じだった。

バタフライ夫人が得た情報でも、同じような感じだった。
ただ、毒の製造方法については、ギリス教の中でもゴウだけが握っているとの事。
この毒の製造方法をゴウだけが知っていると言うことで、ギリス教でそれなりの地位を獲得したらしい。
毒の製造場所については一部のギリス教徒しか知らない様で、突き止める事が出来ていない。

「状況を考えると、製造時に毒に冒された人が居るはずなんだけど
 その人に、ポーションが有効かだけでも調べる事は出来ないかな。」

拓が、いざという時の対応策の話をしてみたが

「王都には、その様な患者は居ない。」

その辺も、秘密裏に処理されているのかも知れない。
細かい話はバタフライ公爵夫人と面会してからとして、話は最近の拓の近況になり
バタフライ公爵夫人の話や海に行った事、髪の色を変える薬や通信の魔道具が完成して町に通信網が作られた事等を話していたのだが

「何だ、女性の話が全く出てこないな。恋愛の話は無いのか。」

拓が何も無いと答えると

「拓、お前は精神的に枯れてないか。」

フォスターは溜息交じりに話す。
元の世界では良い歳した大人だ。恋愛の1つや2つはした事が有る。
正確には2人だけだが・・・
そこで出した結論は、

女とは男には理解できない生物である。

拓としては、恋人が居たら楽しいと思う気持ち半分、大変という気持ちが半分。
恋愛は上手く行っている間は良いが、2つ目の恋愛の終わりは大変だった。本当に大変だった。

おまけに、今の年齢と同じ年は女性ではなく女の子なのだ。
大人の女性と言えばシルビアが居るが・・・基本的に何かが違う。
それに、自分の生い立ちや、保有魔力の事など考えると、ガラと行動しているのが一番楽で楽しい。

「思春期の男の子って、恋愛より夢中になれるものが有るものだから。」

拓が、自分の事を上手く表現したつもりで答えたのだが

「お前は仕事ばかりしているだろうが。
 大体、その発言からして思春期の男の子ではないぞ。」

フォスターに言われて、拓は自分の言葉を思い返し
恋愛に関して枯れているのかもしれない・・・と本気で悩んでいた。
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