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197タイガーシャーク

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拓は一息つくと、魔獣について記憶の腕輪で調べると、タイガーシャークと呼ばれる魔獣だった。
サメにそっくりだが、どうやら肉は食べれられ、骨まで薬の材料として使え捨てる部位が無い。
流石にガラは海の魔獣の解体は行ったことは無かったが、記憶の腕輪に下ろし方が載っていた。

「一応、解体方法については分かったから、手伝ってくれるかな。
 暑いから、直ぐにとりかかった方が良いよね。」

拓はナターシャ達から貰った魔道具の短剣に魔力を流すとタイガーシャークの解体を始めた。
剣は滑るようにタイガーシャークの体に入って行く。
身は赤く、良い感じに脂が乗っている。
ガラに力仕事を頼み、ダイフクが汚れを取り除いてくれ、痛む前に拓が収納できるサイズまブロックに解体することが出来た。

その日の夜は、早速 タイガーシャークの刺身。

「これ、まるでマグロみたいだ。」

拓がその味に驚くと

「何だ、拓さんはこんな美味い魚を食べた事が有るのか。マグロなんて聞いたことが無いが。」

ガラがマグロに興味を持って聞いてくる。

「違う名前だったかな。魚かどうかは分からないけど、似た味を食べた記憶が有る。」

拓のあやふやな答えに、ガラはそれ以上は聞かずタイガーシャークの味を楽しんだ。
一応、ヒレもフカヒレの様にならないかと試してみたが、食べられるようなものでは無かった。
そもそも、拓はフカヒレをどう下ごしらえするのかも知らないので、やり方が有っているかも分からない。
食事が終わると

「ガラ、今日はすまなかった。何も考えず沖に出てガラまで危険な目に合わせて。」
「何を謝っているのかと思ったら、そんな事か。
 俺は拓さんの護衛だ。気にしないでくれ。しかし、沖で遊ばない方が良いな。
 それより、これでどんな料理が作れるんだ。」

ガラが話を変えようと拓に聞いてくる。

「う~ん、刺身の他には漬けかカルパッチョ、たたき、後は揚げとかかな。
 戻ったら、ルドルフ料理長にこっそりと相談してみようか。」
「楽しみだな。他にも薬の材料になるんだろ。」
「胃腸関係みたいだね。食べ過ぎや二日酔い、食中毒に効果がある薬も作れるみたい。」
「それなら、ヘルガさんが飲みに来た時にお願いしたいな。」

ガラがお道化た調子で話すと、拓が笑っていた。

「所で、逃げる時に投げていた岩は何に使うつもりだったんだ?」
「あれは、いざという時の攻撃用。
 翼の腕輪を使って高く飛んだところで岩を落としたら、それなりの破壊力になると思って。」

確かに空から巨大な岩が落ちてくれば、破壊力は凄いだろう。
ガラは拓の収納力を使った攻撃方法に感心していた。


その夜、ガラはなかなか寝付くことが出来ず、今日の事を考えていた。
拓は今までガラの事を奴隷として見た事は1度も無い。
今回も危険な目に合わせて申し訳ないと思ってくれている。
あの様な場合、奴隷を捨ててでも助かる道を選ぶのが普通だと言うのに。

拓さんを守るにはどうすればいい。

ガラは拓が自由に活動できるように護衛として、どう対応すれば良いのか考えていた。

ガラがどれだけ強くなろうとも、タイガーシャークの様な魔獣を1人で倒すのは無理が有る。
自分が強くなるだけでは足りず、拓との力と十分に連携する必要がある。

ガラは明日からの特訓方法を考え直す事にした。
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