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194勝負

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バタフライ公爵夫人の肌も健康な状態になった所で、今回の治療の清算となったのだが・・・
拓の目の前には白金貨

「確かに金額はバタフライ公爵夫人に任せましたが、これは受け取り過ぎです。」
「何を言っているのです。この肌艶、そしてこのシットリ感。以前の状態を考えれば十分な金額です。
 この様な肌、諦めていた夢を拓さんは叶えてくれました。
 こんなに嬉しい事は有りませんわ。」

同席しているナターシャもバタフライ公爵夫人の言葉に頷いているので、有難く受け取らせてもらった。
そして、ナターシャ、シルビア、ヘルガからは短剣を渡された。

「お礼に3人で魔道具の小刀を用意させていただきました。
 魔力を流せば切れ味が上がります。この先の素材採取にお使いください。」

拓はナターシャから受け取ると、剣を鞘から出して魔力を流してみると刃がうっすらと光る。
改めて礼を言うと、白金貨と一緒に空間魔法で収納させてもらった。

「ところで、拓さんのクレンジング剤や化粧品を販売する気は有りませんか。」

バタフライ公爵夫人が、これが本題と言いたいかの様に前に乗り出してくる。
拓としては、真剣な眼差しが少し怖いが

「化粧品関係は知り合いに作る位で商売にする気は有りません。」

ハッキリと断らせてもらった。正直、これ以上踏み込みたくない。
その代りとして、個人的に売るなら問題ないと話すと喜ぶバタフライ公爵夫人にナターシャ。
何故か控えているバタフライ公爵夫人側のメイドまで笑顔になっている。
徐々に配給先が増えてきているが、拓にそれを断る度胸は無かった。

その内 同じような製品が出てくるだろうし、小遣い稼ぎとして割り切ろう!と拓は自分を納得させていた。
クレンジング剤については貴族用、メイド用と分けるのは難しいので、今まで使ってもらったのをメイドでも買える値段で売ることにした。
合わせて日焼け止めクリームまで対応することに・・・


「バタフライ公爵夫人。肌の治療はこれで終わりですが、何かやってみたい事は有りませんか。」
「そうですね。せっかくなので普段できない事をやってみたいわね。」

それならと、拓の提案で釣りをすることに。

「拓さん、どちらが多く釣れるか競争しませんか。」

バタフライ公爵夫人に勝負を挑まれ

「初めて釣りをする方が相手だとしても手は抜きませんよ。
 もし、私が負ける様な事が有れば、ちょっと遊べるプレゼントを用意させて頂きます。」

当然の如く勝負を受ける拓。それも自分が勝つことを前提に。
拓の実力を知っている人達は、何処その自信が出てくるのか不思議に思っていた。

初めて行うバタフライ公爵夫人にはサーシャがサポートとして付いて競争を開始。
結果、バタフライ公爵夫人は5匹も釣りあげ、当然の如く拓は0匹

「ねぇ、拓。もう釣りは諦めた方が良くないかしら。そもそも拓って釣れた事は有るの?」
「・・・サーシャ、釣りは過程を楽しむもので、結果じゃないよ。」

拓はサーシャの問いに答えず、そのままバーベキューの準備へと逃げた。
バタフライ公爵夫人は、焼き魚、肉や野菜を串に刺したまま食べるのに躊躇っていたが

「こんな風に食べるのは初めてですが、凄く美味しいですね。」

とても美味しそうに食べていた。

そして、夜はゲートボール場へ。
未だに人気は高く、通常営業が終わった夜しか使える時間が無かった。

「これが、アーネス商会が行っているゲートボールですね。」

無駄に豪華な見た目の杖やゴールをバタフライ公爵夫人が嬉しそうに見ている。
ルールの説明と杖の操作を教えて、早速 拓が相手をすることにした。
ゲームは1点を争う接戦。
当然、拓が楽しんでもらおうと加減をしていたのだが、最後はしっかりと勝っている。
そんな拓を見て、サーシャは負けず嫌いと言うか、何でこんな所だけ子供っぽいのだろうかと思っていた。

ゲームが終わり休んでいる所で、

「バタフライ様、釣り競争で私に勝利したプレゼントです。お受け取り下さい。」

拓がバタフライ公爵夫人に薬の入った瓶を渡す。
ヘンデリック侯爵やナターシャ、サーシャ、メイドや護衛全員にも配る。
全員が飲むと、髪が7色や赤や青く輝き始めた。

「髪を光らせる薬です。面白くないですか。」

拓が言うまでもなく、全員がお互いの姿を見たりして楽しんでくれていた。
坊主にしている護衛も意外と喜んでいる。
そして拓が未だ在庫を持っていると知ると、邪魔だと思っていた薬を大量に購入してくれる事に。

「ちなみに、その薬を何に使うつもりです?」

拓が気になって聞いてみると

「せっかくなので、パーティを開いてみようかと思いまして。
 きっと皆さん驚いて、楽しい時間になると思いますわ。」

バタフライ公爵夫人の答えに光る髪の毛の集団をイメージした拓は鬱陶しいと思いながらも

「・・・それは面白いパーティになりそうですね。」

大人の対応をしていた。
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