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181舞踏会2

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「あっ、シレーヌ。こんなと所に居たのね。探したじゃない。」
「挨拶が続いて大変よね。オーヘン兄様が居なかったらどうしようもなかったわ。」

シレーヌの元にクリスティーヌとサーシャがやって来た。

「クリスティーヌ、ここでは貴族として挨拶をしないとね。」
「サーシャもだよ、そうでないと相手にも迷惑をかけるから。」

直ぐに、エスコートしている2人に注意されたが・・・
オーヘンはサーシャに頼りにされてニヤついてしまいそうな顔を押さえていた。

「こんにちは、クリスティーヌさん、サーシャさん。」
「こんにちは、シレーヌさん。初めは挨拶が多くて大変でしょ。
 でも、これは初めだけだから安心して良いわよ。」

クリスティーヌは2回目と言う事で、自分が言われたことを先輩として教えていた。
すると、シレーヌに対して嫌味を言っていた女性達が自己紹介をして来た。

「クリスティーヌさん、サーシャさんはシレーヌさんと親しかったのですか。」
「最近、共通の友人を介して知り合いました。」
「今日は皆で同じネックレスとイヤリングをしているのよね。」
「普段使い用って言っていたけど、凄く可愛くて気に入っているの。」

クリスティーヌとサーシャはワザと言っているわけではないが、
先程自分達が馬鹿にしてたネックレスを侯爵家の令嬢がしていて女性達は黙ってしまった。そこに

「3人とも居たわね。」
「シルビア魔導士、ドクス魔導士、こんにちは。」

シルビアがドクスを連れてやって来る。シレーヌがスカートの軽く掴み挨拶をするが

「元宮廷魔導士に、形式ばった挨拶なんて要らわいわよ。
 ずっと挨拶が続いていて大変だったんだから、3人の前では気楽に話させてよ。」

シルビアは顔の前で手を横に振って、シレーヌの形式ばった挨拶を止めて普通に挨拶をする。
シルビアは3人の胸に自分の作ったペンダントが光っているのを見ると

「私が作ったネックレスをしてくれているのね。私もその方が良かったかしら。
 比べて見ると、このネックレスって宝石が大きいだけで面白みに欠けるのよね。
 大きな宝石が高価なのは分かるけど、それだけで自慢する物でもないし。」

意図せず、嫌味を言っていた女性陣に止めを刺すかの様に話す。

「それって若い子に向けてデザインしたネックレスだろ。
 お嬢さんたちには似合っているけど、シルビアは自分の歳を考えろよ。」
「ドクスは余計な事を言わないでよ。私用にデザインをしてもらったのが有るの。」
「まぁ、俺もお嬢さん達が着けているネックレスの方が良いと思うけどな。」

2人にはシレーヌに嫌味を言っていた女性陣の存在は目にも入っていない様だった。
存在を忘れ去られた女性陣が、タイミングを見計らって挨拶をしてきた。

「私、ベアトリ伯爵家のベルと申します。
 シルビア魔導士とドクス魔導士の御高名は伺っています。
 私は中級魔導士ですが、魔法の訓練を続けています。
 何かアドバイスでも頂けないでしょうか。」
「シルビアです。ベルさんはどの様な魔法を使われているのですか?」

シルビアは初めてベルの存在に気が付いて、微笑んで挨拶を返す。

「私は火属性の魔法を使えるので、攻撃魔法に磨きをかけております。」
「ベルさんは魔獣と戦ったりしているのですか。」
「いえ、私は伯爵家の人間ですから自分で戦う事は有りませんわ。」
「でしたら、魔法より他の勉強をする方が役に立つと思いますよ。」

シルビアは話は終わったとばかりにサーシャやクリスティーヌ、シレーヌと話し始めた。
そこに、シレーヌの叔父が戻り皆と挨拶を交わす。
嫌味を言っていた女性達は完全に抜け出すタイミングを見失い、そこに立ち続けている。

「そうだ、アーネスさんに聞いたら、春にペンデルトン領に行く前にロマニュ領に寄るそうなの。
 一緒に同行するから、山サソリ料理の店を案内してもらえないかしら。」
「それ、俺も一緒に行くつもりなんで、宜しくな。
 出来れば料理を持ち帰れる店にも案内してくれると嬉しいんだが。可能な限り色々な種類を食べてみたい。」

シルビアとドクスが言うと、サーシャとクリスティーヌは羨ましがり、嫌味女性陣は顔色が悪くなる。
山サソリ料理の話で盛り上がっていると

「珍しい方が来られていますのね。
 シルビア魔導士、ドクス魔導士、バタフライです。」

貴族界の重鎮、バタフライ侯爵夫人がやって来た。
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